« ネオコン外交政策の行方と日欧の対米関係 | トップページ | インド独立60周年をマウントバッテン卿とガンジーの時代より振り返る »

2007年12月 8日

「非ブッシュ的」な北朝鮮政策への保守派の反発

北朝鮮に対するブッシュ政権のアプローチはアメリカの保守派と日本国民の間で深刻な懸念を呼んでいる。クリストファー・ヒル国務次官(東アジア太平洋担当)は非核化の見返りに、アメリカがテロ支援国家指定を解除すると示唆した。しかし北朝鮮は詐欺で悪名高く、クリントン政権に対してそうだったようにキム・ジョンイルが自国の非核化を完全になすことなしに食料とエネルギーを手にすることも有り得る。これは極めて非ブッシュ的で、ハト派政策が核不拡散の目的に有益かは疑問の余地がある。

さらに北朝鮮への宥和政策によってアメリカ外交のモラル面でのリーダーシップを低下させる懸念がある。北朝鮮は圧制体制下にある。北朝鮮は自国民を搾取している。日本人、韓国人、その他外国人の拉致でも悪名をはせている。先の記事でも述べたように、民主化の促進は9・11後の世界では重要政策課題である。

イスラエルやインドとは異なり、北朝鮮がアメリカの戦略的パートナーとなって自由主義世界秩序を強化できるとは思えない。イスラエルもインドも信頼できる民主国家であるが、北朝鮮は国際社会では札付きの問題児であり続けた。

リビアが1986年にレーガン・サッチャー枢軸によって爆撃されたのとは異なり、北朝鮮はアメリカに対して敗北を味わった経験がない。北朝鮮は1968年のプエブロ号事件で「残忍なアメリカ帝国主義者」に勝利したと吹聴し続けている。またリビアのカダフィ政権が直面しているような国内の過激派の脅威も抱えていない。

そうした事情から、インドやリビアに対して行なったような核交渉での利益供与をキム・ジョンイルに対して行なっても良いことはないであろう。

アメリカの議会調査局は今年の46日に“North Korea: Terrorism List Removal?”というレポートを発行した。テロに関してレポートは以下のように述べている。

それは六ヶ国の協議でテロに関する議定書であるが、ピョンヤンが国際的なテロとの戦いに協力する兆候は見られない。

また日本人拉致問題に関してこのレポートは「テロ関連の諸法の運用を帰した毎年の報告書から見て、アメリカ政府は拉致をテロ行為と見なしている。」と記している。

北朝鮮へのテロ支援国家の指定解除は不適切としか思えない。

さらに保守派の論客は北朝鮮へのチェンバレン的宥和政策を批判し続けている。ハーバード大学のニール・ファーガソン教授が主張するように、アメリカはイラクの反乱分子と北朝鮮の独裁者を相手にした二面作戦ができる余力がある。

アメリカン・エンタープライズ研究所のデービッド・フラム常任フェローは北朝鮮へのリアリスト政策によってブッシュ政権がクリントン政権と同じ過ちを犯すと警告している。フラム氏はクリントン政権期のグラハム・アリソン国務次官補がボストン・グローブに投稿した論文を引用し、北朝鮮が核と援助の両方を手に入れようとしていると指摘する。また、朝鮮半島の統一によりアメリカの影響力が半島全域に及ぶことをから中国が北朝鮮の崩壊を懸念していることにも言及している。フラム氏は現在の交渉では北朝鮮の非核化は成功しないと見ている(“Realism is Ugly in North Korea”; Notional Post; June 30, 2007)。

ジョン・ボルトン元国連大使は現在の対北朝鮮交渉にさらに批判的である。ウォール・ストリート・ジャーナルへの投稿(“Bush’s North Korea Meltdown”; October 31, 2007)12月4日のフォックス・ニュースとのインタビューで、ボルトン氏は国務省の官僚主義が交渉の結果に充分な考慮も払わずに合意の形成を優先させていると批判している。アメリカがヨンビョンの核施設を無力化できたとしても、ウラン濃縮に対する査察をどうするのか明確になっていないとボルトン氏は述べている。

さらにジョン・ボルトン氏は現在の六ヶ国協議が日米同盟に及ぼす悪影響も懸念している。キム・ジョンイルによる日本人拉致被害者の問題に考慮を払わずに米朝間の妥協が行なわれる可能性から、日本の保守派が日米同盟の強化に疑問を呈しているのを私は昨今耳にすることが多い。この問題について、ジョン・ボルトン元国連大使は以下のように述べている。

ブッシュ政権が日本に赴任させたトマス・シーファー大使は大統領に対して自分が交渉過程から隔離されていると訴えたとも伝えられる。国務省が東京駐在の自国の大使より北朝鮮を信頼するのはどういうことか、北朝鮮による日本人拉致被害者の問題を無視するのはどういうことか、しっかりと説明しなければならない。

124日のロイター報道にもあるように北朝鮮は核交渉の遅延戦術を用いてきた。タカ派が六ヶ国協議に疑問を投げかけるのはもっともである。

今年の1219日に行なわれる韓国の大統領選挙で事態は変わるかも知れない。韓国の国民はノ・ムヒョン現大統領の太陽政策に疑問を抱いている。私はこの選挙で保守派が勝利することを願っている。

結局、ショッカーはショッカーである!キューバ危機の際にとられた軍事的威嚇をはじめ、より強硬な手段も考慮されてしかるべきである。

|

« ネオコン外交政策の行方と日欧の対米関係 | トップページ | インド独立60周年をマウントバッテン卿とガンジーの時代より振り返る »

中国・朝鮮半島&アジア太平洋」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/109615/17310328

この記事へのトラックバック一覧です: 「非ブッシュ的」な北朝鮮政策への保守派の反発:

» アメリカはもう頼りにならない? [空]
おもしろいことに米国より日本人ブロガーの異なる二人が同様にアメリカの対北朝鮮政策について投稿している。ひとつは、米流時評で、米国は北朝鮮に対して宥和政策をとりはじめたのではないか、という記事の紹介です。で、ここに北朝鮮は核施設閉鎖とありますが、私がみたテレビ番組によれば、とんでもない、「閉鎖」とは名ばかりで、3,4日でもとの状態にもどる程度の「閉鎖」であります。  もうひとつは、Global American Discourseグローバル・アメリカン政論さんで、この方はたしか、米国の慰安婦決議もだま... [続きを読む]

受信: 2007年12月10日 07:07

« ネオコン外交政策の行方と日欧の対米関係 | トップページ | インド独立60周年をマウントバッテン卿とガンジーの時代より振り返る »