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2007年9月 5日

イラク戦争と対テロ戦争に対するメディアと法律家のネガティブ・キャンペーン

Gm070825_4 イラクに関するいくつかのレポートが最近になって公表されている。NIEのレポートはある程度の事態の進展に言及しているが、GAOのレポートでは悲観的である。一般にはドナルド・ラムズフェルド前国防長官の戦略の誤りが批判されるべきものと理解されている。しかしリベラル派のメディアと法律家にも現在のイラクの困難を引き起こした責任の一端はある。これら扇動者達は自分達のなしたことが及ぼした悪影響をしっかりと認識すべきである。彼らがイラクでの事件とグアンタナモ基地での囚人の処遇に過剰反応すると、テロリストがそうした混乱を利用してしまう。テロリストでも特にジハード主義者にとってリベラル派の騒ぎは、あらゆる手段でアメリカへのネガティブ・キャンペーンを行なうためにアラーから与えられた絶好の機会となってしまう。

ブログでの友人のマイク・ロス氏は「保守思想」というブログでいくつかの有益な記事を投稿している。

その一つはイラク戦争報道風刺漫画」という記事で、「タウン・ホール」という保守派のジャーナルに掲載された風刺画について短いコメントを残している。マイク氏がこの記事で述べているように、メディアはイラクでのネガティブなニュースを見つけ出してアメリカを批判することに躍起となっている。同じ827日に投稿された「もし、テロとの戦いが司法扱いになればという記事で、マイク氏はグアンタナモのテロリスト囚人達が殺人や窃盗といった一般犯罪者と同じ扱いを受けるべきだというリベラル派の主張を厳しく批判している。その通りである。テロリストが一般の犯罪者と同じように通常の司法手続きで簡単に釈放されてしまえば、彼らは大量殺戮と破壊を繰り返すであろう。

ならず者の指導者とテロリストの脅威は大変深刻なものなので、彼らには私達のような善良な市民と全く違う対処がなされて当然である。去る815日に放映された憲法9条に関するNHKの番組では、慶応大学の小林節教授と反戦活動家の久松重光氏が国際法を根拠にアメリカのイラク攻撃を非難した。私はロバート・ケーガン氏のホッブス対カントの論理によって彼らに反論した。しかし司会からは私が論語読みの論語知らずとも言うべきこうした法律至上主義者に対して疑問を呈する機会は充分に与えられなかった。

確かに小林節教授は日本を代表する憲法学者である。だが重要な点に言及しなければならない。リベラル派がどれほど巧妙で小賢しい屁理屈を並べ立てようと肝心なことが欠落している。法律とは我々の自由を守るためにあるもので、テロリストやならず者の自由を守るためにあるものではない。小林教授のようなリベラル派が本末転倒な主張をするのは非常に嘆かわしい。仮面ライダー人間の自由のためにショッカーと戦う。しかし小林教授のようなリベラル過激派ショッカーの自由のために人間と戦うのである。

メディアと法律家はどうしてこうも喜々としてアメリカの覇権に泥を塗ろうとするのだろうか?世界にとってアメリカがならず者とテロリストを相手に完勝を収めることが望ましいのは明らかである。ヨーロッパ人と日本人もアメリカ人と利益を共有している。以前の「中東の民主化とはネオコンの陰謀なのだろうか?」という記事で、ヨーロッパ人も中東の改革に取り組んでいることに言及した。日本人も麻生太郎前外相に代表されるように東アジア全土の民主化を主張している。スタンフォード大学のヨセフ・ヨッフェ准教授が指摘するように、イラクでの勝利は対テロ戦争と世界の民主化の成功に重要なのである(“If Iraq Falls”, Wall Street JournalAugust 27)。にもかかわらず、リベラル派のメディアと法律家はイラクと対テロ戦争で政策の誤りを見つけ出すと喜び勇んでいる。それどころかグアンタナモのテロリストに対する「人権」の擁護にまで乗り出している。

私の見るところリベラルなメディアと法律家の歪んだプライドとエリート意識が彼らを利敵行為に走らせているものと思われる。そうしたメディアと法律家達は自分達が強大な権威を批判できる手段を持ち合わせていることに誇りを持っている。アメリカは覇権国家なので、誰が合衆国の大統領であっても格好の批判の対象となる。またこうした人達の歪んだプライドの源となっているのは、指導者を批判することで自らの経歴を飾り立てられるという「特権」である。リベラルなメディアと法律家は一般市民の声を代表しているかのごとく振舞っているが、本心ではこのようなエリート意識の固まりの人物達は庶民を見下している。

イラク戦争へのメディアの反応に関して、アメリカン・エンタープライズ研究所の専門家が著した論文に言及したい。先の「米国民主党は建設的なイラク政策を示せ」という記事ではマイケル・バロン氏とトマス・ドネリー氏の論文を引用した。両常任研究員とも党利党略がイラク論争に絡んでいると指摘している。さらにメディアの戦争報道がどのように世論を誤った方向に導いているかりかいするために、トマス・ドネリー氏のもう一つの論文とフレデリック・ケーガン氏の論文に言及しなければならない。デイリー・スタンダード6月20日号に投稿した”NBC’s Body Armor Embarrassment”という論文でドネリー氏は以下のように結論づけている。

メディアと民主党指導部はベトナム戦争の暗い記憶の真っ只中にあり、この戦争に負けたものと決め込んでいる。上院多数派の指導者となったハリー・リード上院議員に至ってはバグダッドの現状を現地司令官のデービッド・ペトレイアス陸軍大将より知っているかのように錯覚している。しかしメディアと民主党も敗北主義を振りかざして戦地に赴く兵士あるいはもっと広くアメリカ全体を世界から疎外することを恐れている。そこで兵士を犠牲者のように描き出す必要が出てくる。この戦争で本当の犠牲者は真実である。

フレデリック・ケーガン氏はデイリー・スタンダード6月5日号に寄稿した”Misunderstanding the Surge”という論文で、ニューヨーク・タイムズがイラクの状況をよく理解していないために誤った報道をしていると指摘している。ケーガン氏によるとニューヨーク・タイムズが6月4日に掲載した”Surge Has Failed”という記事では前任司令官のジョージ・ケーシー陸軍大将と現司令官のデービッド・ペトレイアス陸軍大将の戦略を区別できていない。ケーシー陸軍大将の計画は2003年時点の前提に基づき、イラク軍への権限委譲を主眼としていた。イラクでの民族宗派間の抗争を鎮めるために、ブッシュ政権は新たにペトレイアス陸軍大将の任命と戦略の変更を決断した。ニューヨーク・タイムズは派兵増加の結果を前任者の戦略に基づいて判断している。事実、兵員増派が行なわれたのは新司令官が前任者の試行錯誤を検討し、ジョージ・W・ブッシュ大統領が110日に講評した新しい戦略を実施してからである。ケーガン氏は増派の結果は9月まで静観する必要があると述べたが、8月にはブルッキングス研究所のマイケル・オハンロン氏とケネス・ポラック氏といった戦略家がある程度の成果を認めるようになった。

メディアについては述べたが、傲慢な法律至上主義者を徹底攻撃するにはもっと資料に当たる必要がある。エリート意識の固まりのリベラル過激派達がそこまで喜び勇んでホワイトハウスをけなしあげるのはなぜだろうか?フレデリック・ケーガン氏はそのような心理を以下のように説明している。

敵は我々の戦略が失敗に帰すよう手を尽くしてくるばかりかアメリカとイラクの世論が作戦の成功に疑念を抱くように仕向けようとしてくるので、数ヶ月の間は難局が続くだろう。・・・・・・ニューヨーク・タイムズは現司令官の作戦と全員者の作戦を混同している。現司令官が前任者から引き継いだ問題の解決に当たっているのに、それを新戦略の失敗だと決めつけてしまう。あるグループの人達はアメリカのイラク政策がすでに失敗したと性急に結論づけてしまう方が気は楽なのかも知れない。しかし最後までやり抜こうとする意思がある限り、アメリカは成功を収める可能性があるのである。

両戦争では従来の戦争とは敵の性質が全く異なるので、いかなる超法規的手段も正当である。これを非難するなど間違いも甚だしい。鼻持ちならないエリート意識を振りかざすリベラル過激派の諸君、利敵行為は止めないか!利口面をした傲慢な人達が世論を捻じ曲げれば敵が踊りあがって喜ぶ。このような邪魔者達を黙らせる手はないものか?ドナルド・ラムズフェルド前国防長官よりも彼らこそ非難されてしかるべきである!

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コメント

先日は、ありがとうございました。
有意義な会話ができて嬉しく思います。

イラク戦争の国際法上の正当性については国連決議1441号で担保されるという考え方が一般的です。大量破壊兵器が存在しないことをイラクは積極的に証明する義務がある。そうしない場合は連合国はイラクを攻撃してよい。それがアメリカの解釈。イラク戦争が国際法違反という人はどのような法理でそうなのか説明しなければなりません。そのような話を小林氏も久松氏もなさいませんでした。
イラク戦争が国際法違反という人は多いにもかかわらず誰一人として国際司法に訴えないのは、結果がみえてるからです。結局のところ国際法違反とはいえない。
国際法の解釈は国によって異なるのです。普通の国内法のようなわけにはいかない。その程度のものともいえるわけですが。
この点を私は話たかったのてすが途中で遮られてしまいました。
本当はあの発言の際に日米が共有する価値観の重要さ、あのような番組のように自由に一般人が討論できるのもアメリカ的な民主主義、テロや全体主義に屈しない価値観だからということを言いたかったのてすが、イラク戦争に対する議論があまりに反米的だったもので、彼らの暗きを開いてやらねばと思って本質的な話ができませんでした。

投稿: アラメイン伯 | 2007年9月 7日 22:11

>>イラク戦争の国際法上の正当性については国連決議1441号で担保されるという考え方が一般的です。

国連決議に基づいたほうが良いと助言したのはブレアです。アメリカと緊密な関係にあったからこそできたことです。イラク戦争に限らず、あの番組での反米気運は異様でした。いくつかのブログにトラックバックを送って、参加者の皆があのような見解ではないと訴えています。

久松爺さんは本文中のリンク先の8月20日のブログ記事によると、何やら資料を揃え込もうとしていたようです。それにしてもあの爺さんもわかってないです。改憲派と言っても親米派とナショナリストは全く違うのだと。番組中にも司会の三宅アナに叫んで訴えたのですが、全く理解してもらえませんでした。その後、ディレクターを通じて司会者にこのことを訴えました。

他の左翼参加者のサイトやブログでも親米派とナショナリストの区別ができていません。イラクで活動するyatchさんはこのブログ上で議論したので、両者の区別はわかってもらえたと思いますが。

イラク云々と言うより、ともかくアメリカと世界、そして日本の関係について根本的な理解ができていない議論だったと思えます。

それにしても先日はこちらこそ池袋で有意義な時間を過ごさせていただきました。あの辺りには私が普段から利用する施設などもあります。

投稿: 舎 亜歴 | 2007年9月 8日 22:57

舎さん

こんばんは。

まず、アメリカのイラク戦争の法的根拠ですが、これは、安保理決議、678,687です。お確かめください。

安保理決議と同盟国、友好国の同意が必要であると進言したのは、ブレア前首相、及び、コリン・パウエル前国務長官です。

結果、採択されたのが、1441決議になります。日本の自衛隊派遣は、この決議を根拠にしております。

ここで、細かい、国際法の解釈論をする気はないのですが、事実、欧米の国際法学者でもその解釈、見解は、わかれています。(根拠になるか、ならないかですね)

恐らく、今後のケースは、国際法の解釈が割れるケースが殆どでしょう。

あと、小林節教授は、よくご存じだと思いますが、もともと改憲論者ですが、昨今の右傾化を受けてか、護憲的になっていますね。

そもそも、国際政治学者は、国益(利益)をまずもって考えるものです。それに対して、法学者は、法の遵守を第一に考えるでしょう。そこから、思考プロセスが異なってきます。

私から見れば、一国にあれほどの、パワーが集中すれば、そのパワーは何らかの形で、使用されるものです。たとえば、イギリスなら、フランスなら、ドイツなら、日本なら、このような反実仮想は、歴史をみても簡単でしょう。

現在なら、結果論的に、イラクで混迷し、アフガンも思うようにいっていない、まあ、そのはじめからかも知れませんが、アメリカを批判することは、容易でしょう。では、何故そのようなるのかという外交・軍事の規定要因を考えなければいけないはずです。

又、軍事力のデメリットばかりを説くのでなく、メリット・デメリットというバランスの取れた認識が必要です。その行使においても、タイミング、介入レベル、出口戦略などのトータルで、紛争が大規模になる前に防ぐこともできるのです。もちろん、泥沼を招くケースもあります。

私は、リアリスト的な要素が大きいですから、国際法の持つ正統性が全てだとは思いません。パワーによって、維持される秩序・制度・アクター間の関係も重要です。そこには、パワーの正統性もあります。

国際関係では、アクター間の政治が先行します。そのあと、法的な議論は、すればいい。

ところで、その日本ですが、あまり報じられていませんが、ICCに加盟し、この恐らく10月から法的効力が発生します。まあ、日本に関係することは、現状、起こらないでしょうが。。。

長くなりました、すいません。

投稿: forrestal | 2007年9月11日 22:30

どうもご指摘ありがとうございます。パウエルもブレア同様に国連決議と同盟国の支持を重視していました。少数精鋭でイラク軍を簡単に撃破できると言っていたラムズフェルドとは違います。

小林節が改憲派から、昨今の憲法改正議論のあり方に危機意識を抱き始めたのはよく知られています。そのことはとやかく言うつもりはありません。ただ、「イラク戦争は侵略戦争で、アメリカもこれを認めた」などというプロパガンダに不快感を持ちました。

あれだけの法学者で弁護士でもあるので、それこそ緻密に裏を取ったいぇでの発言なのは間違いありませんが、現実にはアメリカ政府から戦争そのものが間違っていたという発言はありません。戦略や政治(同盟国の支持の取りつけ)などの誤りは認めていますが。さらに反イラク戦争左翼が言うようにアメリカ政府自身が非を認めた戦争なら、MAFのようなイラク戦争支持の保守派市民運動は一気に瓦解してしまうわけです。前線の式は急速に落ちます。ブルッキングス研究所のオハンロンとポラックがNYTに投稿したような増派による戦況改善は有り得ないわけです。

こうした現実を無視してひたすら瑣末な法律論で相手をやり込める、これでは冤罪を作り出すどこぞの悪徳検事、あるいは常識外れの議論で裁判に勝とうとする悪徳弁護士を連想させます。

forrestalさんの指摘の通り、戦略上の誤りを冷静に分析することが重要です。それとともに、何か間違い探しを楽しむかのようなメディアの報道姿勢には疑問を感じます。開戦当初からそうした姿勢のメディアもありました。テロリスト達はそうした様子をよく見ていたのでしょう。だからこそイラクに集結したのでは?

もしかしたらメディアがあのような報道姿勢をとるのは国連官僚機構と多国籍NGOの陰謀でしょうか?国連決議で大国、特にアメリカの行動を縛れないとなると彼らの存在意義がなくなります。不思議なことに石油業界とネオコンの陰謀はまことしやかに報道されるのに、反戦派の陰謀は報道されません。偏った世論形成は困ったものです。

投稿: 舎 亜歴 | 2007年9月15日 11:46

舎さん

>>ただ、「イラク戦争は侵略戦争で、アメリカもこれを認めた」などというプロパガンダに不快感を持ちました。

これは、どういう国際法上の根拠、及び、アメリカ政府の見解の解釈なのかわかりません。

国際法上では、1974年に「侵略の定義に関する決議」という総会決議があります。これに該当するかも不明です。それとも、ご自身の「侵略」定義に基づいた発言なのかは、わかりませんが、私の見解では、この決議に当てはまるかさえ?です。

欧米、日本のイラク戦争批判をする、国際法学者でさえ、「予防戦争」であり、違反であると述べています。舎さんもご存じのラディカルな政府批判をする、マイケル・ウォルツァーでも、予防戦争であり、正当性がないという見解ですね。

あのような討論、時間的制約のある中での発言ですから省略しなければいけない部分は多々あるのでしょうが、正直、プロパガンダ的と思いますね。

マスコミが「第4の権力」として、チェック(批判)していくことも重要ですが、同時に、進展、進歩に関しては、称賛していくも大事でしょう。

テロリストが結果、イラクに集結したかはわかりませんが、ビン・ラデンインのような国際テログループの指導層は、大変、巧みで、消して褒めるわけではありませんが、国際情勢などの見識があります。つまり、国際政治経済秩序や、こと、アメリカのような開かれたオープンなシステムや社会を上手く使いますね。マックス・ブートに言わせれば、ある種のウイルスであると。つまり、現状、その特効薬はないので、インテリジェンスを持って、行動を先読みし、表面化(テロ行動)に移らないよう、閉じ籠める、封じ込めるしかないと言っています。

国連やINGOsに言っては悪いですが、各国の世論形成に大きな力を与えるだけの、パワーはないでしょう。ただ、陰謀かどうかは、わかりませんが、デモクラシー国家に生きる以上、多様な見解・活動は、あってしかるべきです。問題は、それをどう私たちが、リテラシーしていくかでしょう。

国連だって、主に安保理に絞っていうならば、イラク戦争開始前に、当時のアメリカを3か月もバインディング出来たんですよ。又、その結果、国際的にも、特に日本において、おのアテンションは、高まったんじゃないでしょうか。

ネオコンを嫌った、ジョージ・F・ケナンでさえ、むしろ、アメリカ外交の道徳的・法律家的態度を批判してます。それが、いまや、アメリカを超えた国際政治で行われてしまっている。

国際政治は、「利害の調整」の空間であって、「正義」を実現する空間ではありません。もちろん、国際正義という大義に自国の利益をすり替えることは大切ですが。アメリカは、この当たりが、西欧に比べて下手ですね。

日本は、問題外ですが・・・

投稿: forrestal | 2007年9月16日 22:02

ここで端からちょっと補足しますと。
forrestalさんが言われていることは、国際関係論のRealism国際関係論の考え方になります。Realismは国際社会をパワーポリティクスの原理で考え、そのパワーの勢力均衡をもって安定状態を作り出すように思考します。そこにイデオロギーとか倫理はありません。これに対して、舎さんはいうまでもなくネオコンの立場に立っています。ネオコンはアメリカの理念と倫理を国際社会で体現することを目的としています。従って、Realismからすれば、ネオコンが「正義」を外交政策に持ち込んだことは批判すべきことであり、事実、アメリカ国内ではRealism派からネオコンへの批判は多いです。

で、真魚さんはどっちですかというと、うーん、Constructivismが好きなんですけど。

投稿: 真魚 | 2007年9月17日 11:14

forrestalさん、

この「イラク戦争は侵略戦争で、アメリカもこれを認めた」というプロパガンダは、反イラク戦争のグループが好んで使います。本文中の久松御大老もそうですし、イラクで活動するNGOの相澤代表もそのように言っています。何を根拠にそのように発言しているのかは追及していないのでわかりません。「アメリカも認めた」の根拠は何でしょうか?もしかするとinvadeあるいはinvasionという動詞と名詞が使われたためでしょうか?

しかしこれらの語が日本語で言う「侵略戦争」のような悪逆非道なニュアンスを必ずしも伴っているとは思えません。何せ賛戦派の論客であるハーバード大学のニール・ファーガソンが使っているくらいなので。

>>国連やINGOsに言っては悪いですが、各国の世論形成に大きな力を与えるだけの、パワーはないでしょう。ただ、陰謀かどうかは、わかりませんが、デモクラシー国家に生きる以上、多様な見解・活動は、あってしかるべきです。問題は、それをどう私たちが、リテラシーしていくかでしょう。

本文中で国連と多国籍NGO(INGOよりむしろこちらを使いたいです。国連官僚に取り入って権力の中枢に入り込んでゆく様は、まるで彼らの宿敵の多国籍企業にそっくりだからです。)の陰謀などと敢えて言い立てたのは、左翼勢力が流布する陰謀理論への逆襲です。彼らが得意になって石油業界、軍事産業、ネオコンを槍玉に挙げるなら、そっくりそのままの陰謀論で反論できると言いたいのです。

forrestalさんのコメント通り、国際政治は利害の調整の場です。しかし冷戦後の安全保障で民主化の促進のような「正義」の実現が重要課題になってきたのは周知の通りです。これに関して、クリントン政権からブッシュ政権の誕生までの世界とアメリカの外交・安全保障政策を、今こそ振り返る必要があるように思えてなりません。ブッシュ政権は任期を終えますが、次に出てくる政権が新時代にどのように対応してゆくのか?この次の記事にリンクしたスティーブン・エバーツの論文は多いに参考になりそうです。

アメリカ人だろうとヨーロッパ人だろうと、ネオコンだろうとリアリストだろうとリベラルだろうと、米欧間あるいはアメリカと世界について共通の認識は持てるものだと感じます。

投稿: 舎 亜歴 | 2007年9月17日 12:16

真魚さん、

リアリストの指導的人物であるヘンリー・キッシンジャーはアメリカ外交の道徳的側面をソフト・パワーとして評価しています。今やヨーロッパもアメリカと共に中東その他の民主化拡大を重要な政策課題としています。冷戦後の世界で価値観の役割が大きくなっているので。

もちろん、diehardなネオコンと言えどもbalance of power思考は欠かせません。

アメリカ国内のイデオロギー対立以上に、力による世界平和目指すアメリカと対外関与に消極的となったヨーロッパの立場の違いの方が大きな問題では?この次の国連とアメリカの記事にリンクしているスティーブン・エバーツの論文はヨーロッパ人の立場から米欧間のギャップへの問題意識を訴えています。

思えばこれが書かれたブッシュ政権成立期をいまこそ振り返る必要があります。次にどんな大統領が出ようともBush legacyは冷戦後の時代の落とし子そのものです。リベラル派がいかに否定的に見ようとも、その後の大統領の政策を方向付けたのではないでしょうか?

投稿: 舎 亜歴 | 2007年9月17日 23:00

舎さん

こんばんは。

>>真魚様、補足ありがとうございます。確かに私は、realsitcですが、ご存じの通り、realismも多元派しております。また、moral skepiticismでもありません。現在の国際社会では、公正や尊厳も求められます。又、ソフト・パワーも重要です。それに、読んでいて一番、楽しいのは、constructivismだったりします(笑)

個人的には、realismに軸足を置きながら、liberalism constructivismのideasも、柔軟に取り入れているつもりなんですが・・・(汗)

これは、舎さんも、真魚さんもご存じのとおり、アメリカという国家は、多分に、その価値(理念)が優先されますね。

>>舎さん invadeやinvasionという語が使われたから侵略なのかはわかりません。又、戦争に倫理性(善悪)が持ち込まれたのは、WWⅡ後のニュルンベルクや極東国際軍事裁判に備えてのものだという説もあります。まだ、この辺は、研究途中ですが、とにかく、根拠は、わかりませんが、そのあたりではないでしょうか。

ファーガソン氏の『COLOSSUS』は、私から見れば、「empire」と 「hegemony」概念が少し混同しているように見ております。結局のところ、ギルピンのhegemonic staibility theoryと大差ないような感じでしょうか。

まあ、民主党なら、Nye氏 や M.o'Hanlon氏がイラク政策では、キーパーソンになるのではないでしょうか。

あまり、専門用語を使うのも、あれなので、ここで控えておきます。

真魚様、補足、ありがとうございました。

投稿: forrestal | 2007年9月18日 02:15

forrestalさん、

国家が理念に基づいた対外政策をとるのは、ウェストファリア体制以前から見られたことです。マケドニア帝国とローマ帝国は人間の理性に信頼を置くギリシア文明、ローマ文明の普及でした。東方では中華帝国の歴代王朝が儒教に基づく冊封体制をとっていました。

中世のキリスト教世界とイスラム教世界の抗争は理念の対立です。もちろん、リアリズムの側面は多いにありました。

大きく変わってくるのは、ウェストファリアの少し前の大航海時代からでしょうか?西欧列強による未開の民に対するキリスト教文明、少し時代が下ると啓蒙主義の普及が重要かつ神聖な責務になってきます。その中にはスペイン帝国によるアメリカ大陸の現地文明抹殺のように、現代から見れば逆に非道なものも多かったのは周知です。

hegemonyとempireの混同・・・・。ニール・ファーガソンは現代アメリカが帝国でなければ一体何かと問いかけています。アメリカは歴史上のどの帝国と比べても異質です。確かに自国の理念の普及や通商利益のために海外での武力行使を盛んに行なっていますが、日本やドイツのように破った敵国を征服したり搾取したりはしていません。沖縄と小笠原も軍政の必要がなくなると日本に返還しています。第二次大戦後にドイツ、ポーランドの領土を掠め取り、バルト三国を併合し、日本の北方領土にも居座り続けるスターリンのソ連(そして今のロシア)とは大違いです。

道徳的価値観を重視したのは大英帝国も同様です。アジアとアフリカの植民地に啓蒙主義、自由主義を広めると同時に奴隷貿易を廃止させるために世界最強の海軍を動員しました。同じくニール・ファーガソン著の"Empire: The Rise and Demise of the British World Order and the Lessons for Global Power"に詳しく記してあります。

ただ全てのempireがhegemonyにはなれません。フランス、ドイツ、ロシアはなれませんでした。小さなベルギーでさえ、一応はempireでした。

専門的なコメント多いに結構。今やそうした難しい話もわかりやすく語る識者が多いです。コメント中にリンク・タグを使用すれば、かなり難しい話しでもクリックで参照できます。

<a href=http://XXX>該当語句</a>

該当語句以外を半角英数で入力すればOKです。

投稿: 舎 亜歴 | 2007年9月19日 02:59

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