日本の次期首相候補達の討論への疑問
小泉純一郎首相はこの9月に任期を満了する。世界第二位の経済大国に対してもっと注目が集まってもよい。
次期首相選挙で論争の的となっているのは以下の問題である。
政治と安全保障では、歴史観を修正しようという気運が高まっている。日本国民は戦後の平和主義を見直し始め、中には第二次世界大戦後のレジーム・チェンジに疑問を呈する者もいる。日本は先の大戦の歴史認識をめぐって、中国、韓国、北朝鮮との感情的な泥仕合に直面している。終戦記念日に小泉首相の靖国神社参拝が濃厚なこともあって、この問題は深刻化している。
経済では、小泉首相のネオリベラル政策によって格差社会が出現してしまった。政府の財政赤字の増大は長年にわたる頭痛の種である。ドイツがビスマルクとカイゼルの治世下でそうであったように、日本も1990年代までは重商主義的な政策をとり続けた。
しかし、有力候補者達が日米同盟について余り議論しないことには失望している。今や両国の同盟は歴史的転換期である。日本の指導者達は地理的に近視眼的になってしまったのだろうか。日本にとって、日米同盟は中韓との確執よりずっと重要である。日米同盟は二国間の戦略的パートナーシップ以上のものがある。日本の戦後レジーム・チェンジの土台を強化するのが日米同盟である。また、日米同盟によって日本は欧米主要先進民主主義国の仲間入りがかない、アメリカとヨーロッパとともに世界を運営できる訳である。この二点は世界における日本の地位で決定的に重要である。
今後、首相選挙と小泉政権後の日本政治について投稿の予定である。この秋は日本に多いに注目して欲しい。
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投稿: 大三元 | 2006年8月 9日 02:41
昨年くらいから懸念していたことですが、日米同盟=米軍再編に矮小化してあたふたしている感じですね。その意味では訪米時の小泉首相の「打ち上げ花火」には私は批判的でした。
個人的には上智大学でのライス国務長官の講演がヒントになったのですが、日本ならではのエンゲージメント戦略を打ち出していくことが不可欠であるように思います。
同時に米韓同盟の空洞化が必至という状況も日本は真剣に考えるべきでしょう。
投稿: tsubamerailstar | 2006年8月 9日 11:03
大三元さん
こちらこそ初めまして。総裁選にせよ選挙一般にせよ、どうもメディアが派手に取り上げて国民が注目しやすいものが争点になりがちなことには苦々しい思いです。
投稿: 舎 亜歴 | 2006年8月14日 00:59
tsubamerailstarさん
まだ日本の指導者達は本気で欧米諸国と方を並べて世界の指導的役割を担おうという気はないのではと思えます。
先の国連常任理事国入り騒動など、パーティーを楽しみたかったのか何がしたかったのかよくわからない有り様です。
現在、帰省先より返信しています。どうしても遅れます。
投稿: 舎 亜歴 | 2006年8月14日 01:08