北朝鮮ミサイル危機
北朝鮮がテポドンⅡミサイルを発射する可能性が高まる昨今、極東諸国は脅威にさらされている。このミサイル実験によって六ヵ国協議に支障をきたすことを中国もロシアも懸念している。これまでのものと違って、今回のミサイルはアメリカ本土まで射程範囲に収めているのは、上記の地図に示されている通りである。
クリントン政権期より金正日はミサイル危機を利用してアメリカの注意を引き付け、二国間交渉にこぎつけてきた。現在、北朝鮮の経済は極めて悪い状況にある。COMECONが崩壊してから、北朝鮮は世界経済から孤立してきた。現体制の維持のためにも、北朝鮮の指導者達は西側からの経済支援を切実に必要としている。これは金正日がアメリカとの交渉を望む理由の一つでもある。
コリア・タイムズによると、北朝鮮がテポドンⅡを発射しようとする理由は「AFPの安全保障専門の記者は、北朝鮮がミサイル危機を煽るのはイランの核問題に向かうアメリカの注意を自国に向けたいからだという」。さらにこの記事では「テポドンⅡはアラスカまで届くと言われているが、実際にどこまで遠くに正確に発射できるかは疑問の余地がある」と記されている。 (North Korean Missile Test not Imminent, June 13)
しかし金正日はミサイル実験がどのような結果をもたらすかについて判断を誤ったようである。今や事態は全く違う。ブッシュ政権はクリントン政権の北朝鮮政策から教訓を学んでいる。先のミサイル実験でも見られたように、北朝鮮は相手に嘘をつき騙すことに長けている。核不拡散合意を破りながら、核燃料は平気で受け取るほどである。アメリカの現政権は六ヵ国協議を重視し、二国間交渉には乗り気でない。ヘンリー・A・キッシンジャー元国務長官はワシントン・ポストの以下のように述べている。
北朝鮮が画策していることはアメリカを六ヵ国協議の枠組みから切り離そうというものだが、ブッシュ政権は賢明にもそれを拒んでいる。そんなことをすれば六ヵ国協議に参加している他の国が責任の分担をしなくなるだろう。二国間協議に応じてしまえば、他の参加国はアメリカに対して義務を負わなくなり、結局はアメリカが孤立してしまう。(A Nuclear Test for Diplomacy, May 16)
今回のミサイルはアメリカ本土を射程距離に収めているので、これまで以上に重大な脅威となっている。現在はアメリカン・エンタープライズ研究所の上級研究員となっているニュート・ギングリッチ元下院議長は「アメリカは有効な行動をとらねばならない。我が国は暴虐な全体主義の独裁政権の脅威にさらされているが、その実態については殆どわかっていない。もはや話し合いの時期ではない。彼らがミサイルを放棄するか、さもなければアメリカが彼らのミサイルを廃棄するかである」と述べている。
クリントン政権期のウィリアム・J・ペリー元国防長官とアシュトン・B・カーター元国防次官補は、これ以上に強硬な意見を述べている。
外交交渉は失敗した以上、事態を座視して脅威が高まるままにはしておけない。アメリカと同盟国の大した反対にもあわずにテポドンの打ち上げに成功してしまえば、北朝鮮はもっと大胆な行動に出るようになる。そうなると北朝鮮は今以上の核弾頭とミサイルを保有するようになる。(“If Necessary, Strike and Destroy” Washington Post, June 22)
北朝鮮の脅威の高まりを受けて、日米の協力は益々強くなった。迎撃ミサイルの実験が成功した今、日米同盟は北朝鮮に心理的圧力をかけられる。ウィリアム・ペリー元国防長官は先制攻撃を主張しているが、ブッシュ政権は六ヵ国協議の継続に意欲的である。迎撃ミサイル実験の成功は現在の外交交渉にも良い影響をもたらすであろう。
韓国の立場は依然として微妙である。この国は北朝鮮に対して「太陽政策」をとり続けてきた。だが北に対する世論は厳しくなってきている。北朝鮮の同盟国である中国とロシアも今回のミサイル実験を懸念している。(Seoul, Beijing Seek Dissuade NK from Missile Test, The Korea Times, June 27)
北朝鮮の独裁政権はミサイル外交の危険性を理解すべきである。もはやかつてのように、このやり方は有効ではない。日米同盟はならず者の核拡散国家には、これまで以上に厳しい態度で臨んでいる。韓国民も徐々に本当の脅威が誰なのかわかってきている。北は誠実に行動すべきで、さもなければ最終的に敗北を喫するだけである。



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