北朝鮮には先制攻撃すべきだったか?:ロバート・ケーガン氏の2003年発言を振り返る
イラク戦争の直後に日本のフリーランス記者の大野和基氏がカーネギー国際平和財団のロバート・ケーガン上級研究員にインタビューをしている。このインタビューはネオコン思想とアメリカ外交に関するもので、日本のSAPIOという政治誌の2003年6月25日号に掲載された。
このインタビューでケーガン氏は北東アジアの安全保障に最も深刻な脅威となっている北朝鮮について語っている。ケーガン氏は外交交渉も経済優遇措置も核不拡散交渉に何の進展ももたらさなかったのは、北朝鮮が全体主義国家のためだと強調する。ケーガン氏はまた、日本が北朝鮮と国交正常化できるとはまず思えないとも述べている。
それから、現在になってロバート・ケーガン氏がインタビューで語ったことは正しいことが明らかになった。北朝鮮は国際的な義務も果たさずに見返りばかり得ている。遺憾なことに北朝鮮は原爆を手に入れてしまった。ケーガン氏がインタビューで述べたように、ならず者国家への核拡散を防ぐには軍事的攻撃が最後の手段であった。
当時はアメリカ主導のイラク戦争に対する批判が荒れ狂っており、それによってかなりの人数のアル・カイダのテロリストがイラクに入り込んだ。メディアはイラクでの不都合は何でも喜び勇んで報道し、全世界の左翼達はこうしたニュースに沸き立った。テロリスト達は大増派で敗北するまで、そうした傾向に狂喜していた。
そのように世界規模で扇動された敗北的平和主義もブッシュ政権が北朝鮮に必要な攻撃を躊躇した原因の一つである。我々はそれがどのような結果をもたらしたかわかっている。全世界の左翼の叫びは非常に膨大だったので、アメリカは世界で最悪の国家体制を破壊する貴重な機会を逃してしまった。パックス・アメリカーナに異論を唱える者はこのことを決して忘れてはならない!
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