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2007年11月 4日

「イランの自由作戦」を遂行する市民のインターネット活動

コンドリーザ・ライス国務長官とヘンリー・ポールソン財務長官がアフマディネジャド政権の核開発計画を阻止しようと経済制裁を表明してから、イランとアメリカの間の緊張は高まっている。核拡散をめぐってアメリカとイランが戦争をするのではないかとまで言う者もある。イランの市民は神権政治の下にある自分達の国をどのように見ているのだろうか?当ブログでは以前に「中東の民主化とはネオコンの陰謀なのだろうか?」という記事で「ペルシアン・ジャーナル」というインターネット誌について言及した。イラン人の政治的論理と感情を理解するために、このインターネット誌について述べたい。

ペルシアン・ジャーナルのウェブサイトでは、以下のような自己紹介がなされている。

「ペルシアン・ジャーナルは、Iranian.ws というイランの進歩派によるネット上のコミュニティーと情報源サイトのニュース部門を担っている。ペルシアン・ジャーナルはイランの現在の出来事と文化に関するニュースを深く掘り下げて伝えるとともに、イラン人会員のコラムニストとブロガーからの投稿を受け付けている。またニュースや時問題に関して活発な議論の場も提供している。このサイトに掲載された全てのロゴと商標の使用権は所有者に属する。コメントと寄稿の著作権は投稿者に属する。Iranian.wsは特定の政治、宗教、その他の団体には属さない。」

きわめて興味深いことに、ペルシアン・ジャーナルはイラン人のコラムニストやブロガーから投稿されているにもかかわらず、英語で発行されている。明らかにこのジャーナルはペルシア語を話す自国民よりもアメリカ人、ヨーロッパ人、その他全世界の市民に対してイランに関する情報と論説を広めることに熱心である。まさに外向きのジャーナルなのである。

他方でイラン国内と海外のイラン人社会とこのジャーナルの関係も緊密である。このサイトに掲載されている広告はイラン人の日常生活と深く関わっている。一例を挙げると“Iranian Dots“はイラン人同士のお見合いサイトである。またIran Onlineでは様々な分野のイラン人社会へのリンクが張られている。

イランに関する投稿や分析を検証する前に、最近のニュースを振り返りたい。トルコでクルド分離主義者の活動が活発化するに及んで、イランのマヌーシェール・モッタキ外相はアメリカがPKKを支援してイランの原子力計画を中止に追い込み、イランによるイラク、アフガニスタン、レバノン、パレスチナでのイスラム宗教団体の支援を停止させようと圧力をかけていると批判した。そうしたアフマディネジャド政権の強硬路線はモハマド・ハタミ、アクバル・ハシェミ・ラフサンジャニ両元大統領に代表される穏健派から厳しく批判されている。

その一方でホワイトハウスのダナ・ペリーノ報道官は、アメリカが制裁を行なおうとしているのはイランに対する武力行使よりも外交交渉による解決を望んでいるからだと説明した。111日にはニコラス・バーンズ国務次官がイギリス、フランス、ドイツのEU三国の代表と会談した。ロシアと中国もこのロンドン会談に代表を送った。ロシアと中国はロンドン会談後を経ても制裁には消極的である。

イラン人は国際社会との政治的やり取りをどのように見ているのだろうか?イラン・レビュー誌のカシャヤル・フーシヤル編集長はイラクとアフガニスタンの混乱にもかかわらずブッシュ政権が中東に親欧米の民主主義とボーダーレス経済を広めようという「絵空事」にとらわれていると厳しく批判している。フーシヤル氏は「実は強硬派で専制的なイランのマフムード・アフマディネジャド大統領はアメリカの攻撃を格好の口実に自らを反帝国主義の旗手とアピールし、中東どころか欧米の左翼の間でも貧しく抑圧された民衆の『メシア』だと崇められるようになる」と主張する。さらにフーシヤル氏は中東に台頭するであろう進歩的な大衆民主主義はナショナリストで、欧米の帝国主義によるコカコーラ化、現地の独裁者、そして資本主義者と対決するであろうと言う。これはアメリカにとって現在のイランの神権体制より深刻な脅威となるとフーシヤル氏は言う(“Iran, Iraq, and US Interests in the Middle East: Washington’s Dilemma”; Iran Review; October 30, 2007

私にはフーシヤル氏がアメリカ側の戦略目的を理解していないのではないかと思える。アメリカン・エンタープライズ研究所のフレデリック・ケーガン常任研究員がバージニア大学での政策討論会で述べたように、アメリカとしてはコカコーラ化やマクドナルド化には何の関心もない。ケーガン氏はアメリカもイラクもテロリストと過激派イスラム教徒の武装蜂起の撃破という死活的な共通利害を有していると述べている。フーシヤル氏はイランの指導者が暴徒を支援していることを見過ごしている。

また、フーシヤル氏は民主主義とポピュリズムを混同している。カーネギー国際平和財団モスクワ・センターのドミトリ・トレニン現副所長は真の民主主義とは単純な多数派支配ではなく、教育と自覚ある公衆による政治だと指摘している。反欧米、反シオニズム、そして反資本主義を掲げる過激ナショナリズムは民主主義ではない。ナセル政権下のエジプトが民主主義であったとは言えないことを思い出して欲しい。

ペルシアン・ジャーナルは欧米からの論説もとりあげている。イランの現体制の危険な性質を述べた二つの記事に言及したい。ガーディアン紙1029日号の“Iran’s Leaders Need Enemies like Bush, and at Every Turn He Obliges Them”という記事によれば、「アフマディネジャド氏と革命防衛隊はアメリカを敵として自分達の失政とイラクでの暴動支援を正当化する必要に迫られている」という。アメリカは強力な制裁をすべきと主張しているが、それによってすでに孤立したイランに与える影響は限られたものであるという。さらにこの記事ではEUが石油資源の豊富なイランとの経済関係を持ちたがっており、ロシアと中国もブッシュ政権への助力に消極的だと記している。そのため、ガーディアン紙ではアメリカとイランの武力衝突の可能性まで論じている。

カナダのザ・スター紙1029日号の“Pressing Iran to Disarm” という記事ではカナダ政府が制裁強化を含む国連の取り組みを支持する一方で、アメリカにも威嚇よりイランとの交渉を行なうよう提言している。

ペルシアン・ジャーナルは様々な情報源とイデオロギーに基づくニュースとアイデアをとりあげてイランの民主化への理解を広めようとしている。文化、芸能、スポーツといった政治以外のニュースと論説もとりあげている。ペルシアン・ジャーナルは亡命者も含めたイラン人の政治と日常生活を知るうえで有益である。

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中東&インド」カテゴリの記事

コメント

舎さん

こんばんは。

まず、イランの核開発ですが、これは結果的にアメリカがその選択を迫った面もあります。北朝鮮も同様です。

ただ、核拡散は国際社会の脅威ですから、主にアメリカをはじめ西洋主要国と協調してやるべきです。

何をやるかというと、「対話と圧力」ですね。つまり、イランの核保有という危機に対する前に、フクロウ型で臨むことが大事ではないでしょうか。

又、イランを見るときには確かに、原則、神政なのですが普通選挙も行われ、かなり、自由度も高いのではないでしょうか。確かに、コーランの近代的解釈は、潰されていますが・・・。

そういう意味でも、かなり複合的な視点が必要です。世俗化には、ハードとソフトの両面で中・長期的にエンゲージメントしないといけませんね。

あと、勝手ながらブログ名とURLが変わりました。リンクの変更とTBも再度、新しい方に送って頂けると助かります。

御面倒をおかけします。申し訳ありません。

投稿: forrestal | 2007年11月10日 01:00

こんにちは。
アメリカの政策を興味深く拝見させて頂きました。

親米の貴方がアメリカの考えを載せ、それを支持するのはご自由ですが、私はイラン及びイスラム史を学んだ経験から言わせて頂きます。
まず、結論から言って、インターネット活動による「イランの自由作戦」遂行は挫折します。
かつてアメリカが支援していたパーレビ時代、上からの改革で西欧化が進んだにも係らず、一転してイスラム革命で反動が起きた原因をお調べになられたようがよろしいと思います。

イランの所謂「進歩派」などほんの一握りであり、一般大衆には支持されていない現状はイスラム革命時代から殆ど同じ。逆にネットを利用した「保守派」の方が遥かに影響力がある。あの国は聖職者の力が強いのは今始まったことではない。コサック上がりの軍人(パーレビ)より、サイイド(預言者の子孫の意、ホメイニもその一人)を尊重する社会であり、これはイスラム以前からだと私は推測しています。

どうも欧米人は「進歩派」ばかりクローズアップしがちですが、彼らは「異端者」「異教徒」と見られがちであり、戦時下の日本における「非国民」より重い意味があります。

「フーシヤル氏は民主主義とポピュリズムを混同している」と貴方は仰いますが、アメリカ本国でもポピュリズムに毒されているではありませんか。お人よしの日本人と違い、欧米人が掲げる民主主義など、中東では内政干渉の具と見られる傾向が常。実際、基本的人権はキリスト教精神から来ていると書いた日系人ブロガーさんもいました。私は民主主義もまた宗教の一つと思っていますが。

forrestalさんも上記で仰られているように、イランに限らず中東には「かなり複合的な視点が必要です」。

投稿: mugi | 2007年11月11日 16:57

こんばんは。
イランの軍や政府には英国やアメリカで教育を受けた人はもういないのでしょうか?

イランの革命はKGBの策動が大きかったと考えます。
ならばその逆もまた可能なのではないでしょうか?

投稿: アラメイン伯 | 2007年11月11日 22:53

forrestalさん、

ブログが新しいURLに移ったことは承知しています。なぜかj-forrestalになってますね。

ところでイランの選挙ですが、実際には宗教指導者が認めない候補は出れません。また「民主的」(実際には疑問の余地あり)に選ばれた行政府と立法府の政治家も、最終判断はイマームに仰いでいます。

そうした制約がありながら、イランではブログによる政治討論は活発なようです。これには亡命イラン人がかなり関わっているとは思われます。

イランに対する「対話と圧力」についてはイランのとの対話は可能か?キーパーソン:アメリカのイラン政策で注目の人物でとりあげたパトリック・クローソンの論文が参考になります。

投稿: 舎 亜歴 | 2007年11月14日 12:52

舎さん

こんばんは。業務連絡のようなものですが、ココログをバージョンUPした際にフリーからべーシックやプラスに変更するには別手続きが必要で、同じURLが使えないのです。ですから、アメリカ初代国防長官forrestalのファーストネームのJamesの 「J」をつけた次第です。

大雑把に言えば、イラン内部からそして外部から世俗化へ移行していくしかないでしょう。もちろん、内部ー外部は相互作用してます。その方法として、ブログなどののネットツールというソフトもひとつでしょうし、ハードとまでは言わないまでもフランスのような恫喝もひとつでしょう。そのヴァリエーションの組み合わせ、強弱のコントロールが重要だと考えています。

パトリック・クローソンの論文は読んで参考にさせて頂きます。

投稿: forrestal | 2007年11月14日 23:50

forrestalさん、

>>そのヴァリエーションの組み合わせ、強弱のコントロールが重要だと考えています。


欧米にいるイラン人亡命者達はイランへの強硬な圧力には賛成でも、武力行使には反対の者が多いようです。現体制は憎くても自分達の国を戦火にはさらしたくないのでしょうか?

サダム打倒に立ち上がった亡命イラク人とは違うようです。

投稿: 舎 亜歴 | 2007年12月11日 00:57

アラメイン伯さん、

>>イランの軍や政府には英国やアメリカで教育を受けた人はもういないのでしょうか?

少しはいると思います。稼働率が低いとは言え、F14のパイロットがいるので。ただし、この機を操縦できる者が少な過ぎたために対イラク戦争で苦しんだのはよく知られています。

投稿: 舎 亜歴 | 2007年12月11日 01:01

mugiさん、

どうも返事が遅れました。

>>イラン及びイスラム史を学んだ経験から言わせて頂きます。

そうすると現体制はイランの歴史から見て妥当なものと思えますか?サファビー朝によって民族王朝が復興してからというもの、イランの政治はシャーとイマームの二元体制でした。そして、世俗権力の優位は認められていたはずです。

もっともヨーロッパの皇帝と教皇、あるいは日本の将軍(または関白)と天皇のように世俗権力が宗教権威に依存してきたのは事実ですが。

現体制はどう見ても宗教が優位に立っていて、サファビー朝以来のイランの政治的伝統にも即していないのではないのですか?

イランのネット社会には宗教保守のものもあるでしょうが、当局がどれだけ取り締まっても自由を求める運動が消えないのは事実です。ペルシアン・ジャーナルはその一つに過ぎません。

もっとも、レザ・パーレビ元皇太子が主張する「ウクライナ型オレンジ革命」がすぐにできると信じてはいません。

投稿: 舎 亜歴 | 2007年12月11日 01:20

舎さん、返信を有難うございました。
“反米”的コメントなので、無視されたのだろうと思っていました(笑)。

こちらのブログだとずれた論点になりますので、イラン史に深く立ち入るべきでないかもしれません。
ただ、欧米知識人にもイスラム圏について、よく知らない者が少なくないので、あえて書き込みさせて頂きました。

>>サファビー朝によって民族王朝が復興してから…世俗権力の優位は認められていたはずです

建前上はシャーのような世俗権力が優位になっているように見えても、イマーム側に権力があったのが実態です。繰り返しとなりますが、イランでは特に預言者の子孫であるサイイドが崇められ、イマームがそれに当たります。彼らは様々な特権を持ち、商人や地主層が払う宗教税により養われ、国家から独立した財源を持っていたのは、サファヴィー朝ばかりかカージャール朝になっても同じです。
明治にイランを訪問した日本人使節団もまた宗教勢力の持つ力に驚き、大臣など及ばないと記録を残している。イランで宗教権威が優位にあるのは、イスラム以前からの現象です。

もちろん、ホメイニ以来の現体制が宗教優位なのは事実であり、イラン史上ではむしろ異色の体制ですが、一般イラン人が聖職者の横暴を怒った所で、世俗権力より信頼されているのは確か。
イギリスのイスラム学者の重鎮バーナード・ルイス(この人もネオコンとか)はイスラム革命は伝統的なイスラム型より、大々的な粛清から西欧式と言っているし、ホメイニはミッション・スクールのような女子宗教学院も開いています。

ひと口に自由といえ、欧米人の考える自由と、イラン人の求める自由とではズレがあると思われませんか?
“自由”の言葉こそ曲者ですね。イランの神権政治を真に脅威に感じているのはイスラエルであり、この国には様々な二重基準をとるのがアメリカ。現体制がその歴史から見て妥当なものか否かの判断は現地人に委ねられるのこそ、真の自由ではないでしょうか。

あと、レザ・パーレビ元皇太子など故国では殆ど正統性がないと見なされているのを、イランを少しでも知る人なら存じているはずですが、何故か“強硬派”は知らぬフリをしたがるようで。

投稿: mugi | 2007年12月13日 21:36

いかに敵対しているとはいえ。
独立国であるイスラエルを消滅させるべきと繰り返し発言する指導者がまともでしょうか?
そのような国が核兵器を持とうとするなら国際社会が一致して戦うべきです。

投稿: アラメイン伯 | 2007年12月18日 23:14

mugiさん、

日英両語のブログを抱えているので、どうしても返事が遅れ気味になります。

ご指摘のように、イランでシーア派イマームの力が伝統的に強かったのはよく知られるところです。皮肉なことに、パーレビ王政の誕生も宗教勢力を気遣ってでした。レザ・ハーン大佐はトルコのような近代的共和制国家を樹立したかったが、シーア派長老が急激な改革と西欧化を嫌ったために王制となったのはことからも

この近代化をさらに徹底させるために息子のムハンマド・レザ国王が白色革命を手がけたこと自体は高く評価されるべきです。そもそも後進国家が強権によって西欧化、啓蒙化と近代化を推し進めた成功例は、ピョートル大帝やフリードリヒ大王より枚挙暇がありません。日本とトルコもそうした仲間です。

あのイスラム革命で、イランは日本やトルコと違って暗黒時代に逆戻りしました。

「自由」に関して言えば、反体制派も時に欧米に批判的です。しかし、彼らの多くが欧米のメディアや人権NGOに訴えたり、あるいはそこに亡命して活動しているのは周知の事実です。

少なくとも欧米側がイラン文化の「コカコーラ化」を目論むわけではないので、自由を求めるイラン人が欧米と手を携えることは何ら不思議ではありません。

投稿: 舎 亜歴 | 2007年12月20日 21:26

アラメイン伯さん、

偶然にも次に投稿しようとしているのはイランについてです。

核交渉をどうするかもさることながら、やはりイスラム革命の輸出を国是としているようではイランが国際社会と摩擦を避けるわけにはゆきません。核がないから脅威でない、イスラエルの抹殺を口にしないから脅威でないといったレベルにはとどまりません。

メディアはどうもそこを混同します。そしてあの真魚さんは、そのような混同からか(?)ショッカーの特定をしばしば誤ります。

投稿: 舎 亜歴 | 2007年12月20日 21:44

舎さん、こんばんは。

パーレビ王朝は父子2代に亘り、ムスタファ・ケマルをかなり手本にしてましたが、それが挫折したのは運と力量、国情の違いです。ナセルもまたケマルを尊敬していましたが、ケマルのようにはやれませんでした。
トルコも最近はイスラム復興主義がありますが、米国議会でのアルメニア人虐殺非難決議などは、それを後押しするようなもの。百万人さえかなり誇張と思われているのに、米国は被害者150万人とトンでも説を取りましたね。

以前、イランに何年も住んだことのある日本女性の手記を見たことがあります。
モハンマド・レザ国王は欧米留学しても、内心は欧米人を決して信用していなかったようで、そこが欧米人を簡単に信用するうぶな日本人と違います。彼が挫折したのは、経済危機が最大の原因だったと思います。

イラン聖職者もホメイニのような教条主義者ばかりでなく、穏健派もいます。ラフサンジャニやハタミなど穏健派であり、彼らは対米関係に前向きでしたが、米国は頑な過ぎましたね。こちらも経済建て直しがうまくいかず、変わって台頭したのが強硬派アフマディネジャド。
私はイランの穏健派聖職者を取り込む方がよろしいと思います。

>>イスラム革命の輸出を国是としているよう
未だにキリスト教の伝道に熱心、民主主義やら環境問題の“宗教”を輸出するのも欧米の国是ですが(笑)。

ところで、貴方はイスラエルにはまず言及しませんね。この国も核保有と言われますが、“反ユダヤ主義”と糾弾されるのを恐れ、欧米のマスコミは何も言えない始末。親米の方でイスラエル批判がタブーならば、中、朝、露に何も言えない左翼と同じです。

投稿: mugi | 2007年12月23日 20:03

とはいえ。イスラエルの首相が「イランを消滅させる」などとは言いません。そんなこと言えば大問題になります。イスラエルはイランと違って民主国家ですから。イスラエルの立場にたてば常に国家存亡の危機にたたされています。中東戦争であれほど華々しい勝利をおさめたにもかかわらずイスラエルの要求は自己の生存の他にはかなり控えめです。

民主主義を宗教というのはかなり独特な解釈ですね。
普通の人はそうは言わないのであまり意味のある話とは思えないですが、それなら何故イランのような国やあるいはさらに凶悪な独裁国家ですら議会の体裁を整えようとするのでしょう。
それは民主主義が普遍的な価値を持つ政治理念という証拠だと思います。

投稿: アラメイン伯 | 2007年12月26日 22:10

>アラメイン伯さん、初めまして。

イスラエル首相以下要人が、人種差別発言を繰り返していることをご存知でしょうか?
よろしかったら、こちらのサイトをどうぞ。
http://rootless.org/chomsky/Fisk_JournRefuse_Jpn.html

『イスエラル・ロビーとアメリカの外交政策』(講談社)の本にも、同じ例が記されていますよ。
それでも欧米のマスコミや親米派はダンマリ、これぞダブルスタンダードですね。少なくとも民主主義国家を標榜するなら、それに相応しい行動を取るべきなのに、核開発疑惑やパレスチナの人権弾圧共にへっぴり腰ではねぇ…

民主主義が宗教というのは私独自な解釈ではなく、知識人(保守、左翼共々)も言っています。「民主主義は欧米の輸出する最後の宗教」と。もちろん私もへそ曲がりですが、様々な意見や解釈を認めるのこそ民主主義でしょ。
「これが絶対だ」と思うのが“宗教”であり、己の宗教(思想)こそが正しく、他は誤りというのが宗教。近代以降、民主主義(または共産主義)こそ絶対であり、君主制イコール封建制、悪と教え込まれているように。

ひと口に独裁国家といえ、その形態は微妙に異なりますが、完全な独裁制などまずありませんよ。
独裁者といえ、手足のような子分が必要。その子分の確保や口だけは挟んでくる欧米諸国の批判をかわすため、かたちだけでも議会の体裁を整えているのが実態ではないでしょうか。一応共産中国も人民会議を開いていますね。
そのくせ、国益のためサウジのような非民主国家に目をつぶるのも欧米。

>>イスラエルの要求は自己の生存の他にはかなり控えめです
やはり親米ばかりでなく、親イスラエルでしたか!あの国が“大イスラエル”を目指しているのは有名ですが。

ま、親米派さんの考えは興味深かったです。親米も反米左翼も姿勢は同じ。贔屓国に心酔、マイナス面が見えなくなっている。
では、ごきげんよう。

投稿: mugi | 2007年12月27日 20:51

まあ。いろんな人がいますからね。
しかしイランの大統領のように平気で大量虐殺をほのめかす発言なんてないでしょう。
まして、たとえ外国であってもアラーの神様を少しでも侮蔑するような言動があれば過激に反応する。
近代国家なら弁えてほしいものです。

イスラエルもかなりヒドイことはあるでしょうが、
テロリストから身を守るためのやむを得ない行動であったり個人や現場の不法行為です。国家政策としての言論を弾圧したりしませんよ。
それに、ネットでこうして自由に討論できるのが民主主義の
良いところです

独裁の子分を整える必要があるなら忠実な官僚で充分です。
わざわざ議会にするのは政権の正当性を演出するためです。

サウジ゛は独裁というより専制。それほど凶悪ではありません。独裁者というより荘園領主といった趣でしょう。
非民主的だからといって即座に敵対するのはそれこそ民主主義原理主義というものです。


私は反米的な思想を一概に否定するつもりはないです。欠点のない国なんてありません。
しかし、自由に物を言えて政府の批判をしても投獄されない。しっかりとした政権交代があって政府が世論を気にする。そういう価値観が大切だと思っています。
反米的な思想って欠点を過大に解釈して自由とか人権とかの大切さを故意に否定しているように思えます。


投稿: アラメイン伯 | 2007年12月28日 23:14

mugiさん、

>>貴方はイスラエルにはまず言及しませんね。この国も核保有と言われますが、“反ユダヤ主義”と糾弾されるのを恐れ、欧米のマスコミは何も言えない始末。親米の方でイスラエル批判がタブーならば、中、朝、露に何も言えない左翼と同じです。

イスラエルの核も核不拡散の目的から好ましくはありません。しかしながら、「好意的なダブル・スタンダード」ならインドに対しても米欧がやっていることです。結局のところ、核保有がテロとのつながりなど国際社会への脅威につながるか否かが重要です。

イスラエルやインドには寛大で危険な国の核保有には厳しく当たる、これはリアリズムの観点からも必要悪です。

また、イスラエルとユダヤ・ロビーの話をことさら大きくとりあげることには疑念を抱いています。そもそも、かなりリベラルな論客やシンクタンクでもその種の陰謀論を積極的に論じたりはしません。

それ以上に、私の人生経験からもその種の議論に乗ろうとは思えません。かつて日本国際ボランティア・センターで重要な地位にあった人から、その手の陰謀論をことさら強調する議論を聞かされ続けました。何度か付き合ううちに、その人はそうした裏街道のような国際情勢認識ばかり振りかざしていてもオーソドックスな国際政治論や世界史の知識が欠けていることがわかってきました。何せこの御仁、ノルマン・コンクウェストを知らなかったほどです。

そうした人物が好んで唱えていたユダヤ陰謀論など決して受け容れないと、すでに私は決心しています。政治の議論は論理だけを追えば良いものではありません。それなら、哲学者になれば良いのです。人生と学識に基づいた価値観によってなすものと考えています。そこから、巷の反イスラエル論など取り上げないと決心したものと理解して下さい。

もちろん、イスラエルのやることなすことを全て是認するなど有り得ません。中国への武器輸出など深刻な問題でした。

イスラエルの話が長くなってこの記事の主題のイランまで言及できませんでした。これは別の記事などまたの機会に。

投稿: 舎 亜歴 | 2008年1月 2日 23:18

舎さん、コメントを有難うございました。

仰るとおり、書籍やネットでも「ユダヤ陰謀論」は人気のあるテーマですが、イスラエル批判イコール「反ユダヤ主義」「ユダヤ陰謀論」とは限りません。シンクタンクさえ、必ずしも公平なものばかりでもないでしょう。イスラエルやインドが欧米世界にとって危険性がないといえ、やはりこちらの核問題には甘く、他には厳しいのはイランも含めイスラム圏で著しい二重基準と映る原因となっています。それが米国の信頼を失墜させる事にも繋がっているのは確か。

昨年私のブログに実に面白いコメントがありましたので、一部抜粋します。

「欧米の「言論の自由」は、「わたしは、お前のいうことに反対だ。だが、お前がそれをいう権利を、わたしは、命に賭けて守る。」という言葉にも表れてると思いますが、共同体内での契約にすぎない思います。
ただ、それだからこそ「ホロコースト」のタブーはまずいと思います。ユダヤ人を特別扱いすること(共同体内の異分子とすること)は、将来しっぺ返しを食らう可能性があります。ユダヤ人はマイノリティであることが宿命づけられているので、その時は誰も助けてくれません」

例にあるボランティア・センターの人の議論を聞いてないので、判断は出来ませんが、いわゆる知日家と言われる欧米人学者にもリベラル・アーツ(一般教養)もない人物がいますね。日本の新聞にコラムを寄稿する者は大抵その類。
陰謀論を振りかざすのは困り者ですが、それを好む人が多いのも人間社会です。

投稿: mugi | 2008年1月 5日 15:51

mugiさん、

核問題について、新たな保有国がどこであれ他の国家あるいは非国家アクターに渡らぬよう厳重管理するのは当然のことです。ただし、より大きな脅威になるイランや北朝鮮には軍事的威嚇や経済制裁は考慮されて当然ですが、イスラエルにせよインドにせよ経済や安全保障で欧米も日本も深く関わっています。そうした国を相手に圧力を用いることは現実的ではありません。

もちろん、インドをNPT体制の枠外に置くことに対してアメリカでもリベラル派が激しく反対しています。NPT体制によるかよらぬかいずれにせよ、イスラエル、インド、パキスタンへの対応がイランと北朝鮮への対応と異なってくるのは当然のことで、イスラム教徒への敵対という問題ではありません。

この記事の主役である自由を求めるイラン人も大半はイスラム教徒のはずです。もしかしたら、イスラム革命以降は少数派としてイラン国内では厳しい立場となったバハイ教徒も多く含まれているかも知れません。

ユダヤ人が言論界や金融界で大きな力を振るっていることは日高義樹も述べています。もっとも市中に出回っているユダヤ・イスラエル陰謀論のような安っぽい議論でないことは周知の通り。

例の御仁とのやりとりは詳しく記せませんが、欧米やイスラエルを敵視する過激左派の議論に私が怪訝な表情をすると、あたかも無知な子供を諭すように「あなた、大きな見方をしないと駄目よ」とのたまってきました。実際に、この人はカンボジアやパレスチナでの現場NGO活動の経験が豊富です。

しかしながら、ある日の雑談でこの人がノルマン・コンクウエストを知らなかったことがわかってしまいました。そこで私は思ったわけです。この程度の初歩的な世界史の知識がない人物に、どうして世界の情勢を大きな目で見ることができるのだろうと。

現場経験だけで基礎知識のない極左活動家の傲慢さを強く感じた一件です。

投稿: 舎 亜歴 | 2008年1月14日 13:25

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