軍はマケイン候補支持だった:次期大統領は本当に最高指令官が務まるのか?
私はバラク・オバマ次期大統領が最高司令官として無能であると批判し続けてきた。ともかく、選出されてしまった以上はオバマ氏の資質について議論することが重要である。
ロサンゼルス・タイムズが運営している中東に関するブログで興味深いリンクを見つけた(“IRAQ: U.S. troops weigh in on Obama versus McCain”; Babylon & Beyond; November 5, 2008)。そのリンク先での選挙前の調査によると、アメリカ全軍の2/3から3/4の有権者がバラク・オバマ上院議員よりもジョン・マケイン上院議員を好ましいと見ていた(“If the presidential election were held today, for whom would you vote?”; Military Times; October 3, 2008)。
軍人の間でどの候補者に投票するかで最も重視されるのは指導者の人柄である。この調査ではジョン・マケイン氏がバラク・オバマ氏よりも圧倒的に絶大な信頼を勝ち取っていた。マケイン氏はベトナムで戦争捕虜の経験に耐えたが、オバマ氏には軍歴がない。さらにオバマ氏はイラクでのアメリカの重大な任務を批判し続けてきた。戦士は戦場の経験または国防の価値観を共有する指導者に共通の絆を感じるものである。アレクサンダー大王とユリウス・カエサルにカリスマがあったのは、このためである。今日ではセオドア・ローズベルトとロナルド・レーガンが称賛されているのも、このためである。バラク・オバマ氏にはこうした人徳が全くない。それどころかウィリアム・エアーズ氏、ジレミア・ライト師、ラシード・カリディ氏といった自由世界の敵とのただならぬ関係で疑惑を持たれている。私は教育の行き届かない有権者達がオバマ氏を救世主として崇め奉る気が理解できない。
カリフォルニア州のアーノルド・シュワルツネッガー知事がオハイオ州での応援演説で「私は映画でアクション・ヒーローを演じるだけですが、ジョン・マケイン氏は本物のアクション・ヒーローです!」と言った際に、私は感動を覚えた。今回の選挙でこれほど感動的な演説は他になかった。それによってオバマ次期大統領には超大国の最高司令官に相応しい人格が感じられないことを痛感する。
人格に加えて、私はバラク・オバマ氏が血のつながりによる贔屓で得をしていることを懸念している。軍部ではヒスパニック、アジア系、その他の少数民族さえオバマ氏よりマケイン氏を支持した。しかし黒人の圧倒的多数はオバマ氏支持であった。選挙で勝つためには、強固な固定票が頼める集団は心強い。しかしこの強みも軍を指揮して国家を統治してゆくためには邪魔になりかねない。超大国を指導するのは並大抵ではない。オバマ氏が国政や国際政治で難題に直面すると、こうした人種間の分断は指導力の低下につながりかねない。
アメリカは戦争の最中にあり、中東に踏みとどまるも撤退するも、最高司令官の決断が士官や兵士の信頼を得る必要がある。オバマ氏は本当に国家を統治し、我ら自由世界を守るために全世界にわたる作戦を指揮できるのだろうか?
メディアは史上初の黒人大統領の出現を歴史的だと言うが、私はそうは思わない。肌など日焼けすれば誰でも黒くなる。我々は、どれだけ多くの大統領、首相、国王、そして皇帝を忘れ去っているだろうか!指導者が歴史を作れるのは何をしたかによってであり、どのような地位や役職に就いたかによってではない。
2008年のアメリカ大統領選挙について投稿するのは、これ最後としたい。世界には重要な問題が数多くある。グローバル・アメリカン政論も通常業務に戻る時である。ともかく、バラク・オバマ次期大統領については今後も観測を続ける。
« The Divided States of America:オバマ氏の大統領選出は人種融和の象徴ではない | トップページ | ゲーツ国防長官、今世紀の核兵器を語る »
「アメリカのリーダーシップ/世界秩序」カテゴリの記事
- バイデン大統領キーウ訪問後のアメリカのウクライナ政策(2023.04.17)
- 日本とアングロサクソンの揺るがぬ同盟と、独自の戦略(2022.11.08)
- 国防費をGDP比率で決定してよいのか?(2021.12.13)
- アフガニスタン撤退と西側の自己敗北主義(2021.10.26)
- 何がバイデン外交のレッドラインとなるのか?(2021.05.11)
« The Divided States of America:オバマ氏の大統領選出は人種融和の象徴ではない | トップページ | ゲーツ国防長官、今世紀の核兵器を語る »
コメント