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2008年10月31日

イラク戦士がオバマ氏に反旗

前回の記事で述べたように、イラク戦争に従事した退役軍人達はバラク・オバマ上院議員が中東に関して敗北主義の政策を掲げていることに懸念を抱いている。イラクとアフガニスタンでのアメリカの勝利を目指して、第101空挺部隊に所属したピート・ヘグセス退役陸軍大尉によって「自由のための退役軍人の会」(VFF:Vets for Freedomという団体が設立された。 

ヘグセス大尉はプリンストン大学を卒業すると間もなくアメリカ陸軍に入隊した。イラクでの任務に従事した大尉は戦闘歩兵勲章と銅メダルを授与された。大尉は今年の秋からプリンストン大学ウッドロー・ウィルソン行政国際関係大学院の修士課程に入学することになっている。

ヘグセス氏は2007年11月11日の復員兵士の日にイラクとアフガニスタンで従軍した退役軍人の協力を得て、イラクでのアメリカの戦略を説明してゆくためにVFFを設立した。VFFの設立趣旨では以下のように述べている。

我々の目的はイラクの戦場で経験したアメリカの戦略と戦術の知識を活用してテロとの戦いに勝つことの重要性を訴えるためにアメリカ国民を啓発してゆくことである。

さらに重要なことに、VFFは両党を超えた性格を強調している。

我々は祖国のために戦場に赴いた戦士を支持し、目先の政治的利益よりも安全保障の大計を重視する政策形成者であれば党派を問わずに支援する

この部分はグローバル・アメリカン政論が追求する政策課題と一致する。元来、当ブログは超党派である。私がバラク・オバマ上院議員を批判し続けているのは、アメリカの帝国主義的使命を軽視しているからである。また、オバマ氏は最先端の先進民主主義諸国が主導する世界秩序を信じていないからである。

ところでヘグセス大尉はどうしてバラク・オバマ氏に批判的なのだろうか?前回の記事で、私はナショナル・レビュー・オンラインに寄稿された大尉の論文(“Right You Are, Joe: America's enemies will see Obama as weak.”; October 21)が、オバマ氏の外交政策がアメリカの敵に対してナイーブ過ぎると述べていることに言及した。

別の投稿ではイラン出身のネオコンのジャーナリストであるアミール・タヘリ氏に言及し(“Obama Tried to Stall GIs' Iraq Withdrawal”; New York Post; September 15, 2008)、ピート・ヘグセス氏はオバマ上院議員が米・イラク安全保障条約の交渉を妨害していると批判している(“Barack, Revealed”; Troop Blog; September 16, 2008)。オバマ氏はイラクの治安改善を認めながらも、なおもイラク戦争は泥沼で増派が充分な成果を挙げていないと主張する。ヘグセス氏はオバマ氏を以下のように批判している。

オバマ氏の世界観では外交政策とは内政に捻じ曲げられるもので、前線の司令官は政治的な都合で決められた日程を受け入れるのが当然のようだ。オバマ氏の視点では自らの判断に適合するかどうかで海外の戦場での現実が決まり、戦場の現実がオバマ氏の判断に影響を与えることはないようだ。

オバマ氏が最高司令官として信頼性を損なっているのは、イラクの戦略的価値を理解していないからだけではない。FOXニュースによると、ロサンゼルス・タイムズはバラク・オバマ氏が親パレスチナの活動家ラシード・カリディ氏と危険な関係にあるというビデオの公表を拒否しているとのことである(“LA Times Refuses to Release Tape of Obama Praising Controversial Activist”; Fox News; October 28, 2008)。

イランからアメリカに帰化した民主化活動家のアミル・イマニ氏は現在のオバマ・ブームをウォーターゲート事件後のカーター・バブルになぞらえている(“Can America Afford Another Jimmy Carter?”; New Media Journal; October 10, 2008)。アメリカが同じ過ちを繰り返そうとしている時、左傾化した国際世論は最高司令官としての資質を完全に欠く人物を称賛しているのである。

このような境遇の中、勇敢な退役軍人達が立ち上がったことは注目に値する。次期大統領がジョン・マケイン氏であろうとバラク・オバマ氏であろうと、国民を良き方向に導くのは有志の民間市民である。世界は最高水準の頭脳と社会を持つアメリカ、ヨーロッパ、日本が献身的に関与することを求めている。だからこそ、私はVFFへの注目を呼びかけているのである。

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コメント

>ヘグセス大尉はプリンストン大学を卒業すると間もなくアメリカ陸軍に入隊した。イラクでの任務に従事した大尉は戦闘歩兵勲章と銅メダルを授与された。


よく反米的な人達がアメリカではエリートは軍隊に行かないといいますが完全な誤りですね。
この大尉のような人を僕は尊敬します。

パウエル氏がオバマ上院議員を支持しましたし共和党から閣僚を起用するかもしれません。
もちろんマケイン上院議員のほうが良いのですが当初オバマ氏が主張していた非現実的な外交安保政策よりは選挙戦をつうしで進歩したのではないでしょうか?

オバマ氏をイラクで一喝したペトレイアス将軍に期待したいです。今や中東全域の司令官なので。

閣僚についてはどうか?ゲーツ国防長官の留任などが言われていますが、

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