インドでのテロ攻撃がアメリカの次期政権に与える重大な影響
11月26日のムンバイ・テロ事件についてワシントン・インディペンデント紙は11月28日号に“Obama’s First Test?: The Terrorist Attacks in Mumbai Highlight a Simmering Crisis in South Asia”という記事を掲載している。テロ攻撃によってインドとパキスタンの関係は悪化している。これはアフガニスタンでの対テロ戦争とインド亜大陸の核不拡散に対する重大な挑戦となる。
アメリカがインドとの核協定の交渉に入ってから、グローバル・アメリカン政論ではインド亜大陸に注目してきた。当ブログではこれまでにヘンリー・キッシンジャー元国務長官とニコラス・バーンズ元国務次官の発言を引用し、核兵器、テロ、地域安全保障、経済といった広範囲にわたる二国間の課題に言及した。インドとパキスタンの安定した関係は米印協調の発展のために不可欠である。しかしテロ攻撃の犯人にパキスタン人がいたので、インドはパキスタンが何らの関与をしたと疑念を抱いている。
ムンバイの事件はジョセフ・バイデン次期副大統領が「バラク・オバマ氏が大統領に就任すればジョン・ケネディ大統領と同様に6ヶ月以内に世界から試されるだろう。」と発言したことを思い出させる。私にはオバマ次期大統領が就任する前に試されているように思える。インドとパキスタンの両国はアフガニスタンでのアル・カイダとタリバンに対する最前線である。この地域の二大核保有国の間の政治的緊張は、アメリカの戦略の青写真を狂わせる。
現段階ではこの事件の真相の完全究明が必要である。犯人達はアル・カイダとタリバンに関係があると疑われている。
ワシントン・インディペンデント紙のスペンサー・アッカーマン記者は、ムンバイ・テロ事件はアフガニスタンでのアメリカとNATOの任務に重大な挑戦を突きつけていると記している。現在、アフガニスタンのハミド・カルザイ大統領はタリバンの指導者達と接触する一方で欧米の駐留軍の撤退を要求し始めた(“Karzai — Whoa! — Calls for a Timetable to End the Afghanistan War”; Washington Independent; November 25, 2008)。
さらにワシントンのリベラル派シンクタンクのアメリカ進歩的政策センターは最近のレポートで、オバマ政権に対して軍事偏重の米パ関係を築いたブッシュ政権の政策を一新するように提言している(“Partnership for Progress: Advancing a New Strategy for Prosperity and Stability in Pakistan and the Region”; November 17, 2008)。そのレポートでは「アメリカは軍事支援だけではパキスタンの政治的安定にも安全保障にも不充分だと認識すべきである」と記し、「統治機能と法の支配の強化、経済的機会の創出、そして反乱分子との政治交渉の模索」を要求している。
テロ攻撃はこの地域でのアメリカの戦略に深刻な影響を及ぼした。徹底的な捜査によってこの地域でのテロのネットワークが解明されるであろう。ブッシュ政権はインド亜大陸とアフガニスタンでの戦略的な枠組を築いた。オバマ政権は現政権が築いた枠組を発展させられるだろうか?ムンバイ事件はアメリカの次期政権を試すものとなっている。
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