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2007年1月31日

アメリカのブロガー・グループへの参加招待

National Security Blogggersという最近設立されたブロガー・グループからEメールを受け取りました。設立の趣旨は下記の通りです。

インターネットには世界各地に無数のブロガーがいる。多くのブロガーは著述家やジャーナリストにも劣らぬ精力を注いで記事を書いている。こうしたブロガーの多くは多大な労力を注ぎながら殆ど注目されることもなく埋もれている。

National Security Blogggers はそうしたブロガーをつなぎ合わせ、より大きな注目を集めさせようとしている。

トップページでメンバーの記事を読むことができます。FBI、CIA、イラン、イラクといった様々な問題が議論されています。

グローバル・アメリカン政論にとってもNational Security Blogggersに参加して世界各地のブロガーへの知名度が高められることは、大きなチャンスです。このオンライン・コミュニティはまだ設立されたばかりで、今後さらなる成長が期待できます。グローバル・アメリカン政論の英語版はこのブロガー・グループに参加するつもりです。その中から興味深い記事を取り上げて、このブログで議論するかも知れません。.

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2007年1月27日

迫る暴虎!:北朝鮮の情報入手に有益なブログ

Tiger_fight北朝鮮は悪の枢軸の一員として悪名をはせている。この国については核開発、独裁、貧困、飢餓から拉致に至るまでネガティブな情報であふれかえっている。この国は国際社会から長年にわたって孤立しており、北東アジアの暴虎については余りに情報が少ない。

今回は“North Korea Zone”というブログを紹介したい。このブログはアメリカ、イギリス、オーストラリア出身の9人から投稿されている。9人のイデオロギー的背景は多様であるが、極東情勢に関心を寄せているという点では共通している。この残忍なショッカーを様々な観点から理解できる訳である。

最近の記事では北朝鮮政府の内情と韓国の太陽政策について述べられている。前者ではキム・ジョンイルの後継者をめぐる権力闘争を分析している。後者ではウォールストリート・ジャーナル2006年1224日号に掲載されたブライアン・マイアーズ氏の“Concerted Front” という論説についてコメントしている。この記事では北朝鮮への支援に関してマイアーズ氏が韓国のナショナリズムに過剰に注目していると批判している。むしろ韓国の太陽政策の動機付けとなっているのは現実的な視点であると主張している。

“North Korea Zone”は数多くのニュース、政府機関、NGO、ブログにリンクを張っている。さらに重要なことに、このブログでは脱北者も含めた北朝鮮の情報源にもリンクを張っている。中にはハングルで書かれたものもある。ハングルを理解できる者には北朝鮮人自身による情報と視点を理解するために多いに役立つであろう。私はハングルを全く理解できない。英語のリンクを読むしかない。

このリンクが皆に役立てば何よりである。北朝鮮に関して高度で知的な議論に参加しようと思うブロガーには是非とも “North Korea Zone” を薦めたい。我々は暴虎に妥協してはならないと信じている。しかしショッカーに対しては注意深い観測と分析が不可欠である。このショッカーは非常にずる賢く、準備を怠ればアメリカにも日本にも巧妙に屈辱を押し付けてくる。

挿絵:加藤清正の虎退治。まさに日本のヘラクレス!

追伸:通常は英語のブログは英語版にリンクするが、北朝鮮は日本で関心の高い問題なので日本語版にもNorth Korea Zoneをリンクした。

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2007年1月23日

イラクのショッカーを退治せよ!

ブッシュ大統領は110日にイラクの暴徒に対処するため兵力を増強すると発表した。この案自体は何も目新しいものではなく、この決定には特別に驚くところはない。サダム・フセイン打倒後の占領の早い時期から、ロバート・ケーガン氏、ウィリアム・クリストル氏をはじめとする論客やジョン・マケイン上院議員らが大統領に対してバグダッドとイラク国内の危険地域への兵員増強を訴え続けてきた。ワシントン・ポスト20039月1日号に“Why Iraq Needs More U.S. Troops”という論説を寄稿したロバート・ケーガン氏はバース党政権打倒後のイラク再建に向けて治安維持のためにアメリカ軍の増員を主張した。ロバート・ケーガン氏は予備役の動員の必要性を指摘していたが、現政権がこの選択肢には乗り気でなかったことも認めていた。

米軍増員が必要となったのはどのような事情からだろうか?この問題に答えるためには中東全体とイラクの現状を理解する必要がある。

イスラエルの学際研究センターのバリー・ルービン国際問題部長は中東では1950年代以来で最も大きな政治的地殻変動が起こっていると主張している“The New Mideast Alignment” エルサレム・ポスト1月14日号)。ルービン氏は中東が二つのグループに分かれてしまったと言う。一方はHISH(ヘズボラ、イラン、シリア、ハマス)で、もう一方はアラブ穏健派である。現在、イラクはHISHとアラブ穏健派の衝突の最前線となっている。さらに重要なことに、国家安全保障委員会が2007年1月に発行した“Highlights of the Iraq Strategy Review”によれば、ブッシュ政権はイラクを対テロ戦争の最前線と位置付けており、イラクでの勝利がアメリカ、中東地域、そしてアメリカの同盟国にも死活的だと見なしている。ホワイトハウスは、HISHの中でもイランがイラクに及ぼす好ましからざる影響力が最も深刻なものだと受けとめている。

さらに事態を理解するため、イラクに焦点を絞ってみたい。中間選挙直後にイラク研究グループがアメリカの可能な限りの早期撤退、イランとシリアとの協調を提言した。ファイナンシャル・タイムズ1113日号に共同投稿したウィリアム・クリストル氏とロバート・ケーガン氏は“Bush Must Call for Reinforcements in Iraq”という論文でこの案を否定している。両氏はこのような名誉ある敗北では事態の改善に役立たないと主張している。イランとシリアとの協調関係については両氏とも懐疑的である。だがジェームス・ベーカー氏とリー・ハミルトン氏が主宰するイラク研究グループがブッシュ大統領に自らの政策に対する超党派の支持を求めるよう提言したことには賛成している。両氏は「共和党の敗北はブッシュ氏にはイラクでの勝利戦略がないと思われたためで、早く撤退すべきだという世論のためではない。大統領が明確な勝利戦略を示せれば、必要な政策に対する支持を得ることができる。」と指摘している。

先に述べた“Highlights of the Iraq Strategy Review”ではイラクの現状を分析している。 このレポートによれば、多国籍軍は以下の目的を達成した。

サダム・フセイン体制がイラク国民、近隣諸国、アメリカに対して組織的な脅威となることはなくなった。

イラクでは憲法に基づく自由な選挙が行なわれるようになった。

民主主義が確立し、イラク国民が自らの国作りに参画できるようになった。

国民一人当たりの所得は増加(インフレはあるが、世界銀行の試算では$743から$1593に上昇している)したが、これはIMFの指導下での実績である。(グローバル・アメリカン政論では以前、「イラク再建:リベラルが見ても成果は挙がっている」という記事でこのことを述べている。)」

しかしアメリカ主導の多国籍軍は以下の問題に直面している。

アル・カイダのテロ活動と悪意に満ちた暴徒に加えて、今や民族と宗派が関わった暴動も起きている。

イラク政府は権限の移譲を求めているが、政府機構の能力は不充分で民族と宗派の対立も深まっている。

権力の中枢は拡散し、国際管理地域の外側の情勢がイラクの国政に大きな影響を及ぼすようになっている。

このレポートではバグダッド周辺の事態は改善しておらず、多国籍軍に対するイラク国民の支持は低下して地域社会の「自助努力」に頼るようになってきている。イラク情勢に対する主な前提条件が変わってきていることに注目する必要がある(p.7)。敵はスンニ派を基盤とした暴動から様々な民族と宗派に基づく蜂起になってきている。反乱分子との対話は暴動の鎮静化につながると思われてきたが、今やそれが治安の改善に役立たないことがわかった。

イランの脅威の増大も深刻な問題である。ブッシュ政権はイランもアメリカと同様にイラクの政治的安定を望むものと考えてきた。今やイランがシーア派の反乱分子を支援してイラクでの影響力の拡大をはかっていることが明白になっている“Vindicating Larry Franklin”、ニューヨーク・サン1月16日号)

そのような危機的な事態に対してアメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のフレデリック・ケーガン常任研究員は, “Choosing a Victory: A Plan for Success in Iraq”と題するレポートでイラクの暴徒に対する勝利戦略を示している。アル・カイダ、旧バース党、スンニ派とシーア派の反乱分子、からイランにいたるまでの敵を分析したうえで、イラクでの軍事作戦、復興、兵員拡大の戦略を提言している。イラク戦略を語る前に、フレデリック・ケーガン氏は基本的な前提条件を述べている。

「2001年から2006年にかけてアメリカがこの戦いに費やした労力は国力から見て小さなものであった。現役と予備役で100万人以上の兵力があるにもかかわらず、イラクに駐留している兵力は14万人に過ぎない。」

ケーガン常任研究員は、まずバグダッド地域に兵力を集中するよう主張している。そこの鎮圧に成功した暁には、スンニ派とシーア派の地域を一つづつ平定すべきだと述べている。また、アメリカとイラク政府はスンニ派反乱分子に対する鎮圧とスンニ派住民もシーア派住民も守る意志を明確に示すべきだと主張している。そうすることでそれに続くシーアは民兵の掃討作戦も政治的にやりやすくなると分析している。(p.33 ~ 34

さらにフレデリック・ケーガン氏はアメリカがイラクに決然と関与すべきだと言う理由を明確に述べている。ケーガン氏は一般に広まっているイラク軍への訓練と権限委譲を進めるべきだという考え方を否定し、民族・宗派間の暴動の激化はイラク軍の着実な能力向上を上回っていると述べている。アメリカ軍はこうした暴徒を撃破すべきで、イラクから撤退すればイランの影響力がシーア派地域に広まる恐れがある。ケーガン常任研究員はアメリカがサダム・フセインを打倒した目的を達成するにはイラクへの関与を拡大するしかないと主張している。(p.40 ~ 44

最後にAEIのマルク・ルエル・ジェレクト常任研究員の一言を引用する。 

アメリカにとって現時点でのイラク撤退は、米軍以上の犠牲者を出したイラク国民に対する裏切り行為である。 “Should We Surge?”, The New Republic Online, January 11

メディアはよくイラクとベトナムを混同する。しかしジェレクト氏が述べているように、イラクの民主化は進展しており、ベトナム戦争時とは異なってアメリカが支援しているのは腐敗した独裁者ではない。メディアは絶対にこの点を忘れてはならない。

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2007年1月 9日

キッシンジャー元長官ら、世界非核化構想を提言

去る1月4日に強烈な印象を与える論説が登場した。ヘンリー・A・キッシンジャー元国務長官、ジョージ・P・シュルツ元国務長官、ウィリアム・J・ペリー元国防長官、そしてサム・ナン元上院軍事委員会委員長といった顔ぶれがウォールストリート・ジャーナルに“ A World Free of Nuclear Weaponsという論文を寄稿した。4人は世界の非核化に向けてアメリカがリーダーシップを執るべきだと主張している。

政策形成のトップの地位にある者からこうした絵空事とも思われかねない構想が語られることは奇異に感じられるかも知れない。このような提言が行なわれたのはなぜだろうか?その論文を吟味してみよう。

そこでは冷戦期から現在にかけて安全保障をめぐる環境が変化したことが説明されている。冷戦期にはアメリカとソ連の間で相互確証破壊(MAD)を維持するために核兵器が必要であった。しかしこの論文では核兵器への依存は「危険度を増すばかりで効果の少ないものになっている」と述べられている。北朝鮮とイランのようなならず者国家は世界の安全保障に難題を突き付けている。さらに非国家のテロ集団が核兵器を入手する可能性があり、抑止戦略では対応しきれなくなっている。新たな核保有アクターには事故による核兵器の発射を防ぐために信頼性のある安全装置がなく、これがさらなる脅威となっている。

米ソ両国が軍備管理に注いだ努力のおかげで核兵器の意図的な使用も偶発もなかった。今、世界は岐路にあり、これからも人類が核の悲劇に遭わないために何か行動をおこさねばならない。

この論文ではアメリカのロナルド・レーガン大統領とソ連のミハイル・ゴルバチョフ書記長が1987年のレイキャビック会談で核の全面廃棄を訴えたと指摘している。当時は冷戦の終結期であった。20年も前に両核大国の首脳がそのような大胆な構想を抱いていたことは驚くべきことである。

この危険な時代に長年の目標を実現するために、4人は以下の提言を行なっている。

冷戦期の体制を改めて配備中の核兵器に対する警告時間を延長し、核兵器の偶発や最高司令官の許可を得ない使用の危険性を低下させる。

核保有国の核兵器保有量の大幅削減を継続する。

前線配備のための短距離核兵器を廃止する。

上院と共に超党派で以下のことを全世界に呼びかける。相互理解のための信頼の強化と定期的な査察の実施、包括的核実験禁止条約の批准の達成、最新科学技術の進展の活用、批准を確実のするために他の主要核保有国への働きかけといった事柄である。

世界中の全ての核兵器、核兵器転用可能なプルトニウム、高濃縮ウランに対して考えられ得る限りで最高水準の安全基準を科す。

ウラン濃縮工程を管理し、原子炉核燃料用のウランが適正価格で入手できるよう保証する。そうした核燃料の供給源はまず核燃料供給国グループ(NSG)、そして国際原子力機関(IAEA)あるいはその他で国際的に管理されたものである。また原子力発電所の使用済み核燃料の問題についても対処する必要がある。

世界規模で兵器転用可能な核分裂物質の生産を禁止する。民間利用で高濃縮ウランの利用を禁止し、全世界の研究機関から軍事転用可能なウランを一掃して安全な核燃料のみを使用するようにする。

地域紛争の解決に向けてこれまで以上に取り組み、新たな核保有国を出さない。

最後に、4人は核兵器の全廃に向けて現実的な手段を講ずるために大胆なリーダーシップを執ることはアメリカの理念とも合致すると主張している。注目すべきは、これが超党派の政策提言だということである。この論文でも述べられているように、世界の安全保障は岐路に立っている。ヘンリー・キッシンジャー元長官のような典型的なリアリストさえ核兵器のない世界という理想主義的な主張をするまでになっている。

善かれ悪しかれ、ブッシュ政権は中東の民主化を通じたテロ抑止という将来に向けた第一歩を踏み出した。核兵器のない世界の建設もアメリカと世界にとって重要な問題である。ブッシュ大統領は任期を終えるまでに核の全廃に向けた第一歩を踏み出すだろうか?

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2007年1月 5日

新年への問いかけ2:ビクトリア女王が東アジア史に残したもの

Queen3 東アジアの近代史で最大の出来事はアヘン戦争である。ビクトリア女王の艦隊が中華帝国を破り、中華秩序は破壊された。中華帝国は大英帝国による自由貿易とロックの自由主義という世界秩序に引き込まれてしまった。アジア諸国民の殆どは西洋文明の衝撃がもたらした本当の意味を理解できなかった。日本人だけがそれを深刻に受けとめた。アジア人が西洋文明を理解できなかった、あるいは理解しようとさえしなかったのはなぜだろうか?

これは東アジアの近代史の根本的な問題である。日本人は中華帝国による平和と安定はもはや続かず、自分達はビクトリア女王の世界秩序に適応する必要があると結論づけた。そのため、日本国民は「脱亜入欧」というコペルニクス的転換を決断した。アジア東海岸沖の排外主義の国民は、突如として拝外主義の国民に変身し、史上例を見ない情熱で西洋的な思考様式を吸収した。最終的には日本自身が欧米列強の仲間入りをしてしまった。このようにして日本国民は自ら暗黒時代から抜け出て行った。明治の近代化以前の日本は独自の洗練された文明を持つという東アジアでは独特の国ではあったが、他とは隔絶した高度な文明国ではなかった。西洋文明の影響に正確な評価を下したことで、日本は他とは隔絶した高度な文明国になれたのである。

他方で中国とアジア近隣諸国は眠りの中にあり、儒教的な世界観に基づいて中華皇帝が天帝の名代として地上を支配する世が続くものと信じて疑わなかった。冊封体制の下では中華皇帝が世界の諸王の上に君臨した。そのため中国はどの国とも対等の関係を持ったことがなかった。朝貢貿易は中国への忠誠の証しであった。近隣諸国の王は自国の産物を中華皇帝に献上し、皇帝からは恩恵の品々を受け取るのであった。 

この中華秩序は近代的な政治経済体制とは相容れないものであった。自由貿易の守護者であった大英帝国こそ東アジアの暗黒時代を象徴するこうした体制を打破する者として最もうってつけであった。ロイヤル・ネービーの砲火によって時代遅れの儒教秩序は吹っ飛ばされてしまった。中国人もアジア人もそれを理解しなかった。列強に征服されたのも当然である。当時は植民地主義の時代であった。

残念なことに日本の戦時中の指導者達はアヘン戦争の教訓を忘れ、大東亜共栄圏の建設などといったことに無駄な労力を注いだ。 

アヘン戦争は今日にも多くのことを示唆している。現在、欧米は中華帝国をグローバル経済に組み込もうとしている。アメリカの政策形成者達もイギリスの経験から多くを学べるだろう。西洋文明の衝撃は現在でも日本とアジアの関係に影響を残している。だからこそ、この問題について何度も考えてみることは重要なのである。

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2007年1月 2日

新年への問いかけ1:開放的なNATOと閉鎖的なEU

まるで新年を祝うかのように、ルーマニアとブルガリアが1月1日にEUに加盟した。EUのさらなる東方拡大は冷戦後のヨーロッパの安全保障で重要課題である。だが加盟の順番をいまだに待っている国について言及したい。その国はトルコである。トルコの加盟問題はEUの閉鎖性とNATOの開放性を象徴するものである。どうして両者はこれほど違うのだろうか?

トルコがEUに受け入れられれば、西側同盟に大きな利益をもたらす。イスラムと欧米の架け橋として、トルコは中東と中央ユーラシアへの自由と民主主義の拡大を行なううえで前進基地となるであろう。この国は西ヨーロッパの主要国ほど自由で民主的ではないかも知れない。しかし、トルコがケマル・アタチュルクによる革命からずっと政教分離、西欧化、近代化を追及し続けてきたことを忘れてはならない。これは今も続いている。一度EUに受け入れられれば、トルコはアメリカが主導するイスラム世界の民主化の主要基地となるであろう。これはこの地域でのポジティブなドミノ現象に向けた第一歩となる。さらに、トルコのEU加盟によってエネルギー資源に恵まれたシルクロード沿いの広大な地域からロシアと中国の影響を振り払い、欧米の影響下に置くことができる。さらに西側がイランに圧力をかけるうえでも有利である。

歴史的にトルコはアナトリアから新疆にいたる広大なトルコ・ペルシア文明圏と強いつながりがある。勇敢な騎馬民族であったトルコ人は、中央アジア、イラン、アフガニスタン、インド北部、アナトリアで王国を築いてきた。東西の架け橋として、また自由民主主義と啓蒙主義のためのポジティブなドミノ現象の前進基地として、これは絶好の条件である

しかしヨーロッパ人の中にはヨーロッパとは均質なキリスト教世界であるべきだと主張する者も多い。しかしヨーロッパが本当に均質なキリスト教世界だろうか?十字軍の時代にはそうであった。そのキリスト教世界は二分されてしまった。一方は教皇のキリスト教、他方は市民のキリスト教である。すでにヨーロッパは多文化で多宗教の世界である。イスラム教を理由にトルコを拒絶するよりもヨーロッパ人はこの国との共通の絆に注目すべきである。

トルコはイスラム世界でケマル主義による啓蒙路線の追求に成功した唯一の国である。トルコはヨーロッパと共通の価値観を有している。さらに重要なことに、トルコはビザンチン帝国の文明と領土の継承者である。さらにオスマン帝国は同化したヨーロッパ人をイェニ・チェリとして採用した。

拒絶され続ければ、ヨーロッパ人がEU加盟のためにトルコが行なってきた努力を認めてくれないことにトルコ人が苛立つようになる。これがイスラム過激派を勢いづかせることを私は懸念している。

考えてみれば、EUは新規加盟国の受け入れに慎重過ぎた。イギリスがECに加盟するまで10年以上かかったことは余りによく知られている。他方でNATOは連合軍による占領統治の任務が終了すると西ドイツの加盟を認めている。今日ではNATOは日本やオーストラリアばかりか韓国の加盟さえ議論している。他方でEUはアメリカとカナダの加盟さえ議論したことがない。

これほどまで大きな違いをもたらしているのは何であろうか?ともかくNATOと同程度まで開放的なEUであれば、全世界への自由と民主主義の拡大という西側同盟の戦略目標にとてつもなく大きな恩恵をもたらす。これが今回の問いかけの理由である。

ルーマニアとブルガリアの友人達、EU加盟と新年おめでとう!トルコの友人達、新年おめでとう!

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