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2005年6月20日

イラン国民は立ち上がれるか?:神権政治下での大統領選をめぐって

今週の金曜日に行なわれたイランの大統領選挙について、ワシントン近郊で亡命生活を送っているレザ・パーレビ元皇太子はその正当性に疑問を投げかけ、投票そのもののボイコットを呼びかけている。

パーレビ氏によれば、現在のイランで行なわれている選挙は形式だけで、実際にはイスラム政権当局の厳しい監視の下にあるという。さらにパーレビ氏は旧ソ連やサダム・フセイン政権下のイラクまで引き合いに出して、選挙を行なっているからといって民主政治が定着しているとは言えないとまで手厳しく批判している。現在の神権政治では、議会の選挙で誰が選ばれても重要な決定は国民に選ばれたわけでもない聖職者の手に握られている。選挙そのものも、当局の意志に反する投票なら投獄されかねないという恐怖感を煽り立てられて実施されているという。これでは、サダム・フセインの「信任100%」の得票による大統領選出と似たようなものと言われても仕方がない。

また核疑惑についても、現在のシーア派神権政治が続く限りはイランと諸外国との摩擦は避けられないとしている。実際にEU3(英仏独)やIAEAがイランとの間で行なっている核査察の交渉は進展していない。

ではこうした事態の打開にはアメリカをはじめとした民主主義諸国が武力行使に及ぶべきだろうか?これまでもパーレビ氏はフォックス・ニュース(ルパート・マードック氏が所有するアメリカの保守系メディア)、BBCなど欧米メディアに頻繁に出演してウクライナのオレンジ革命を模範としたイラン国民の自立的な抵抗運動を訴えている。西側諸国は軍事介入よりもイラン国民の自主的な抵抗を支援すべきだと主張している。元皇太子はイランではイラクやアフガニスタンと違い国民が自ら立ち上がれるだけの基盤があると再三にわたって強調している。

西側の支援による国民的な抵抗運動といえば、西側のNGOを通じて対象国内の市民社会に働きかけるという手段がある。ウクライナではアメリカの民主化推進NGO、フリーダム・ハウスが民主化運動への大衆動員を積極的に支援した。

フリーダム・ハウスはイランに関してウクライナ型の非暴力の抵抗運動を盛りあげる必要を説くとともに、アメリカとヨーロッパが協調して外交的圧力をかけるべきだとも述べている。

ところで国連常任理事国入りを目指している日本であるが、この問題ではさしたる動きも見せず中国や韓国との歴史論争に忙殺されている。これでは国連の資金源が関の山か?

パーレビ氏のインタビューは以下のサイトで視聴できる。英語のヒアリングの練習には最適な長さだ。聴いてみて欲しい。

アメリカCNN 6月16日

スペインTV3 6月16日

(Part 1)
(Part 2)

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コメント

コラムと比較的関係ないことを書いて、すみません。
実は人権擁護法反対の運動をしております。
以下はコピペですが・・


一、新たな人権弾圧を招く人権擁護法案に反対する
人権擁護とは逆に人権弾圧社会を招く悪法「人権擁護法案」が、政府により強行に今通常国会に提出されようとしている。
この法案は、まずもって「人権侵害」の定義のあいまいなため、誰もが人権侵害者として規定づけられることになる。このあいまいな基準に基づいて「人権侵害の疑いあり」と判断されれば、人権委員会には、令状なしに事実上の家宅捜索・差し押さえ・出頭命令等の強大過ぎる権限が与えられる。また人権擁護委員の選任過程に関しても、透明性や政治的中立性の確保には規定がなく、外国人にも人権擁護委員の資格が与えられるのである。
このような多くの問題点が指摘されている法案に対して、我々は「真の人権擁護を考える懇談会」と連携し、断固反対の活動を推進する。

<<人権委員会には、令状なしに事実上の家宅捜索・差し押さえ・出頭命令等の強大過ぎる権限が与えられる。>>

推進派が強行採決に及ぶとか、噂を聞いております。詳細は以下で。

http://jinken-vip.tripod.com/

http://blog.goo.ne.jp/jinken110

投稿: ealst | 2005年6月23日 16:25

どうもコメントありがとうございます。イランの問題も人権と多いに関わっています。今後も折を見て、そちらのサイトを閲覧したいと思います。

投稿: 舎 亜歴 | 2005年6月24日 20:26

初めまして。拙記事にコメントいただき、大変ありがとうございました。

>古い世代についてはそうですが、現在のネオコンについては当てはまってはいません。

確かにご指摘のとおりですね。ただ、私は源流(ルーツ)がそうであることを重視するのです。
私は、その昔トロツキストでした。マルクス主義が絶対的真理であり、真理に反するものは暴力的に抹殺してもかまわない。そう思っていました。
ネオコンのメンバーが、左翼体験のあるなしに関わらず、同じような思考回路を引き継いでいるのは間違いありません。
伝統的保守に対する完膚なきまでの批判。独善とも思える、自らのイズムに対する思い込み。
共産主義者の最初の敵は、保守反動ではなく、まず自らに近い社民主義者です。自らが真理であり、それ以外は敵です。そして大衆(草の根)の不満を吸い上げて、支持基盤を拡大していく。
ネオコンとそっくりだと思いませんか?
私も、今は右寄りですが、不正義に対する武力行使(暴力)を肯定します。特に、北朝鮮などは、武力でこの世から抹殺するのが正義であると信じています。
その辺は変えようがないのです。


投稿: 坂 眞 | 2005年6月26日 12:10

コメントへのご返事ありがとうございます。北朝鮮を武力で抹殺するのが正義となれば、サダムもテロリストも抹殺さるべきとなります。

かの国でオレンジ革命は期待できないので、一理あります。イランはどうか?学生運動や内外の活動家の運動が盛んなのは、イラクやアフガニスタンとは異なるところです。

投稿: 舎 亜歴 | 2005年6月27日 03:19

TBありがとうございます。イランはこのまま核開発を進めていくようですので経済制裁等が待ち受けているでしょうね。

投稿: tir | 2005年6月28日 04:57

今後はEU3とアメリカの連携がうまくゆくか?余談を許さぬところです。

投稿: 舎 亜歴 | 2005年6月28日 22:13

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