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2009年6月12日

不幸を選択したアメリカ:日高氏が新刊でオバマ政権をメッタ切り

Isbn9784569704913_2 日本のジャーナリストで全米商工会議所会長の主席顧問とハドソン研究所の上級フェローを務める日高義樹氏がオバマ政権の暗黒の側面を記した著書を発行した。この著書は日本語で書かれているが、私は全世界に紹介する価値があると信ずる。

日高氏はワシントン政界で究極のインサイダーである。東京大学をアメリカ文学専攻の学士号で卒業すると、NHKに入局してアメリカの政府、軍、財界の報道にたずさわってきた。同氏は共和党のリチャード・ニクソン、ヘンリー・キッシンジャー両氏から民主党のジミー・カーター氏に至るまでアメリカ政界の重鎮達と親しい関係にある。

他方で日高氏はアメリカ人ではないのでアウトサイダーでもある。しかしこれはアメリカ政治を客観的で大胆に語るうえで有利な点である。イギリス人のジョン・ミクルスウェイト氏とエイドリアン・ウールドリッジ氏が著した”The Right Nation”(邦訳なし)は大変な好評であった。実際に日高氏はオバマ氏がウォール街叩きを続けていると暗殺される危険があるとまで懸念している。金融、工業、軍のエリート達の結びつきは強いので、オバマ氏のポピュリズムは彼らの怒りをかうという。日高氏は極右の人種差別主義者達がエリート達と結びついてバラク・オバマ氏を暗殺する危険性を指摘する。この著書は日本の読者を相手に日本語で書かれているので、そうしたタブーを大胆に語れる。

この著書の冒頭で日高氏はオバマ大統領がフランクリン・ローズベルトになれるかどうかを問いかけている。氏の結論は「ノー」である。国家安全保障から経済、その他に至るまでオバマ氏には大局的な戦略構想がないと日高氏は批判する。さらにオバマ氏には指導者としての訓練を積んだ経験がないので、自分より経験のある有能な閣僚を使いこなせないとも言う。

オバマ氏を支持するアメリカ人は彼の「天才」を信頼している。確かにバラク・オバマ氏は核兵器に関するプラハ演説や中東に関するカイロ演説で見られたように、無数の人々の心をつかむことにかけては飛びぬけて天才である。しかし日高氏が述べるように、世界唯一の超大国の大統領職は天才だけでは務まらない。メディアの好意的な受け止めとは裏腹に、私はオバマ氏が自由世界秩序の守護者というアメリカの覇権国家としての役割をプラハとカイロでの耳あたりの良い演説で自己否定していることは重大な懸念材料と見ている。確固としたビジョンもなくそうした危険なポピュリズムに走ればアメリカ外交にも世界の安全保障にも良いことはない。

この著書を以下の点から見てみたい。それはオバマ政権の背景、外交安全保障政策、経済政策、そして日米関係と東アジアの安全保障である。

日高氏はオバマ氏が選挙に勝利した重要な理由は有権者の間に広まった国家への不信感だと主張する。アメリカ国民はブッシュ政権下で電話盗聴のような対テロ監視に嫌気がさしてしまった。そうした雰囲気の中、オバマ氏は消え財危機への恐怖感を煽りたてて有権者の関心を安全保障から逸らした。そうした巧みな選挙戦術によって Hope of the Changeのバラク・オバマ氏がCountry First ジョン・マケイン氏を破ったのである。しかし日高氏はオバマ氏が極左活動家や地元シカゴの地方マフィアといった後ろ暗い人物達と自分との関係について国民の注意を向けさせないようにしていると指摘する。日高氏はアメリカのメディアがオバマ氏の指導者としての資質に重要な問題となるような汚い人脈について追及しないことに疑問を投げかけている。

外交安全保障政策でオバマ大統領はどのような相手でも話し合えば世界中が平和になると信ずるほどナイーブである。日高氏はオバマ氏のような法に基づくアプローチでは国際政治のホッブス的なサバンナには通用しないと批判する。さらにオバマ政権の閣僚の多くは外交に関してはアマチュアで、戦争の何たるかをわかっていないとまで述べている。ブッシュ政権はアメリカ国内へのテロリストの侵入を防いできたが、日高氏はオバマ政権になってテロリストへの監視が弱まるとアメリカの安全が脅かされると警告する。

経済ではオバマ氏の政策の基本的な骨組みはケインズ的な公共投資だけだという。しかしそれは中国からの資金の流入に多いに依存しているという。中国でナショナリズムが高まって国内需要主導の経済になってくると、アメリカへの資金の還流は減少するので、財政支出の拡大には致命的な障害になりかねないという。

日高氏は中国に対するオバマ氏の生ぬるい態度にも大きな懸念を抱いている。ブッシュ政権は中国との経済関係は強化したが世界と地域の安全保障では中国の拡張主義に歯止めをかけた。オバマ大統領には確固とした対中政策ビジョンがない。日高氏はオバマ政権のアジア太平洋政策が貧弱なために日米関係に多大な悪影響がもたらされると懸念している。

不思議なことに世界とアメリカの世論はどちらも救世主バラク・オバマの空疎だが心地好いお言葉に魅了されている。オバマ氏の真の姿を見るためにこうした世論を目覚めさせる必要がある。日本語がわからなくてこの著書が読めなくても、日本のド・トックビルがオバマ政権をこれほど厳しく批判的で雄弁な分析していることを知って欲しい。だからこそ、バラク・カーター・オバマ氏の理解にこの著書を紹介する。

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コメント

この本は、私も愛読しています。隅から隅まで納得のいく書物の一つです。バラク・カーター・オバマ氏の持つ体質の「危険性」がよく分かります。
アメリカが不幸を選択した結果、全世界までもが不幸になろうとしているということになりますね。

投稿: 高峰康修 | 2009年6月16日 00:20

この世には自分の能力以上に自らの売り込みが上手な人間がいます。それが超大国の大統領となると困ったものです。北朝鮮に続いてイラン、あのSaviorで大丈夫なのか?

投稿: Shah亜歴 | 2009年6月19日 21:09

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