« アメリカ次期政権の新戦略:民主主義連盟による世界運営 | トップページ | キーパーソン:共和党に新風を吹き込む有権者層 »

2008年6月16日

マケイン氏かオバマ氏か、選挙の分岐点は?

イギリスの保守系ジャーナルのスペクテーター誌はAmericanoと題するブログで今年のアメリカ大統領選挙を分析している。このブログに“If it's the economy it's Obama, if it's foreign policy it's McCain” (13 June, 2008)という興味深い記事がある。

スペクテーター誌インターネット版編集局員のジェームズ・フォーシス氏はCNNが6月12日に放送した調査結果を引用し、「調査結果によると経済ではオバマ氏が50対44で優位にあるが、外交では54対43でマケイン氏が優位にある」と述べている。この時点で全体の結果を過剰に意識してどちらの候補が優位にあるかを決定してもあまり意味はない。1988年6月にはマイケル・デュカキス氏がジョージ・H・W・ブッシュ氏に対して優位にあり、2004年6月にはジョン・ケリー氏がジョージ・W・ブッシュ氏に対して優位にあった(“Fat Lady Not Singing Yet (Except in California)”; The Plank=The New Republic’s Blog; June 12, 2008)。

私がここで主張したいのは、外交政策ではイラクからの早期撤退を懸命に訴えるバラク・オバマ上院議員が有権者の信頼を得ていないということである。ジョン・マケイン上院議員が外交で見せた54対43の優位は、経済でのオバマ氏の50対44と比較してかなり大きなものである。以前の記事で述べたように、マケイン氏は今年の3月にイラク戦争5周年を記念してヨーロッパと中東の指導者達との会談を重ねた。ハドソン研究所の訪問上級フェローで元は日本のジャーナリストである日高義樹氏はマケイン氏がイラクで一貫した態度を取り続けていることが国民の敬意を勝ちとっていると、しばしば述べている。ちなみにカーネギー国際平和財団のロバート・ケーガン上級研究員はジョン・・ケリー上院議員とヒラリー・ロッダム・クリントン上院議員がイラク問題で態度が豹変していると指摘する。

それでは一体、バラク・オバマ氏はそれほど経済に通じているのだろうか?現段階でオバマ氏は明確な経済政策を打ち出していない。マケイン氏よりオバマ氏を選ぶ人達は、サブプライム・ローン問題のようなブッシュ政権下での経済危機に不満を抱くだけのようである。しかしジョージ・W・ブッシュ氏と共和党をただ非難すれば経済が良くなるというものではない。悲観的なエコノミスト達が言うようにサブプライムが深刻なら、1980年代後半のプラザ・ルーブル合意のような多国間の政策協調による解決が必要である。そうなると外交でのオバマ氏の能力の低さは致命的である。マケイン氏は民主主義連盟の構想を打ち出してヨーロッパの首脳達とも会談を重ねたが、オバマ氏は何もしていない。さらに日本の指導者達は親中的なオバマ氏に懸念を抱いている。バラク・オバマ氏は充分な信頼を得ることなしに主要先進国との政策協調でリーダーシップを発揮できるのだろうか。私は疑問を抱いている。

さらに重要なことに、ジョン・マケイン氏はブッシュ現大統領のカーボン・コピーではない。外交政策ではより積極介入主義で、初期のブッシュ政権のような「質素な」外交など信奉していない。マケイン氏は温室効果ガスの排出削減にもより前向きである。マケイン氏はグラスルーツの「サムズ・クラブ・リパブリカン」の支持をより多くひきつけており、ブッシュ氏の重要基盤の一つとなっている「カントリー・クラブ・リパブリカン」にはそれほど依存していない。 

明らかにバラク・オバマ氏はジョン・マケイン氏よりも大統領としての能力と資格が勝ると証明できずにいる。アメリカがヨーロッパと日本との協力関係を再構築するうえで真に力を発揮できるのは。ジョン・マケイン氏である。問題は、英エコノミスト誌のブログ“Democracy in America”に記されているように、充分な情報のない有権者の動向である “Which way for Obama and McCain?”; June 13, 2008

国内と世界規模の課題に直面しているアメリカに必要なのは、セオドア・ローズベルトのような人物で、間違ってもジミー・カーターのような人物ではない。

いずれにせよ、まだ選挙の結果を予測するには早過ぎる。両候補が副大統領候補を選んだ時、選挙の行方はより明確になるであろう。

|

« アメリカ次期政権の新戦略:民主主義連盟による世界運営 | トップページ | キーパーソン:共和党に新風を吹き込む有権者層 »

アメリカのリーダーシップ/世界秩序」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/109615/41556652

この記事へのトラックバック一覧です: マケイン氏かオバマ氏か、選挙の分岐点は?:

» カーネギーに習うブログ [カーネギーに習うブログ]
お初です^^カーネギー関連の記事だったのでトラックバックさせていただきました!こちらのブログでも紹介してますのでよかったのぞいてください♪よろしくお願いします^^ [続きを読む]

受信: 2008年6月20日 00:44

« アメリカ次期政権の新戦略:民主主義連盟による世界運営 | トップページ | キーパーソン:共和党に新風を吹き込む有権者層 »