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2008年10月24日

もっと外交政策の議論を:オバマ氏ではアメリカの敵になめられる!

大統領選挙の討論で経済ばかりが議論されたことは残念であり、この重大な転機にありながら両候補とも外交と安全保障については議論する余裕がなかった。現在、アメリカとイラクは二国間の安全保障条約について交渉中である。またイラクとアフガニスタンの戦争ばかりかイランと北朝鮮の核の脅威も消し去られてはいない。ロシアと中国はアメリカ、ヨーロッパ、日本が守り抜こうとする自由主義世界秩序に挑戦を突きつけている。

イラクで作戦任務に従事したある戦士は、バラク・オバマ上院議員の敗北主義外交に対して副大統領候補のジョセフ・バイデン上院議員の発言を引用しながら懸念を述べている。勇気ある戦士の寄稿によって国民は重大な事実を痛感するようになるだろう。それは選挙に関する現在の議論や評論は大統領候補の質を見極めるには的外れだということである。

まず何よりもバラク・オバマ氏がブッシュ政権をただ批判するだけの有様ではテレビ討論で取り上げられた経済の議論など有権者には何の役にも立たない。最後のテレビ討論の直後に民主党選挙コンサルタントのクリス・レヘイン氏は「討論はロールシャッハ・テストのようなものだ。マケイン氏の支持者はマケイン氏の勝利と思うだろう。オバマ氏の支持者ならオバマ氏の勝利にしてしまう。討論の夜はオバマ氏の支持者の方がマケイン氏の支持者より多かったのでオバマ氏の勝利と見た人の方が多かった」と述べている(“McCain deals no lethal blows in final debate with Obama”; Los Angels Times; October 16, 2008)。 このことは、オバマ上院議員がマケイン上院議員に対して「勝利」を収めたという世論調査の結果が歪んだものだということを示している。考えてもみて欲しい。バラク・オバマ氏の経済政策案がそれほど素晴らしかったなら。どうして「配管工のジョー」ことサムエル・ジョセフ・ワーゼルバッカー氏との論戦に敗れるのだろうか?

三度にわたる経済問題の討論は意味がない。より重要なことには、世界の中でのアメリカのリーダーシップが岐路に立つ情勢で外交と安全保障の課題が脇に追いやられていることである。

BBCの報道ではイラクの増派が成功したことで外交と安全保障の重要性が下がったという(“US campaign bypasses foreign policy”; BBC News; 17 October, 2008)。キリスト教福音主義団体が発行するSojournerというジャーナルは、多国籍軍がイラクの反乱分子を完全に制圧したわけではないので今後も注意深く事態を見守る必要があると述べている(“The Sad Truth about the Surge”; God’s Politics; October 17, 2008)。

しかし民主党副大統領候補のジョセフ・バイデン上院議員が以下の発言に刺激されて外交政策が議論されるようになった。

これから言うことに注意して欲しい。バラク・オバマ氏が大統領に就任すればジョン・ケネディ大統領と同様に6ヶ月以内に世界から試されるだろう。世界は見ている。我々は47歳の素晴らしい上院議員を合衆国の大統領に選び出そうとしている。しっかり見て欲しい。この大統領を試そうと国際的な危機が作り出されるだろう。我々はそれに直面する。オバマ新大統領は難しい決断を迫られるが、どんな決断を下すかはわからない。ともかく危機が起こることは間違いない。歴史学者として、また7人の大統領の下で政治に関わった者として、危機が起こることは間違いないと断言する“Biden predicts international crisis if elected - McCain reacts”; The Vote Blog, Christian Science Monitor; October 21, 2008)。

ジョン・マケイン上院議員はこの一言に飛びついた(“The Trail: A RETORT TO BIDEN McCain Jumps on Talk of Early Test for Obama”; Washington Post; October 21, 2008)。 サラ・ペイリン知事もマケイン氏に続いた(Palin agrees with Biden that Obama presidency will create crisis”; The Vote Blog, Christian Science Monitor; October 21, 2008)。

オバマ上院議員の資質に疑問が呈されるに及んで、「自由のための退役軍人の会」の会長を務めるピート・ヘグセス陸軍大尉はオバマ氏の外交政策を批判する投稿を行なっている(“Right You Are, Joe: America's enemies will see Obama as weak”; National Review Online; October 21, 2008)。ヘグセス大尉はジョセフ・バイデン氏が最高司令官の職務をこなすにはオバマ氏に致命的な欠陥があることを理解していると述べている。この大統領候補は「対話を通じた平和(peace through engagement)」をあまりに無邪気に信じ込んでいるので、それが戦争抑止につながるどころか自由世界が攻撃にさらされるだろうことはバイデン氏にもわかると大尉は言う。また、ヘグセス氏はジョン・マケイン氏が大統領に選出された場合にアメリカの敵に試される危険性についてバイデン氏が全く憂慮していないことにも言及している。

ヘグセス氏は明快で力強い議論を展開している。私は彼に同意する。オバマ氏はマフムード・アハマディネジャド、ウーゴ・チャベス、フィデル・カストロ、キム・ジョンイルといった独裁者が自由世界の友人になれると信じるほど無邪気である。またオバマ氏はアメリカが過激派や敵の言い分に耳を傾けて、こうした勢力との関係を改善すべきだと信じるほど無邪気である。

バイデン上院議員は大統領の座を引き継ごうとしているのかと勘ぐってしまう。バイデン氏の発言からすると、心底では大統領としての経験も資質も乏しいオバマ氏を見下していると思われる。しかしバイデン氏にとってそんなことは些細なことである。バラク・オバマ氏が大統領に選出されれば、どの大統領より暗殺される可能性が高い。そうなると「6期上院議員のジョー」は合衆国大統領に就任するという素晴らしいチャンスに恵まれるのである。何という深謀遠慮だろうか!

その他の参照リンク:

“After Debate, Glare Of Media Hits Joe: Plumbers Union, Tax Collectors Notice”; Washington Post: October 17, 2008

“Where McCain, Obama stand on the issues”; International Herald Tribune; October 20, 2008

“About Joe the Plumber, ‘average’ guy”; Patchwork Nation Blog, Christian Science Monitor; October 22, 2008

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コメント

ヘグセス氏のコメントはなかなか核心をついているようですね。
1992年のビル・クリントン候補の表現を借りれば「経済じゃなくて外交だよ、馬鹿」といいたい気分です。世界帝国のリーダーを浅薄な熱狂の中で選ばねばならないのは、民主主義の宿命とはいえ、歯がゆいことです。
バイデン氏から見ればオバマの外交政策なんてお笑い草でしょう。深謀遠慮(?)の通りになってくれれば…。それ以前にマケイン上院議員が当選してくれれば一番よいわけですが。

経済は確かに重要な問題です。しかしロールシャッハ・テストさながらの討論で「勝敗」はないです。

「深謀遠慮」は私の想像です。バイデン氏本人はどう思っているか?本当のことは言わないと思います。

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