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2008年11月28日

公益活動のためのファンドレイジング・セミナー

政治ブログの運営者の間では、自らも何らかの形で公益に関わる活動やアドボカシーをやってみたいと思う人は多いと思います。希望するものが私のようにハードコアな政治活動とは限りません。もっと政治的に中立な人道支援などに関わろうという人も多いでしょう。そうした活動を行なおうにも、本気になればなるほどインフラや資金などの資本が必要です。顔の見えないブログ発行だけで満足できますか?(中には実名で写真付きのブロガーや、私のようにリンク先の通常HPに実名と写真を載せる人もいますが。)

シーズ=市民活動を支える制度を作る会という団体では、そうした人達の熱意に応えようとファンドレイジング・セミナーを開催しています。私の場合は以前の記事でも述べたように中間法人という形式は整えましたが、資本は全くない状況です。アドボカシーを本気でやるなら、より良質な情報も必要です。また、海外や国内に出かける旅費も必要になります。

今年の総仕上げのセミナーは去る11月26日に日本財団にて開催されました。私はこれまでに第4回第5回のセミナーに参加しています。全くの門外漢であった私ですが、ファンドレイジングの基本概念はおぼろげにわかりかけています。

今回のセミナーではレセプション・パーティーがあり、講師の方とも直接に話す機会がありました。今後は自らのファンドレイジングに向けて具体的に行動に出られればと思っています。

実際に自分も公益に関わる活動をやってみたい人、ただの匿名ブログには飽き足らない政治ブロガーの皆さん、自分なりのテーマを明確にしたうえでシーズに連絡をとるのもよいと思います。

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2008年11月23日

ゲーツ国防長官、今世紀の核兵器を語る

ロバート・ゲーツ国防長官は1028日にカーネギー国際平和財団にて「21世紀の核兵器と抑止」いうテーマで講演を行なった。ゲーツ氏は現ブッシュ政権の閣僚であるが、オバマ次期政権での国防長官の候補者の一人でもある(“Who's in the running for Obama administration jobs”; AP; November 20, 2008)。次期政権で国防長官に就任するか否かはともかく、核不拡散に関するゲーツ氏の視点は党派を超えたアメリカの立場を代表している。そうしたことから、このイベントのビデオは視聴の価値がある(リンクはこちら)。

ゲーツ長官はアメリカの核政策に突きつけられている国内課題と国際課題の絡み合いについて語った。また、長官はアメリカの核兵器関連インフラの老朽化と抑止力の信頼性の関係についても説明した。

まずゲーツ長官は冷戦後のアメリカの核戦略のあらましを述べた。B1爆撃機を始めとする時代遅れになった核兵器の廃棄・削減を行ない、クリントン政権期には核実験を一方的に停止したアメリカの核戦略はブッシュ政権の下で見直しがなされた。ゲーツ氏は核抑止力への依存を低め、通常兵器の抑止力と潜在的な脅威への対応能力を高める必要があると述べた。新たな戦略は以下の三本柱から成り立っている。

(1)       攻撃能力:核抑止力と通常兵器による攻撃能力

(2)       防衛能力:弾道ミサイル防衛も含む

(3)       上記(1)と(2)を支援するインフラ整備

9・11を契機に安全保障をめぐる環境は変わったが、再び台頭してきたロシアと中国、そしてイランと北朝鮮などのならず者国家によって重大な核の脅威が突きつけられている。

ゲーツ氏はロシアと中国の核兵力近代化とそれが自由世界の安全保障に及ぼす影響に懸念を示しながら、両国を敵国とは見なしていない。確かにアメリカとロシアは大量に保有する両国の核兵器削減で協力し合う必要がある。中国との経済関係は重要性を増している。しかし、ロシアと中国は我々の自由民主主義に対抗しており、そのような野心ある大国が核戦力を強化しているのである。私には両国に対するゲーツ氏の態度が柔和に見える。

きわめて重要なことに、ゲーツ長官はアメリカ軍の核兵器の老朽化を指摘している。メディアはこれほど死活的で避けて通れない問題に殆ど言及しない。ゲーツ氏は1980年代以降、アメリカは核兵器を設計していない。1990年代以降は製造もしていない」と言う。これはアメリカの核抑止力の信用性を維持するうえで深刻な問題である。核兵器の開発に関わる技術者は引退し始めており、現存の核兵器も寿命の延長が必要である。長官は国防総省とエネルギー省が共同で「核弾頭の総数を減らすとともに必要時に新たに核兵器を生産できる能力を向上させてリスクのバランスをとりながら、老朽化した核兵器の削減に乗り出している」と述べている。

質疑応答の時間にゲーツ長官はヨーロッパと太平洋地域にあるアメリカの同盟国を防衛することが死活的な国益だと強調した。 

質疑応答で最も注目されたのはミサイル防衛の問題である。ゲーツ長官はヨーロッパの弾道弾迎撃ミサイルがイランを念頭に置いたもので、ロシアに対するものではないと述べた。長官はアメリカがロシアと信用安全保障醸成手段の構築に努めていることを説明した。ゲーツ氏はこのイベントではアジアのミサイル防衛については言及しなかったが、おそらく念頭にあるのは北朝鮮であってロシアや中国ではないと推測できる。しかし、私はゲーツ長官が台湾海峡をめぐる紛争が起きた場合をどのように考えているのかという疑問を持っている。中国が海峡で恫喝行為に及べば、極東でアメリカの重要な同盟国である日本と韓国のシーレーンの安全保障が脅かされる。

私はゲーツ長官がロシアと中国に関して述べたことの全てに同意してはいない。また、ゲーツ氏が北朝鮮に関して充分に言及しなかったことは残念である。しかしロバート・ゲーツ国防長官が我々が世界の専制と野蛮に対して武装を解除することは致命的な誤りである」というセオドア・ローズベルトの発言を引用したことを喜ばしく思う。この講演は世界規模の核不拡散に関して党派を超えたアメリカの課題を理解するのに役立つ。ロバート・ゲーツ氏が国防長官に任命されるか否かにかかわらず、全世界の左翼の偶像となっているバラク・オバマ次期大統領がこの引用をよく理解してくれることを私は望んでいる。

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2008年11月16日

軍はマケイン候補支持だった:次期大統領は本当に最高指令官が務まるのか?

私はバラク・オバマ次期大統領が最高司令官として無能であると批判し続けてきた。ともかく、選出されてしまった以上はオバマ氏の資質について議論することが重要である。

ロサンゼルス・タイムズが運営している中東に関するブログで興味深いリンクを見つけた(“IRAQ: U.S. troops weigh in on Obama versus McCain”; Babylon & Beyond; November 5, 2008)。そのリンク先での選挙前の調査によると、アメリカ全軍の2/3から3/4の有権者がバラク・オバマ上院議員よりもジョン・マケイン上院議員を好ましいと見ていた(“If the presidential election were held today, for whom would you vote?”; Military Times; October 3, 2008)。

軍人の間でどの候補者に投票するかで最も重視されるのは指導者の人柄である。この調査ではジョン・マケイン氏がバラク・オバマ氏よりも圧倒的に絶大な信頼を勝ち取っていた。マケイン氏はベトナムで戦争捕虜の経験に耐えたが、オバマ氏には軍歴がない。さらにオバマ氏はイラクでのアメリカの重大な任務を批判し続けてきた。戦士は戦場の経験または国防の価値観を共有する指導者に共通の絆を感じるものである。アレクサンダー大王とユリウス・カエサルにカリスマがあったのは、このためである。今日ではセオドア・ローズベルトとロナルド・レーガンが称賛されているのも、このためである。バラク・オバマ氏にはこうした人徳が全くない。それどころかウィリアム・エアーズ氏、ジレミア・ライト師、ラシード・カリディ氏といった自由世界の敵とのただならぬ関係で疑惑を持たれている。私は教育の行き届かない有権者達がオバマ氏を救世主として崇め奉る気が理解できない。

カリフォルニア州のアーノルド・シュワルツネッガー知事がオハイオ州での応援演説で「私は映画でアクション・ヒーローを演じるだけですが、ジョン・マケイン氏は本物のアクション・ヒーローです!」と言った際に、私は感動を覚えた。今回の選挙でこれほど感動的な演説は他になかった。それによってオバマ次期大統領には超大国の最高司令官に相応しい人格が感じられないことを痛感する。

人格に加えて、私はバラク・オバマ氏が血のつながりによる贔屓で得をしていることを懸念している。軍部ではヒスパニック、アジア系、その他の少数民族さえオバマ氏よりマケイン氏を支持した。しかし黒人の圧倒的多数はオバマ氏支持であった。選挙で勝つためには、強固な固定票が頼める集団は心強い。しかしこの強みも軍を指揮して国家を統治してゆくためには邪魔になりかねない。超大国を指導するのは並大抵ではない。オバマ氏が国政や国際政治で難題に直面すると、こうした人種間の分断は指導力の低下につながりかねない。

アメリカは戦争の最中にあり、中東に踏みとどまるも撤退するも、最高司令官の決断が士官や兵士の信頼を得る必要がある。オバマ氏は本当に国家を統治し、我ら自由世界を守るために全世界にわたる作戦を指揮できるのだろうか? 

メディアは史上初の黒人大統領の出現を歴史的だと言うが、私はそうは思わない。肌など日焼けすれば誰でも黒くなる。我々は、どれだけ多くの大統領、首相、国王、そして皇帝を忘れ去っているだろうか!指導者が歴史を作れるのは何をしたかによってであり、どのような地位や役職に就いたかによってではない。

2008年のアメリカ大統領選挙について投稿するのは、これ最後としたい。世界には重要な問題が数多くある。グローバル・アメリカン政論も通常業務に戻る時である。ともかく、バラク・オバマ次期大統領については今後も観測を続ける。

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2008年11月11日

The Divided States of America:オバマ氏の大統領選出は人種融和の象徴ではない

Ethnicsex_2

今回はマルティエデュケーター社というコンピューターソフトによる歴史教育の会社が行なった大統領選挙の出口調査について印象深い結果について述べたい。上記の表は性別そして人種別の調査結果である。

その結果からアメリカでの人種分断の現状がわかる。メディアの報道とは裏腹に、バラク・オバマ氏が大統領に立候補したことによって、この重要な事実が白日の下にさらされ、融和どころではないことがわかる。

白人有権者の55%がマケイン氏に4045%がオバマ氏に投票したのに対し、黒人有権者の95%近くがオバマ氏に5%未満がマケイン氏に投票している。候補者が全面的に政策と人格で選ばれるなら、黒人有権者の数字は現実離れしている。アメリカは様々な思想と利害関係から成る多元的民主主義社会であり、黒人社会も同様である。95%もの信任となるとイラクでイラク戦争前にサダム・フセインが選出された選挙ぐらいしか思い浮かばない。明らかに、メディアが少数民族の有権者を洗脳している。

こうした数字を眺めてみるだけでも、バラク・オバマ氏では人種間の分断を癒すことはできないことがわかる。オバマ氏はメシアでも救世主でもない。新任の大統領とメディアのハネムーン期間が過ぎれば、民族集団の間の緊張は悪化するであろう。

メディアは真実を伝えて欲しい。嘘は伝えないで欲しい。

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2008年11月 9日

これは民主主義か、それとも衆愚政治か?:アメリカ大統領選挙が世界に与える影響

バラク・オバマ上院議員は最近まで政治に関心など抱かなかった若者の支持を受けて大統領選挙に勝利した。言わば、政治志向のない者達が今日の世界を変えてゆこうとしているのである。これはアメリカだけの現象でなく世界全体のものである。

日本では20059月にテレビ政治に感動した選挙民に熱心な支持を受けて、当時の小泉純一郎首相が地滑り的な勝利を収めた。ロシアでは2008年3月にドミトリー・メドベージェフ氏がウラディミール・プーチン氏の強い指導者像を礼賛する国民の支持を受けて大統領に当選した。どちらのケースも国政の重要課題など眼中にはない若者達によって政治が動かされた。

このような新たなポピュリズムは真の民主主義なのか、それとも野蛮な衆愚政治なのか? 歴史的な観点から見るうえで、このようなポピュリズムは17世紀から18世紀にかけての市民社会の形成のように新しい民主主義に進化するのだろうか、それとも衆愚政治の混乱に陥るのだろうか?

市民の力の台頭は1994年の地球温暖化に関するリオ首脳会議で顕著になった。ICBLが1997年にノーベル平和賞を受賞したのも有志の地球市民の協力によるものであった。

911テロ攻撃を契機としたアフガン戦争の際に初めて全世界の左翼が「普通の市民」を動員して反戦運動を繰り広げた。こうした「普通の市民」は政治に関する意識が高いような人達ではない。こうした素人の動員の成功に気を良くした左翼団体は、イラク戦争に対して大規模な反対運動を組織した。地球規模の民主主義は地球規模の衆愚政治に変貌してしまった。

我々が銘記しなければならないことは、地球「市民」、もっと正確には地球「愚民」社会による継続的な攻撃がブッシュ政権に行なわれたことによってアメリカ国内と海外のメディアが影響を受けたということである。これによってバラク・オバマ氏が台頭することになる。

フィナンシャル・タイムズのクライブ・クルック氏はメディアの偏向によってオバマ氏が非常に有利になったと指摘している(“How McCain lost the centrist vote”; Financial Times; October 26, 2008)。しかしクルック氏自身も偏向している。クルック氏はオバマ陣営が致命的な誤りを犯さなかったのに対し、マケイン陣営はいくつかの過ちを犯したと述べている。実際にはイラクでデービッド・ペトレイアス大将と会談した際にバラク・オバマ氏の無能ぶりが露呈した。メディアはこの重要な機会にオバマ氏の最高司令官としての資質に疑問を突きつけなかった。日本のジャーナリストの古森義久氏はメディアの不可思議な態度に疑問を投げかけている(「大手メディアは最後まで民主党寄りの偏向だった」;ステージ風発;200811月4日)。

アメリカ大統領選挙では、ジョン・マケイン上院議員を支持したのはヘンリー・キッシンジャー元国務長官、ノーマン・シュウォルツコフ退役陸軍大将、カーネギー国際平和財団のロバート・ケーガン上級研究員らアメリカを代表する安全保障の専門家達である。また、配管工のジョーのように良きアメリカ国民もマケイン氏支持であった。他方でバラク・オバマ上院議員を支持したのは政治的判断能力に疑問のあるリンゼー・ローハン(素行不良で悪名高いハリウッド女優)マリファナ中毒の若者達である。言わば、オバマ氏はアメリカ社会のクズのおかげで選挙に勝ったようなものである。

アルバート・ゴア元副大統領が述べるように、リオ会議からオバマ現象に至る市民の力の台頭はインターネットなしでは起こりえなかった(“Gore sees transformative power of Web in politics”; Computer World; November 7, 2008)。インターネット政治は良き影響も悪しき影響も及ぼす。オバマ現象は別の場所で市民の力の台頭をもたらすのだろうか?それとも他の国で衆愚政治の台頭をもたらすのだろうか?これは世界規模の視点で理解されねばならない。

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