EU・ロシア財界円卓会議
来る10月3日にロンドンで開催されるEU・ロシア首脳会議に合わせて財界の円卓会議(IRT:Industrialists’ Round Table)も開かれる。ところでこのEU・ロシア財界円卓会議とはどのような会合なのか?
円卓会議が設立されたのは1997年7月のEU・ロシア首脳会議においてである。円卓会議はEU委員会とロシア政府に対して企業活動と投資に関する助言を行なうとともに、EUとロシア双方の財界の共同事業を推進するという役割を担っている。
この円卓会議を取り上げた訳は、先の「ロシアの民主化後退に要注意!:元スウェーデン外交官の分析」という記事で、プーチン政権の権威主義化を警戒しながらも天然資源開発や核不拡散といった西側とロシアの共通利益となる分野での協調は進めるべきだと述べていたからである。幸いにも、冷戦の重荷となっている核削減に向けて西側と協調関係を進める必要のあるロシアはイランのように石油収入で核兵力を増強する心配はない。
そうした趣旨からも、EUとロシアの経済界が協調を深めてゆくことはアメリカ主導によるロシアの民主化推進にも有益である。ところでEUとロシアの経済協力と言えば、何を置いても石油や天然ガスに代表される天然資源開発が挙げられる。また、双方の貿易と投資を盛んにしてゆくためにも金融分野での協調も進めようとしている。さらに述べておくべきは、ロシアはハイテクやITの分野でもかなりの水準にある。旧ソ連時代より培われた航空宇宙産業や軍事産業の生み出した技術は世界有数の水準である。このように、エネルギー資源の供給先、市場、そして技術提携のパートナーとしてのロシアの魅力は大きい。
今回のEU・ロシア財界円卓会議の事務を取り仕切るのはイベンチカという民間企業である。この会社はこれまでにもEUとロシアの間で財界人やその他民間人の会合や意見交換の場を提供してきた。会議のサポート役にとどまらず、ロシアでの企業活動を支援するための情報的異郷のために定期刊行物も出版している。その内、「ロシアン・インベストメント・レビュー」は四半期ごとに出版され、西側の財界人にロシアの市場についての情報を提供している。また毎年発行される「ロシアン・インデックス」ではロシア政財界の主要人物50人が紹介されている。
今年のEU議長国となったイギリスのブレア首相とロシアのプーチン大統領の間でどのような話し合いがなされるか―――こうした政府間の動きばかりでなく、民間の動向も注目に値する。先の記事で述べたようにロシアでの権威主義の台頭をけん制しながら西側との共通利益は追求してゆくには、民間のリーダーシップも不可欠である。
ところで極東ロシアでは石油開発で中国との協調関係が進んでいるという。日本としては座視できぬ事態である。中露接近を食い止めるためにも、日本も欧米に遅れをとってはならない。北方領土問題を解決したければ、ロシアの民主化と経済開発で日本が重要な存在にならねばならない。
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