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2009年2月 8日

バイ・アメリカン条項:オバマ大統領の一国中心社会主義による米欧関係の悪化

ヨーロッパ人はイラク戦争勃発の際のアメリカの単独行動主義を非難した。ヨーロッパ諸国民は民主党のバラク・オバマ候補なら米欧間の溝を埋められると期待した。今やヨーロッパ諸国民と国際メディアは共和党政権に対する無責任な批判の代価を払わされることになった。

バラク・オバマ大統領はバイ・アメリカン条項と称する新たな保護主義政策を現在提案中の経済刺激政策に盛り込むと表明した。アメリカと海外の指導者の間ではオバマ氏の条項が新手のスムート・ホーリー法を思わせるとの批判も出ている。イラク戦争勃発時にはアメリカと全世界のリベラル派が「憎しみが憎しみを呼ぶ」と言った。オバマ大統領は国益やイデオロギーを超えた愛が世界をまとめると信じ込むこうしたリベラル派の支持を得ている。現実には偉大なる大統領は保護主義が保護主義の報復を呼ぶ政策を提案している。

ジョン・マケイン上院議員が大統領になっていたら、このような視野の狭い政策を口にすることはなかったであろう。マケイン氏は民主主義連盟の熱心な提唱者である。マケイン氏ならバラク・フセイン氏よりもアメリカの同盟国を尊重したであろう。

この保護主義条項を最初に批判したのはイギリスの商工相であるピーター・マンデルソン卿である。マンデルソン卿は「我々が何もしなければ、これによって保護主義の台頭、グローバル化の後退、さらに貿易と国際経済活動の低下を招き、一気にかつての保護主義の応酬に突入するであろう。今は一個人や一国家だけで危機を乗り切れない。世界が一丸となって事に当たらねばならない」と述べている(“Mandelson condemns Obama 'Buy American' call as protectionism”; Times; January 31, 2009)。マンデルソン商工相はそのような非グローバル化を「歓迎されざるもので、望ましくも必要でもない」と言う(“Jeremy Warner: Do as we say, not as we do when it comes to protectionism”; Independent; 31 January 2009)。

この法案はEU加盟国の間で深刻な懸念を呼び、ポルトガルのルイス・アマド外相は「我々はこのような保護主義、排外主義、自国優先主義を回避することが政府の責任だと強調したい」と述べている(EU attacks 'Buy American' clause”; BBC News; 3 February 2009)。

バイ・アメリカン条項の悪影響は米欧関係にとどまらない。パスカル・ラミWTO事務局長は、「孤立主義への傾斜と報復の応酬が悪い結果をもたらすことは過去の歴史からも証明されている」と警告する(“WTO Seeks to Curtail Protectionist Measures”; Washington Post; February 7, 2009)。ピーターソン国際経済研究所のゲーリー・ハフバウアー上級フェロー(レジナルド・ジョーンズ記念)は、こうした行動が「他の国にも保護主義の走って良いという免状を与えるようなものだ。アメリカは常に市場開放と自由貿易を世界に説いてきた。アメリカは国際的な関与をないがしろにしている」と述べている。ハフバウアー氏はこの法案によって創出される雇用よりも失う雇用の方が多いと主張する(“Analysis: Buy-US clause draws fire abroad”; Washington Post; February 4, 2009)。

こんなアメリカ見たくない!

O Hail Obama

THE LORD OBAMA - A RED DAWN

オバマ大統領は明らかに、自由貿易と自由主義世界秩序の守護者という覇権国家の役割を尊重していない。超大国の指導者としてオバマ氏の資格に疑問を呈さざるを得ないのは、経験不足ではなく思想信条の方である。

オバマ大統領には国内からも批判が出ている。共和党のミッチ・マコネル上院議員は大統領に法案の見直しと共和党案の盛り込みを要求している(“Top Republican: Scrap 'buy American' stimulus clause”; AFP; February 3, 2009)。

オバマ大統領はアメリカの最高製品が輸入部品を使っており、これが雇用を増大させていることを忘れてはならない。アメリカ陸軍が誇るM1戦車はイギリスで設計された装甲とドイツ製の主砲から製造されている。こうした輸入かなければ、アメリカの労働者の雇用が失われるのである。アメリカにはヨーロッパや日本からの最高級製品が必要であり、逆もまた真である。

ブッシュ政権のカウボーイ外交に嫌気が差しただけでオバマ氏に魅了された者は純真無垢である。彼らは催眠にかけられ、その結果まで考えが及ばなかった。現在の閣僚が大統領を超大国の真の指導者にチェンジしてくれることが望ましい。オバマ氏は我々の自由貿易と自由主義世界秩序を守る意志があるのだろうか?ウクライナ危機の最中に芸能人とドンチャン騒ぎをしたオバマ大統領だけに・・・・・・・。

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