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2009年6月21日

マケイン上院議員がイラン問題で「鉄のカーテン演説」

バラク・カーター・オバマ大統領がイランでの流血の混乱に行動を起こさないので、サー・ジョン・ウィンストン・マケイン上院議員は圧政的な神権政治に対して鉄のカーテン演説とも言える発言を行なった。EU首脳とアメリカ議会が最高指導者アリ・ハメネイ師とマフムード・アフマディネジャド大統領を批判したにもかかわらず。オバマ大統領はテヘランの悪名高き体制に圧力をかける気がないようである。

サー・ウィンストン・チャーチルが第二次世界大戦後のソ連の膨張主義に強く立ち向かうことに乗り気でなかったアメリカ国民に鉄のカーテン演説で訴えかけたように、マケイン上院議員は大統領を現代史を通じてアメリカの現職大統領なら人権と自由の尊重を世界に訴えかけており、自由な選挙はその根幹を成すものである。今の大統領にはそうした理念を世界の先頭に立って訴える気もないようだと批判している(“John McCain: President Obama not showing 'leadership'”; Politico; June 17, 2009およびビデオ)。

直前の記事で述べたように、イランでの暴力の広がりに鈍い反応し示さないバラク・オバマ氏は1979年のジミー・カーター氏と重なって見えてしまう。私はこれまでに何度もイランの喪失がアメリカ外交に多大な損失を与えてきたと主張している。イランが西側にとって友好的で頼れる同盟国であったなら、9・11は起きなかったであろうしサダム・フセインもガマル・アブデル・ナセルになろうという馬鹿げた誇大妄想は抱かなかったであろう。アメリカとイギリスが第二次世界大戦終結後にイラン北部から赤軍を撤退させるようにスターリンに要求を突きつけて以来、イランはソ連のペルシア湾拡張への防壁であった。歴史的にも地政学的にもイランは中東情勢にこれほど重要な戦略上の要衝である。

私がジョン・マケイン氏が我々の自由の拡大とイランの友人達の支援のためにチャーチルを髣髴とさせる発言をしたことを重要と見なすのは、こうした理由からである。この件に関してはリベラルのアメリカも保守のアメリカもない。白人のアメリカも黒人のアメリカもない。あるのは一つにまとまったアメリカ合衆国だけであるとは正鵠を射ている。大統領閣下、おっしゃる通りですが、国民を前にした自らの発言に閣下は忠実でしょうか?

ポール・ウォルフォビッツ元国防次官は1986年のフィリピンと1991年のソ連で反政府運動が起きた際に、当時のロナルド・レーガン大統領もジョージ・H・W・ブッシュ大統領も介入に消極的であった。しかし両大統領とも最終的には市民による民主化運動を支援した(“'No Comment' Is Not an Option”; Washington Post; June 19, 2009)。ウォルフォビッツ氏がコラムで述べているように、介入をしたことがアメリカのソフト・パワーを強める結果となった。

ウィンストン・チャーチルの鉄のカーテン演説を受け入れて初めてハリー・トルーマンが真の国際政治家となれたことを重ねて訴えたい。バラク・カーター・オバマ氏はトルーマンにもレーガンにもブッシュ・シニアにもなる気はないようである。中東の友人達はアメリカの現大統領には多くを期待しない方が良さそうである。おそらくデービッド・ペトレイアス大将なら貴方達の救世主の一人に名を連ねられるだろう。チェンジへの希望は捨てないで欲しい。

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コメント

論旨に一つ一つ納得しながら拝読しました。
オバマはイランにおける独裁者による不当な弾圧を非難しないことを「現実主義的」と勘違いしているのか、それとも単にどうすればいいのか分からずにいるだけなのか知りませんが、これは結局は米国の国是を蔑ろにする行為であり米国のパワーの源泉を削ぐことです。アメリカ合衆国大統領としては不適格と言ってよいのではないかと思われます。「アフマディネジャドもムサビも大して変わらない」と言い放ったのには唖然としました。
ダブルスタンダードに陥ったり、おしつけがましくなったりと、失敗もありますが、自由民主主義と人権の価値を広めるというのがアメリカの国是であり、それが覇権国家として成功を収めている理由に相違ありません。先日紹介されていた日高氏の本ではありませんが、まさに「不幸を選択したアメリカ」としかいいようがありません。

投稿: 高峰康修 | 2009年6月23日 00:11

バラク・オバマはロバート・ケーガンが指摘するようにウィルソン的な(もっと「意地悪い」見方をすればカーター的な)理想主義者だと思います。政治家としてキャリアを駆け上がる過程で極左活動家と深い関係にあったせいか、その理想主義は超大国としてのアメリカに自己批判的になりすぎるきらいがあります。

世界の喝采を浴びたプラハ演説とカイロ演説は、まさにそうしたカーター的理想主義です。イラン危機が大統領就任6ヶ月目に起きたことに因縁を感じます。

投稿: Shah亜歴 | 2009年6月26日 23:15

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