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2007年11月30日

ネオコン外交政策の行方と日欧の対米関係

ネオコンの外交政策ではアメリカの主要同盟国であるヨーロッパと日本を相手に衝突が避けられないと広く信じられている。しかし党利党略がどうあれ、アメリカ外交が大なり小なりネオコン的になるのは、建国の理念と覇権国家として自由主義の世界秩序を守る役割からすれば当然の帰結である。このことはアメリカが常に他の国との協調なしの単独行動に走ることを意味するのだろうか?

実際にはヨーロッパもイラクをめぐる亀裂を乗り越えて世界規模の安全保障に積極関与しようとし始めている。NATOとEUは世界全体への影響力拡大のためにアップグレードされるであろう。そこでブッシュ政権後のネオコン外交の行方に加えて、ヨーロッパと日本がグローバルな課題に対してどのような役割を担ってゆくかを述べてゆきたい。

まずネオコンの将来について述べたい。アメリカン・エンタープライズ研究所のジョシュア・ムラブチック常任研究員は、イラクで困難な事態があろうともリベラル派もリアリストも9・11後の世界で一貫性のある外交政策の指針を示してこなかったと指摘する。だからこそ対テロ戦争に直面するジョージ・W・ブッシュ大統領の心理をとらえたのである。論文の最後をムラブチック氏は以下のように締め括っている。 

人は常に政策がより良く実行されることを望むものであるが、我々に突きつけられた戦争への対処に最も有効な答えを持っているのはネオコンだけである。(“The Past, Present, and Future of Neoconservatism”; Commentary; October 2007)

ネオコン外交には三つの重要な点がある。第一に道徳的価値観を重んじ、アメリカが自由主義の価値観の指導者であるべきと強く信じている。第二にリベラル派の多くと同様に国際派で、たとえアメリカの国土から遠く離れた脅威であっても早期に抑えておくべきだと考えている。第三に殆どの保守派と同様に軍事力の有効性を信じており、経済制裁や国連決議には懐疑的である。

識者の間で広く言われているように、ムラブチック氏はイラクでの困難はドナルド・ラムズフェルド前国防長官の政策の誤りによるものとしている。ラムズフェルド氏は充分な兵力を送らなかったが、AEIのフレデリック・ケーガン氏とジャック・キーン退役陸軍大将の提言に基づいた兵力増強を行ってからというものイラク情勢は好転している。

イラク戦争は誤った場所で誤った敵を相手にしていると主張する論客もいるが、こうした者が必ずしもハト派というわけではない。彼らもアメリカが特別な役割を担っており、その軍事力は道徳面でのリーダーシップに活用されるべきだと信じている。民主党のバラク・オバマ上院議員は、イラクでなくパキスタンにあるテロ根拠地を爆撃すべきだと主張している。また、アメリカン・エンタープライズ研究所でフリーダム記念研究員のマイケル・A・レディーン氏はアメリカがイラクではなくイランの脅威に対処すべきだと主張する。イラク論争でどのような立場をとろうとも、どの政権でも大なり小なりネオコン的な政策をとるものである。

これによってアメリカとヨーロッパの衝突は避けられないのだろうか?実際にはヨーロッパ人からもアメリカ帝国による世界秩序を支持する声が挙がっている。 

イギリスの歴史学者でハーバード大学のローレンス・A・ティッシュ記念教授の地位にあるニール・ファーガソン氏はあまりにもよく知られている。著書の“Empire”“Colossus”で、ファーガソン教授はアメリカがかつてのイギリスにも引け劣らぬ積極介入を行なって自由主義世界秩序を維持すべきだと主張している。

この他にもドイツのディ・ツァイト誌編集長でスタンフォード大学訪問教授のヨセフ・ヨッフェ氏がアメリカの覇権を支持している。著書の“Überpower”でヨッフェ氏はアメリカによる世界秩序をどのように維持すべきかを説いている。さらにフォーリン・ポリシー2005年1月号に投稿した“A World without Israel”という論文で、アメリカとイスラエルの特別関係を擁護している。

フランスではジャック・シラク氏が去り、ニコラ・サルコジ氏が政権の座に就いた。

ヨーロッパの識者達がアメリカの覇権を支持しているだけにとどまらず、ヨーロッパ諸国もより積極的に世界に関与しようとしている。カーネギー国際平和財団のロバート・ケーガン上級研究員によると、ウクライナ、バルカン半島、トルコ、北アフリカでの流動的な情勢によってヨーロッパ人も拡張主義政策をとるようになりつつある (“Embraceable EU”; Washington Post; December 5, 2004)。ウクライナの民主化支援に当たって、ヨーロッパが果たした役割はアメリカに引け劣らぬものであった。

イギリスの元外交官でヨーロッパ外交問題評議会のロバート・クーパー委員は、東ヨーロッパ諸国とトルコの加入を誘致して、自由帝国主義政策を追求すべきと主張している。このようにしてヨーロッパが世界全体と自分達の安全保障のために民主主義を拡大できるという。またNATOの拡大によって自由主義世界秩序を強化するための米欧協調が強まるであろう。ロバート・ケーガン氏はこの論文で「それはアメリカにとって、ヨーロッパが数千の兵をイラクに派遣するよりもはるかに戦略的に有意義である」と結論づけている。

今年の10月にイギリス政府が“Global Europe”と題する新しいレポートを出した。このレポートは内閣府と外務英連邦省が共同出版したもので、EUが共同で東と南の近隣諸国に自由で民主的な社会を普及させ、そしてミャンマー、イラン、北朝鮮といった圧制体制下の国には共同で制裁措置をとるよう提言している。

ヨーロッパが世界規模での関与に積極的になろうとしている矢先に、日本ではインド洋での作戦行動の再開をめぐって議論する価値もない法律論争に精力が浪費されている。世界規模の対テロ戦争の時代にそのように瑣末な議会論争に多くの時間を費やすことは全く馬鹿げている。悪名高き平和憲法に過剰に固執してしまえば、日本は落ちこぼれになってしまう。忘れてはならないのは、日本が最優等生の仲間に入れたのは「遅れたアジアから脱け出し、西欧列強になる」ことを成し遂げたからである。日本の指導者達が本気でNATOに加盟したいなら、このことは銘記するべきである。

ネオコンの外交政策は必ずしもアメリカの単独行動主義につながるものではない。むしろ世界の運営に関しては他のイデオロギーより明確なビジョンを打ち出しているネオコンが提起する政策はヨーロッパにも日本にも重要なものである。究極的には、誰が合衆国の大統領であろうと大なり小なりはネオコン的な政策をとるものである。

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2007年11月15日

アメリカが主導する世界の民主化促進の現状と今後の展望

合衆国の大統領が誰であろうと、民主主義の普及がアメリカ外交の重要政策課題であることに変わりはない。民主化の促進によってアメリカのソフトパワーは強化されるのである。トマス・カロザース氏が“US Democracy Promotion During and After Bush”というレポートを出版したのに伴い、912日にカーネギー国際平和財団でパネル・ディスカッションが開催された 

司会はフリーダム・ハウスのジェニファー・ウィンザー理事が務めた。レポートの著者であるカーネギー国際平和財団のトマス・カロザース副所長がプレゼンテーションを行なった。 

パネル・ディスカッションには二人のコメンテーターが参加した。一方はブッシュ政権の民主化政策に批判的ながら、もう一方は現政権の方針を支持している。

批判派はジョンズ・ホプキンス大学ポール・ニッツ高等国際研究学院のフランシス・フクヤマ教授である。かの「歴史の終わり」の著者として余りにも有名である。フクヤマ氏はイラク戦争を支援したネオコンのシンクタンク「新世紀アメリカのプロジェクト」の発起署名人である。その後、ブッシュ政権のイラク政策に批判的になったことはよく知られている。

他方でブッシュ支持派では元下院議員で現在は全米民主主義基金という民主化促進NPOの会長を務めるビン・ウェーバー氏が討論した。ウェーバー氏は2004年大統領選挙でブッシュ・チェイニー陣営の選挙参謀の一人であった。共和党職の強いウェーバー氏だが、マデレーン・オルブライト元国務長官と共同で「アラブ世界の改革に向けたアメリカの政策」の研究プロジェクトを主宰した経験もある。さらに現在はエネルギー長官の諮問委員も務めている。

このイベントのビデオに論評を加えながら、アメリカの現政権と次期政権が民主化をどのように促進してゆくかという展望を模索してみたい(WindowsPod castQuick TimePDF)

最初にトマス・カロザース氏がブッシュ政権の民主化促進政策についての分析についてプレゼンテーションを行なった。ブッシュ政権の外交政策で民主化拡大が占める地位については、中軸を占めると言う者もあれば、現政権は民主化促進を重視していないと言う者もある。カロザース氏は真実はその中間にあり、事態はもっと複雑であると言う。アメリカ外交政策は安全保障と経済での国益追求と真の民主化支援が混ざり合ったものだという。

イラクの民主化に関して、トマス・カロザース氏はブッシュ政権が民主化に熱心なように見えるが、この目的の達成に向けた明確なビジョンが打ち出されていないと指摘している。むしろ現政権はイラク以外の中東地域で現政権は成果を挙げているとカロザース氏は述べている。アメリカによるアラブ市民の自立支援(エンパワーメント)は徐々に進んでいるが、中東地域でも権威主義体制にあるサウジアラビア、湾岸諸国、パキスタンと緊密な関係を築かざるを得ないというリアリスト政策の必要性から民主化は思うように進んでいない。これは急速な民主化によって反欧米のイスラム主義体制が台頭しかねないからである。 

その他の地域でのブッシュ政権の政策は1980年代から1990年代までの歴代政権と同じパターンであるとカロザース氏は言う。アメリカはベラルーシ、ミャンマー、ジンバブエといった独裁体制と対立している。また、アメリカはウクライナ、リベリア、ネパール、ペルーといった国々の民主化を支援している。

他方でカロザース氏は、ロシアと中国のように戦略的にライバル関係にある国に対しては主として経済と安全保障の観点からリアリスト政策をとっていると述べている。またアメリカは対テロ戦争を進めるためにも中東、アジア、アフリカその他で非民主国家と協力してゆかざるを得ないが、ここでは民主主義の大儀とは逆になっている。

ブッシュ政権の民主化拡大政策がこれまでの政権とどのように違うかについて、カロザース氏は三つの点を挙げている。それは対テロ戦争との兼ね合い、中東への積極介入、そして軍事力の積極活用である。カロザース氏はアメリカの民主化拡大政策は中東では遅々として進まぬものの、ウクライナ、キルギスタン、グルジアといった他の地域では進展していると指摘する。カロザース氏はブッシュ政権の政策がイラクと対テロ作戦に重点を置き過ぎてアメリカの民主化促進政策の正当性を損なっていると主張している。また、ロシアと中国の「権威主義的資本主義」の成功により、これを「代替モデル」とする国も現れるようになると警告している。

対テロ戦争とイラクに関して私は全面的に同意してはいないが、トマス・カロザース氏はアメリカの民主化政策についてよくまとめた議論をしている。また、中東での進展が進まないのは、AEIのルエル・マルク・ゲレクト氏が述べたような政治的に複雑な事情からすれば理解できる。ただ核兵器や日本人拉致被害者の問題でどのような進展があろうとも北朝鮮の独裁体制が我々の自由世界に与えている脅威が甚大なものであることを考えれば、カロザース氏がこの国に言及していないことは憂慮すべきことである。最終的にあのような国家は消滅させる方が望ましい。アメリカの対北朝鮮政策はロシアと中国に対するものと同様にリアリストなのだろうか?

現政権の世界民主化政策にはこれまでとは違うところもあるが、殆どの部分は歴代政権のものと一貫している。だからこそ、私は反ブッシュ活動家の多くが掲げる主張が疑わしいと重ねて言っておきたい。

トマス・カロザース氏のプレゼンテーションの後でビン・ウェーバー氏とフランシス・フクヤマ氏が論評を加えた。

まずビン・ウェーバー氏がブッシュ政権支持の立場から議論した。カロザース氏は空虚で非現実的だと批判しているが、ウェーバー氏はブッシュ大統領の力強い呼びかけが民主化への刺激になっていると述べている。ウェーバー氏は民主化が重要なのはブッシュ政権にとどまらず次期大統領にとっても重要な政策課題であるというカロザース氏の見解に基本的に同意している。

ウェーバー氏はブッシュ政権下で中東パートナーシップ・イニシアチブのような進展が見られることを指摘している。また、ウェーバー氏はブッシュ政権の政策に間接的な影響を受けて、世界各地で民主化運動を立ち上げたNGOが次々に誕生していると主張している。

ウェーバー氏のコメントは妥当である。民主化がこれほど重要な政策課題となったことはかつてなかった。これは対テロ戦争も一因ではある。今や我々は転機にあり、合衆国の大統領が誰であっても現大統領が行なっているような政策をとったであろう。

フランシス・フクヤマ氏は別の観点から議論した。フクヤマ氏はイラク問題でアメリカの民主化促進政策が歪められたと主張する。フクヤマ氏はサダム・フセイン放逐に当たって民主化は大量破壊兵器と対テロ戦争に続く三番目の理由であったと指摘する。また、ブッシュ政権が民主化を安全保障政策の道具にすることで、諸外国にはアメリカが民主主義の理念と事故気宇の戦略的利益を混同する偽善者に映りかねない。フクヤマ氏はウェーバー氏に対し、民主化拡大に向けたブッシュ政権の高尚なレトリックによって自由を求める諸国民は勇気づけられるだろうが、アメリカに反感を抱く多くの者を刺激することもあると主張している。

確かに民主化促進が戦略目的と過剰に関連づけられるべきではない。この点について私はフランシス・フクヤマ氏に同意するが、アメリカ外交で自由主義の理念と安全保障上の国益は表裏一体であることを思い出す必要があると思われる。

このイベントはブッシュ政権の民主化政策についてバランスのとれた観点から議論されている。反米過激派が民主化促進政策をネオコンの陰謀だと言うことは、明らかに誤りである。このイベントでの議論を理解することは、次期政権の民主化政策の行方を探るうえでも重要である。 

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2007年11月 4日

「イランの自由作戦」を遂行する市民のインターネット活動

コンドリーザ・ライス国務長官とヘンリー・ポールソン財務長官がアフマディネジャド政権の核開発計画を阻止しようと経済制裁を表明してから、イランとアメリカの間の緊張は高まっている。核拡散をめぐってアメリカとイランが戦争をするのではないかとまで言う者もある。イランの市民は神権政治の下にある自分達の国をどのように見ているのだろうか?当ブログでは以前に「中東の民主化とはネオコンの陰謀なのだろうか?」という記事で「ペルシアン・ジャーナル」というインターネット誌について言及した。イラン人の政治的論理と感情を理解するために、このインターネット誌について述べたい。

ペルシアン・ジャーナルのウェブサイトでは、以下のような自己紹介がなされている。

「ペルシアン・ジャーナルは、Iranian.ws というイランの進歩派によるネット上のコミュニティーと情報源サイトのニュース部門を担っている。ペルシアン・ジャーナルはイランの現在の出来事と文化に関するニュースを深く掘り下げて伝えるとともに、イラン人会員のコラムニストとブロガーからの投稿を受け付けている。またニュースや時問題に関して活発な議論の場も提供している。このサイトに掲載された全てのロゴと商標の使用権は所有者に属する。コメントと寄稿の著作権は投稿者に属する。Iranian.wsは特定の政治、宗教、その他の団体には属さない。」

きわめて興味深いことに、ペルシアン・ジャーナルはイラン人のコラムニストやブロガーから投稿されているにもかかわらず、英語で発行されている。明らかにこのジャーナルはペルシア語を話す自国民よりもアメリカ人、ヨーロッパ人、その他全世界の市民に対してイランに関する情報と論説を広めることに熱心である。まさに外向きのジャーナルなのである。

他方でイラン国内と海外のイラン人社会とこのジャーナルの関係も緊密である。このサイトに掲載されている広告はイラン人の日常生活と深く関わっている。一例を挙げると“Iranian Dots“はイラン人同士のお見合いサイトである。またIran Onlineでは様々な分野のイラン人社会へのリンクが張られている。

イランに関する投稿や分析を検証する前に、最近のニュースを振り返りたい。トルコでクルド分離主義者の活動が活発化するに及んで、イランのマヌーシェール・モッタキ外相はアメリカがPKKを支援してイランの原子力計画を中止に追い込み、イランによるイラク、アフガニスタン、レバノン、パレスチナでのイスラム宗教団体の支援を停止させようと圧力をかけていると批判した。そうしたアフマディネジャド政権の強硬路線はモハマド・ハタミ、アクバル・ハシェミ・ラフサンジャニ両元大統領に代表される穏健派から厳しく批判されている。

その一方でホワイトハウスのダナ・ペリーノ報道官は、アメリカが制裁を行なおうとしているのはイランに対する武力行使よりも外交交渉による解決を望んでいるからだと説明した。111日にはニコラス・バーンズ国務次官がイギリス、フランス、ドイツのEU三国の代表と会談した。ロシアと中国もこのロンドン会談に代表を送った。ロシアと中国はロンドン会談後を経ても制裁には消極的である。

イラン人は国際社会との政治的やり取りをどのように見ているのだろうか?イラン・レビュー誌のカシャヤル・フーシヤル編集長はイラクとアフガニスタンの混乱にもかかわらずブッシュ政権が中東に親欧米の民主主義とボーダーレス経済を広めようという「絵空事」にとらわれていると厳しく批判している。フーシヤル氏は「実は強硬派で専制的なイランのマフムード・アフマディネジャド大統領はアメリカの攻撃を格好の口実に自らを反帝国主義の旗手とアピールし、中東どころか欧米の左翼の間でも貧しく抑圧された民衆の『メシア』だと崇められるようになる」と主張する。さらにフーシヤル氏は中東に台頭するであろう進歩的な大衆民主主義はナショナリストで、欧米の帝国主義によるコカコーラ化、現地の独裁者、そして資本主義者と対決するであろうと言う。これはアメリカにとって現在のイランの神権体制より深刻な脅威となるとフーシヤル氏は言う(“Iran, Iraq, and US Interests in the Middle East: Washington’s Dilemma”; Iran Review; October 30, 2007

私にはフーシヤル氏がアメリカ側の戦略目的を理解していないのではないかと思える。アメリカン・エンタープライズ研究所のフレデリック・ケーガン常任研究員がバージニア大学での政策討論会で述べたように、アメリカとしてはコカコーラ化やマクドナルド化には何の関心もない。ケーガン氏はアメリカもイラクもテロリストと過激派イスラム教徒の武装蜂起の撃破という死活的な共通利害を有していると述べている。フーシヤル氏はイランの指導者が暴徒を支援していることを見過ごしている。

また、フーシヤル氏は民主主義とポピュリズムを混同している。カーネギー国際平和財団モスクワ・センターのドミトリ・トレニン現副所長は真の民主主義とは単純な多数派支配ではなく、教育と自覚ある公衆による政治だと指摘している。反欧米、反シオニズム、そして反資本主義を掲げる過激ナショナリズムは民主主義ではない。ナセル政権下のエジプトが民主主義であったとは言えないことを思い出して欲しい。

ペルシアン・ジャーナルは欧米からの論説もとりあげている。イランの現体制の危険な性質を述べた二つの記事に言及したい。ガーディアン紙1029日号の“Iran’s Leaders Need Enemies like Bush, and at Every Turn He Obliges Them”という記事によれば、「アフマディネジャド氏と革命防衛隊はアメリカを敵として自分達の失政とイラクでの暴動支援を正当化する必要に迫られている」という。アメリカは強力な制裁をすべきと主張しているが、それによってすでに孤立したイランに与える影響は限られたものであるという。さらにこの記事ではEUが石油資源の豊富なイランとの経済関係を持ちたがっており、ロシアと中国もブッシュ政権への助力に消極的だと記している。そのため、ガーディアン紙ではアメリカとイランの武力衝突の可能性まで論じている。

カナダのザ・スター紙1029日号の“Pressing Iran to Disarm” という記事ではカナダ政府が制裁強化を含む国連の取り組みを支持する一方で、アメリカにも威嚇よりイランとの交渉を行なうよう提言している。

ペルシアン・ジャーナルは様々な情報源とイデオロギーに基づくニュースとアイデアをとりあげてイランの民主化への理解を広めようとしている。文化、芸能、スポーツといった政治以外のニュースと論説もとりあげている。ペルシアン・ジャーナルは亡命者も含めたイラン人の政治と日常生活を知るうえで有益である。

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