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2009年6月23日

エカテリンブルグ首脳会議と中露の取り込みに失敗したクリントン外交

ソ連崩壊後のロシアで新設されたテレビ局が放映した上のビデオを観て欲しい(Mega-deals and security to link China and Russia”; Russia Today; June 17, 2009)。 ロシア・トゥデーという名のこの会社は、アル・ジャジーラがアラブの視点を伝えているようにロシアの視点を英語で伝えている。

エカテリンブルグで開催されたBRIC首脳会議でロシアと中国は近年のかつてないほど良好な両国関係を称え合い、経済協力の拡大のための貿易協定に調印した。非常に重要なことに、両国はドルへの依存を減らして国際取引で各国の通貨の使用を進めるべきだと主張した。明らかにロシアと中国は経済の分野で欧米に挑戦状を突きつけたのである。

ロシアのドミトリー・メドベージェフ大統領と中国の胡耀邦主席の共同記者会見は、新しく資本主義の道を歩む両国を取り込もうというクリントン政権の取り組みが失敗に帰したことを示す。西側主導の自由主義国際政治経済体制の善良な市民であることを拒むロシアと中国は我々に対抗し、自分達の経済的勢力範囲で独自の秩序を作ろうと決意した。

ドル基軸体制はアメリカの政治力と軍事力への信頼に基盤を置いており、これは経済的な合理性を超越したものである。ロシアと中国は欧米に対抗して急速に軍事力を強化しており、近隣諸国への影響力を拡大している。それほど危険な対抗相手が我々に挑戦を突きつけているのである。次は何をしてくるのか?

現段階ではロシアと中国は自国通貨をドルにとって代わらせることはできない。アメリカ財務省によると、両大国ともアメリカのドル債権の財産に依存しているという “Alternatives to the Dollar? Not So Fast”; Reuters Blog Commentaries; June 15, 2009)。

また、BRIC諸国は経済から安全保障に至るまで互いに見解が一致しているわけではない(“BRIC plotters stage a farce”; Asia Times; June 20, 2009)。ブラジルとインドは明らかに我々の経済体制を否定する気などなく、ロシアや中国のように急速な軍拡に走っているわけでもない。

充分に強大か否かはともかく、ロシアと中国は英米主導で作られた自由主義経済秩序であるブレトン・ウッズ体制を解体し、国際経済を自分たちの権威主義的な国家主導イデオロギーに合うように変えてゆこうと明言したのである。経済の専門家は両国の台頭を市場経済の観点からのみ議論し、両国の野望が突きつける政治的な脅威に関心を払わないことが多い。しかしどのような経済政策も政治的に立案されたものである。よって両国が我々に対抗の意志をあらわにすることは世界の安全保障に深刻な課題である。

エケテリンブルグ首脳会議は、ロシアと中国を我々の国際経済に取り込もうとしたクリントン政権の努力が失敗に帰したことを象徴する出来事である。両国が世界で我々の優位を脅かそうという野心にどのように対処すべきであろうか?両国に宥和すれば何があるのだろうか?現段階では両国は充分に強大でないかも知れないが、我々の優位を転覆しようとする両国の意志こそが重要な課題を突きつけている。歴史は終焉せず、再び始まったのである。

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