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2009年6月28日

イラン危機の試練:元サッチャー英首相顧問がプラハとカイロの反米自虐演説を疑問視

上にあるCスパンのビデオを観て欲しい。ジョン・マケイン上院議員がテヘランの路上で民主化運動に参加した際にイランの警察に無慈悲に射殺されたネダ・アガソルタン嬢への追悼演説を行なっている。アメリカ国内外からの圧力の高まりにもかかわらず、バラク・オバマ大統領は過去にモハマド・モサデグを放逐したCIAのクーデターにとらわれてイラン非難のリーダーシップにあまりに及び腰である。カント的だとされるフランスのニコラ・サルコジ大統領やドイツのアンジェラ・メルケル首相らヨーロッパの指導者の方がイランのレジスタンス支援に熱心なほどである。

大統領就任からそろそろ6ヶ月になる。私はジョセフ・バイデン副大統領の有名な発言をしっかり銘記しており、今回の危機はオバマ大統領に対して最も重要な試験となると見ている。全世界のメディアはオバマ大統領がプラハとカイロで行なったこれまでの大統領の傲慢な世界戦略への懺悔の演説を平伏して称賛した。現在の危機はそのような自虐史観による人気目当ての訴えでは対処もままならず、世界は我々の自由世界秩序への脅威を打ち負かすためにも強力な超大国を必要としている。北朝鮮では危機管理能力が試されるにすぎないが、イランはこれ以上の問題である。そこではバラク・オバマ氏が世界の場で道徳上のリーダーシップを発揮できるか、アメリカの価値観に忠実かどうかが試される。保守派はミシェル夫人の非常に有名な初めて自分の国に誇りが持てた演説からずっと、これらの点に疑問を抱き続けてきた。

ワシントン・ポストではイラン危機をめぐるオバマ氏の信頼性を議論し、専門家の賛否両論を取り上げている(“Iran Unrest Reveals Split in U.S. on Its Role Abroad”; Washington Post; June 23, 2009)。その中でも私はイギリスのマーガレット・サッチャー元首相の外交顧問を務めたナイル・ガーディナー氏の発言が印象に残る。ガーディナー氏は「大統領は自分の国に対する自信が持てないかのようだ。アメリカが自信をもって世界に影響力を及ぼそうという気はなく、そうすることが恥ずべきことだと考えているようだ」と述べている。これはまさに、プラハとカイロの演説から私が感じてきたことそのものである。

現在、ナイル・ガーディナー氏はヘリテージ財団のマーガレット・サッチャー自由センターで所長を務めている。ガーディナー氏はオバマ大統領の自虐史観を批判する寄稿を行なっている。そして「現在の世界はブッシュ政権期よりはるかに危険で、オバマ政権はそうした脅威に弱腰な態度で臨むだけの有様である。アメリカは敵からますます軟弱だと見られるようになっているという恐るべき現実がある」と述べている。しかしガーディナー氏はオバマ氏がカーター流の外交をチェンジするのはまだ遅くないと主張している(“Barack Obama should stop apologising for America”; Daily Telegraph; 3 June 2009)。 別の投稿でガーディナー氏は問題のある謝罪を列挙し「アメリカのリーダーシップは人気競争ではなく、自虐によって発揮されるものでもない。むしろ世界各地で敵意を剥き出しにする勢力に毅然と立ち向かうことでリーダーシップは発揮される。何よりも自信を持ってアメリカの力を世界に及ぼして、自国と同盟国を守らねばならない」と発言している(“Barack Obama's Top 10 Apologies: How the President Has Humiliated a Superpower”; Heritage Memo; June 2, 2009)。

シンクレア放送グループでコメンテーターを務めるマーク・ハイマン氏はさらに手厳しく、オバマ氏の外交政策は少年時代に指導を受けた悪名高き反白人扇動家のライト師からの精神的な影響によるものだと記している(“Jeremiah Wright Foreign Policy”; American Spectator; June 26, 2009)。

世界の世論はジョセフ・バイデン氏の発言に注目した。今はナイル・ガーディナー氏の発言に注目すべきである。メディアと全世界のリベラル派はオバマ大統領がアメリカの所業を謝罪し、自らの国を貶めることを好んで見たがっている。イラン危機はそうしたポピュリズムがいかに危険かを示している。大統領はバラク・カーター・オバマからバラク・トルーマン・オバマに変貌できるのだろうか?

ナイル・ガーディナー氏の以下のビデオ・コメントも参照。

Fox New 5; June 16, 2009

Fox Business; June 17, 2009

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