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2009年9月30日

スローガンの変更

当ブログのスローガンは以下のように変更されます。

旧:

親英米タカ派&自由帝国主義かつ脱亜入欧のブログ。 長期的展望に基づき、グローバル政治での理念主張活動と分析の記事を掲載。第二次大戦と冷戦のバイアスを超え、新しい時代のあり方を模索。 『我らを狙う黒い影』を打倒し、自由と文明と平和の世界秩序を求めて『真の』地球市民の良心の声を挙げよう!!

新:

親英米タカ派&自由帝国主義のブログ。西側主要先進民主主義諸国による世界秩序を主張。『我らを狙う黒い影』を打倒!自由諸国民よ、団結せよ!!

もはや第二次世界大戦のバイアスを語る時期ではない。我々には新たな安全保障上の挑戦に直面している。中露枢軸、ならず者国家、過激イデオロギー信奉者達がそうした難題を突きつけている、歴史は再び始まり、国民国家の間でのホッブス的な抗争は激化している。先進民主主義諸国の強固な同盟によってこそ、それらの脅威を打破できる。

自由諸国民よ、団結せよ!

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2009年9月28日

アフガニスタンで試されるオバマ氏:最高司令官としての能力と同盟国との関係

現在、アフガニスタンは危機的な状況にあり、オバマ政権はアフガニスタン多国籍軍司令官のスタンレー・マクリスタル陸軍大将の提言を受け入れるか否か重大な決断を下す必要に迫られている。大統領選挙中にバラク・オバマ氏は対テロ戦争の主要な戦場をイラクからアフガニスタンへ移すべきだと主張した。さらにイラクからの早期撤退とアフガニスタンへの部隊の配置転換にさえ言及した。よって、オバマ政権にとってアフガニスタンの任務の状況改善は死活的なのである。アフガニスタンの作戦はイラク以上に多国間の性質があり、オバマ大統領の決断はNATO同盟諸国の安全保障政策にも重要な影響を及ぼす。また、新しく選出された日本の鳩山政権も、日米同盟を対等な関係にリセットしようというならマクリスタル・アセスメントに対するワシントンの反応を理解する必要がある。

反乱分子の攻勢の激化と8月20日の大統領選挙で不正が伝えられる状況から、マクリスタル大将はロバート・ゲーツ国防長官を通じて第一次戦略アセスメントをオバマ大統領に提出した。上のビデオに示されたように、バラク・オバマ大統領はジョージ・W・ブッシュ前大統領のように将軍達の提言を気前よく受け入れたりはしない。マクリスタル氏は多国籍軍に敵の殲滅だけにとらわれるのではなく、現地住民の支持も得るべきだと強調する。そして事態の進展を妨げているのは勢いを盛り返す反乱分子の脅威の他に政府と国際部隊に対する信頼の危機である。住民の支持を得るには、我々は二つの脅威から彼らを守らねばならない(p.5 ~ 6)。さらにアフガニスタン国民はアメリカとNATOの軍を占領軍と見なしたことはないというアフガニスタンのアブドゥル・ワルダク国防相の発言を引用している。これはソ連の侵攻の場合とは全く異なる(p.8)。殆どのメディアはこの重要な発言に言及しない。

統合参謀本部長のマイケル・ミューレン海軍大将とアメリカ中央軍司令官のデービッド・ペトレイアス陸軍大将は、マクリスタル・アセスメントへの支持を表明した(“McChrystal Request to Reach Pentagon by End of the Week”; Washington Post; September 24, 2009)。アフガニスタンへの増派を強く推すために、ミューレン大将はドイツのラムシュタイン空軍基地でマクリスタル大将、ペトレイアス大将、そしてNATO軍最高司令官のジェームズ・スタブリディス海軍大将と会談した。議会ではジョン・マケイン上院議員がオバマ政権にできるだけ速やかな同派を行なうように要求した(“U.S. Military Leaders Discuss Troop Needs for Afghanistan”; Washington Post; September 26, 2009)。アメリカ軍首脳達からの強い要求にもかかわらず、オバマ大統領はアセスメントの検討を行なっている最中である。第二次アセスメントは10月初旬に大統領に送られる(“Top general in Afghanistan asks Pentagon for more troops”; Los Angels Times; September 26, 2009)。オバマ政権内では、ジョセフ・バイデン副大統領、ラーム・エマニュエル首席補佐官、ジェームズ・ジョーンズ国家安全保障担当補佐官らが増派に代わる戦略を主張するのに対し、ヒラリー・ロッダム・クリントン国務長官とリチャード・ホルブルック特別アフガニスタン・パキスタン担当代表らがマクリスタル・アセスメントを支持している(“Plan to Boost Afghan Forces Splits Obama Advisers”; New York Times; September 26, 2009)。

そうした中でミューレン大将をはじめとするラムシュタイン会談の参加者達に手渡された第二次アセスメントで、マクリスタル大将は追加派兵について3万人から4万人までの選択肢を示した。共和党側は派兵の決断を迅速に行なうように要求している(“U.S. commander offers troop options for Afghanistan”; Reuters; September 28, 2009)。

アフガン戦争はオバマ大統領が最高司令官に適任かを試す真のテストである。私は以前の記事で、選挙中には軍人の殆どがこの分野でのオバマ氏の能力に懸念を抱いていたことを述べた。

また、オバマ政権の決断はヨーロッパの同盟国にも重大な影響をもたらすであろう。ヨーロッパ改革センターのトマス・バラセク氏は、オバマ氏が追加派兵しなければヨーロッパの兵力は撤退するであろうと指摘する(“ANALYSIS - Obama's Afghan troop response is key for Europeans”; Reuters India; September 23, 2009)。バラク・オバマ氏は自由諸国民の勝利に本気で取り組んでいることを示す必要がある。マクリスタル・アセスメントで最も重要なメッセージは、市民生活の保護と連合軍へのアフガニスタン国民の信頼である。この報告書を読み返し、そしてブッシュ政権がイラクでとったような必要な手段を迅速に講じねばならない

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2009年9月26日

核開発の野望に固執するイラン

イランは核計画を廃棄する姿勢を見せていない。先日ニューヨークで国連総会開催されたでは、イランとの核交渉は世界の安全保障の重要問題の一つである。今年の6月にはイランは大統領選挙をめぐる不正で国際社会から批判された。選挙の混乱からほどなくして、カーネギー国際平和財団では6月23日に上のビデオ映像にあるようにイランに関する討論会が行なわれた。P5+1(米、英、仏、露、中+独)核交渉に関して、ニューヨーク・タイムズのロジャー・コーエン論説委員は、ロシアも中国もイランとの関係を悪化させたくないので多国間交渉の行方には悲観的である。

実際にマフムード・アフマディネジャド大統領は国連総会の記者会見で、イランが秘密裏に二番目のウラン濃縮施設を建設したと公表した。この施設はコム近郊にあると推測され、ナタンズにある一番目の施設とは違って商業目的には小さ過ぎるが核兵器のための濃縮ウランの製造には充分な大きさである。ピッツバーグのG20サミットで、イギリスのゴードン・ブラウン首相とフランスのニコラ・サルコジ大統領はアメリカのオバマ大統領とともにイランの行動を国際社会の信義を損なうものだと非難した。イランの核開発の野望はこれまで以上に差し迫ったものになった(“U.S. and Allies Warn Iran over Nuclear ‘Deception’”; New York Times; September 25, 2009)。

問題はアフマディネジャド大統領だけではない。カーネギー国際平和財団のカリム・サドジャプール研究員は最高指導者のアリ・ハメネイ師に焦点を当ててイランの現体制の性質を見極めて、核問題に及ぼす影響を考察している。サドジャプール氏のレポートによると、革命に理念を外交政策に反映させるためには核計画が重要な役割を果たす。ハメネイ師は核計画を科学の進歩の象徴と見なし、それによってイランが自立と政治的自主性を得るとともに国際舞台での自尊心を高められると考えている(”Reading Khamenei: The World View of Iran’s Most Powerful Leader”; Carnegie Endowment Report; March 2008; p.27~28)。よってP5+1がイランと直ちに合意に達する可能性は低い。

カーネギー国際平和財団のジョージ・パーコビッチ副所長は外交問題評議会とのインタビューで、頑ななイランとの交渉に当たって以下の提言を行なっている。まずパーコビッチ氏は安全保障理事会に案件を持ち込むと、アジアから選出された理事国がイランの行き過ぎを批判するので核兵器研究に歯止めをかけられると主張する。さらにオバマ大統領に包括的核実験停止条約(CTBT)を批准して核軍拡に歯止めをかける意志を示すべきだとも述べている(“No Signs of Iranian Flexibility on Nuclear Program”; Council on Foreign Relations Interview; September 2, 2009)。不幸にも第一の提言はアフマディネジャド大統領が国連でも記者会見で秘密計画を公表したので失敗に帰してしまった。

国連総会と10月1日のP5+1交渉を前に、マフムード・アフマディネジャド大統領はウラン濃縮計画を停止する意志がないことを表明した(“As Talks with U.S. Near, Iran Denies Nuclear Arms Effort”; Washington Post; September 21, 2009)。

ディック・チェイニー前副大統領の安全保障顧問を歴任したワシントン近東政策研究所のジョン・ハナー上級フェローは、オバマ大統領に6月の大統領選挙の不正に立ち上がったイラン国民の間での自らの人気を活用して、そうした国民への支援を見せ付けて神権体制への圧力をかけて核交渉を前進させるようにと訴えている(“Call Them Out, Mr. President”; Weekly Standard; September 21, 2009)。

ハナー氏の提言はテヘランを支配する頑なな神権体制の指導者達への対処に多いに役立つように思える。問題は、バラク・オバマ大統領はカイロ演説に見られたようにアメリカの正義を高らかに訴えることには消極的なことである。また、オバマ氏はハメネイ・アフマディネジャド体制に断固とした態度をとるようにという国内外の指導者からの要求をよそに、選挙後の<混乱にあるイランへの圧力行使には慎重であった。10月1日に行なわれる交渉の行方は注目すべきである。

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2009年9月22日

マクリスタル大将のアフガニスタン戦略提言の受諾に慎重なオバマ大統領

アフガニスタンに関する以前の記事で、私はアメリカのスタンレー・マクリスタル陸軍大将が増派の兵員数の提言をする第二次アセスメントを提出するであろうと記した。それがオバマ政権の政策形成過程に及ぼす影響については、今後の記事で検討してゆきたいここではアセスメントとそれに対するオバマ政権の態度について述べたい。

マクリスタル大将は緊急の極秘報告書で、この戦争には兵員の増派が必要だと警告している。さもなければ、作戦任務は失敗に帰すと述べている。しかし大将は「事態は深刻だが勝利は可能だ」と結論づけている。

マクリスタル大将は追加派兵だけでなく、アフガニスタンの統治の改善も提言している。国家機関が弱体なので政治家や官僚は権力濫用に走り、腐敗の蔓延につながっている。またマクリスタル氏はアフガニスタン政府の拘留施設管理能力の向上も提言している。現在、反乱分子の拘留者は過剰で、彼らへの尋問を効果的に行なってテロリストの関する情報を入手することが重要である。さらにマクリスタル氏はISAFと現地住民の関係を改善し、陸軍と警察を併せて40万人までアフガニスタン治安部隊の強化を支援すべきだとも提言している。

最後に、報告書ではテロリストの指令基地がパキスタンにあり、そこから指導者達がアフガニスタンの戦地で戦う戦士を支援していると指摘している。充分な増派が行なわれなければ、この戦争の最終的なコストはもっと高くつくとマクリスタル氏は結論づけている(“McChrystal: More Forces or 'Mission Failure'”; Washington Post; September 21, 2009)。

問題は以下の表に示されているように、アメリカ国民の間でのアフガン戦争の支持率が急落していることである。BBCのマーク・マーデル北米編集局員は「オバマ氏にとって選挙での不正が伝えられるアフガニスタン政府を支援するために兵員を送ることに消極的な与党と国民世論にマクリスタル大将の提言を説得するのは困難をきわめるだろう」と述べている。そうした雰囲気を考慮してか、マクリスタル大将はfailure(失敗)というきつい語彙を使って大幅な増派を強く求めている。BBCのポール・レイノルズ国際特派員はマクリスタル氏がFワードまで使ったのは、最終的に戦争を成功に導きたいからであると言う(“US in Afghanistan failure warning”; BBC News; 21 September 2009)。

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このアセスメントに先立ち、イギリス陸軍のアフガニスタン司令官として着任したばかりのサー・デービッド・リチャーズ大将はNATOが敗退すれば世界各地の過激派を「劇的に活性化させる影響」をもたらすであろうと強調した“General: If we fail, the world’s terrorists will be intoxicated”; Evening Standard; 18 September 2009)。

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出典:BBC

そうした中でバラク・オバマ大統領はアセスメントの受諾に慎重で、スタンレー・マクリスタル大将が正式に増派を要請する前にアフガニスタン戦略の再検討を行なう方針である。共和党のミッチ・マコネル上院議員は、前政権がイラクに関して行なったのと同様に大統領はマクリスタル大将の進言に従うべきだと主張する。マコネル上院議員は、この戦争に関してオバマ大統領はデービッド・ペトレイアス大将とスタンレー・マクリスタル大将にもっと経緯を払うようにと述べている(“Obama Questions Plan to Add Forces in Afghanistan”; Wall Street Journal; September 21, 2009)。

この記事ではアフガン戦争に関する戦略アセスメントに関する動向を記しただけである。静的な分析はアフガニスタンに関する今後の投稿で行ないたい。この戦争はオバマ大統領の指導力を試す重要なテストである。

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2009年9月20日

北朝鮮には先制攻撃すべきだったか?:ロバート・ケーガン氏の2003年発言を振り返る

イラク戦争の直後に日本のフリーランス記者の大野和基氏がカーネギー国際平和財団のロバート・ケーガン上級研究員にインタビューをしている。このインタビューはネオコン思想とアメリカ外交に関するもので、日本のSAPIOという政治誌の20036月25日号に掲載された

このインタビューでケーガン氏は北東アジアの安全保障に最も深刻な脅威となっている北朝鮮について語っている。ケーガン氏は外交交渉も経済優遇措置も核不拡散交渉に何の進展ももたらさなかったのは、北朝鮮が全体主義国家のためだと強調する。ケーガン氏はまた、日本が北朝鮮と国交正常化できるとはまず思えないとも述べている。

それから、現在になってロバート・ケーガン氏がインタビューで語ったことは正しいことが明らかになった。北朝鮮は国際的な義務も果たさずに見返りばかり得ている。遺憾なことに北朝鮮は原爆を手に入れてしまった。ケーガン氏がインタビューで述べたように、ならず者国家への核拡散を防ぐには軍事的攻撃が最後の手段であった。

当時はアメリカ主導のイラク戦争に対する批判が荒れ狂っており、それによってかなりの人数のアル・カイダのテロリストがイラクに入り込んだ。メディアはイラクでの不都合は何でも喜び勇んで報道し、全世界の左翼達はこうしたニュースに沸き立った。テロリスト達は大増派で敗北するまで、そうした傾向に狂喜していた。

そのように世界規模で扇動された敗北的平和主義もブッシュ政権が北朝鮮に必要な攻撃を躊躇した原因の一つである。我々はそれがどのような結果をもたらしたかわかっている。全世界の左翼の叫びは非常に膨大だったので、アメリカは世界で最悪の国家体制を破壊する貴重な機会を逃してしまった。パックス・アメリカーナに異論を唱える者はこのことを決して忘れてはならない!

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2009年9月19日

ポーランドとチェコへのアメリカのミサイル防衛配備中止で勢いづくロシアのタカ派

オバマ政権はポーランドとチェコへの弾道ミサイル迎撃システムを配備するミサイル防衛計画の廃止を決定した。その計画ではイランの核ミサイルからアメリカの同盟国を守ることが意図されていた。ロシアはブッシュ政権期からこの計画に反対してきた。

オバマ大統領の決定はジョン・マケイン上院議員やジョン・ボルトン元国連大使をはじめとする共和党陣営からの厳しい批判を呼び起こした。代替案として、ロバート・ゲーツ国防長官はアメリカはイージス艦によってイランのミサイル迎撃をすると述べた(“U.S. replaces Bush plan for Europe missile shield”; Reuters; September 17, 2009)。

ロシアはこの決定をアメリカに対する勝利と見るであろう。他方でポーランドとチェコはオバマ政権がロシアに宥和政策をとっているのではないかと懸念を示している “U.S. to Shelve Nuclear-Missile Shield”; Wall Street Journal; September 17, 2009)。

ヨーロッパ改革センターのトマス・バラセク外交防衛政策部長は、オバマ氏がロシアとの核軍縮を進めることは正しいが、アメリカは東ヨーロッパに関与することも保証しておかねばならないと述べている。また、ロシアはセロ・サム思考から抜け出せず、アメリカの利益はロシアの損失で逆もまた真なりと考えている(“Missile strategy must not be seen as a retreat”; Financial Times; 9 September 2009)。

しかし事はきわめて厄介である。私は共産主義体制崩壊後のロシアでカルト・ナショナリズムが広がっていることについての記事をいくつか投稿してきた。こうした事態を踏まえて、共和党のジョン・カイル上院議員はオバマ大統領を以下のように非難している。

ポーランドとチェコ共和国がイラクとアフガニスタンに派兵してアメリカ軍に貢献したのにもかかわらず、現政権はこうした同盟国の信頼を裏切っている。・・・・・現政権が送るメッセージからアメリカが同盟国を支援するよりもロシアとの関係をリセットする方が重要だと考えていることが明らかである。これは間違っている!“Kyl Blasts Obama Missile Defense Surrender”; Weekly Standard Blog; September 17, 2009

アメリカン・エンタープライズ研究所のゲーリー・シュミット上級戦略研究部長は「我々はロシアとの関係リセットのボタンを押しただけでなく、中央ヨーロッパの同盟国ともリセットをしている。今回に限っては我が国を頼りにする同盟国に『まとわりつくな』とでも言わんばかりの態度である」と述べている(“Are We Dropping Missile Defense in Europe?”; The Enterprise Blog; September 16, 2009)。

さらに重要なことに、これを聞いたタカ派が右傾化を強めるロシアで勢いを増している。私はロシアでヨシフ・スターリンの人気が日増しに高まり、メドベージェフ・プーチン政権がこの愛国的情熱を自分達の権威主義政治に利用しているという記事を投稿してきた。 

ロシアの外交はゼロ・サム思考に基づいており、モスクワの外交政策形成者達はオバマ氏が思い描くような「互恵」関係など理解していない。強硬派の台頭はウクライナ、グルジア、カフカス地域にも悪影響を与えるであろう(“Demise of U.S. shield may embolden Russia hawks”; Reuters; September 17, 2009)。

私はオバマ政権は相手の体制の性質を理解する必要があることを強く訴えたい。 プラハ演説とカイロ演説に見られたように、バラク・オバマ氏はアメリカの力と理念を積極的に訴えようとしない。イギリスのサッチャー元首相の元外交政策スタッフであったナイル・ガーディナー氏は極端な謝罪外交だったと論評している。甘く優しいアメリカなど世界には必要ない。オバマ大統領、西側との強い絆にこそ真のホープを見出すポーランドとチェコの国民を失望させないで下さい。

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2009年9月15日

ウォルフォビッツ氏、アメリカの帝国主義的使命を主張

長びく戦争への厭戦気運と世界不況のため、アフガニスタンに関するABC=ワシントン・ポスト世論調査で示されたようにアメリカ国民は世界への介入に批判的になっている。ポール・ウォルフォビッツ元国防副長官はそうした孤立主義を批判し、アメリカが世界各地の民主化にもっと積極的に乗り出すべきだと述べている。フォーリン・ポリシー誌に寄稿されたウォルフォビッツ氏の論文を振り返りたい。

この論文でウォルフォビッツ氏は、ブッシュ政権は好戦的で民主主義というアメリカの理念をイラクに力で押し付けるほどだというリアリストの見解を批判している。逆にウォルフォビッツ氏は戦争の目的はアメリカと世界の安全保障に対する脅威の除去だったと主張する。他の独裁者を擁立するかアメリカの占領を長引かせるより、ジョージ・W・ブッシュ大統領は民主主義体制を作り上げることを決断した。アメリカ主導の多国籍軍がアフガニスタンで戦っているのでも同様な理由からである。

きわめて重要なことに、ウォルフォビッツ氏はアメリカが望ましからざる体制とも交渉を進めながら改革を要求してゆけると述べている。ウォルフォビッツ氏はレーガン外交ではソ連という悪の帝国との話し合いを通じて「ペレストロイカ」に導いていったと述べている。さらにリビアが核兵器開発計画を断念したのはアメリカの意図を恐れてのことで、ブッシュ政権が悪名高き独裁者ムアマル・カダフィ氏に甘い態度を示したからではないと指摘する。たとえここまで強硬ではなくても、ウォルフォビッツ氏は中国と中東諸国での改革を継続的に要求してゆくように主張している。

上記の観点に基づき、ウォルフォビッツ氏はアメリカが眉唾な独裁者が謳い上げるアジアの価値観イスラムの価値観と妥協しないようにと主張している。同氏はアラブ諸国民達はアメリカが民主主義を高らかに主張することを歓迎していると指摘し、リアリスト達がこの点を見落としていると批判している。

私はウォルフォビッツ氏に同意する。「イスラムと民主主義」「イスラム過激派に関する5つの問題点」で私が述べたことを思い出して欲しい。イスラム諸国民は過激派イスラム教徒でさえ欧米の自由を称賛している。

民主化の促進による政情不安定化を懸念するリアリストも中にはいるが、ウォルフォビッツ氏はこれがそこまで危険ではないと主張する。むしろフィリピンでのフェルディナンド・マルコス氏の失脚と最近のイランでのマフムード・アフマディネジャド氏への反対運動に見られるように、同氏はそれを変化への刺激材料だと見なしている(“Think Again: Realism”; Foreign Policy; August 2009)。

広く信じられている間違った理解とは逆に、ポール・ウォルフォビッツ氏の論文はネオコンとは実際的な思想で好戦的な理想主義集団ではないことを明らかににしている。リアリストの外交政策が必ずしもアメリカと世界の安全保障につながらないのである。

さらに、ポール・ウォルフォビッツ氏は今年の95日にNPRの「ウィークエンド・オール・シングス・コンシダード」に出演した。ラジオ番組の司会を務めるガイ・ラズ氏は「イラクのような理念主義的な戦争では政策形成者が脅威を必要以上に煽り、情報操作をするのが常である。ウォルフォビッツ氏はこうした技術に長けている」というハーバード大学のスティーブン・ウォルト教授の発言を引用した。これに対してウォルフォビッツ氏はアラブ世界の民主化の全面的な支持を表明した。

きわめて重要なことに、ウォルフォビッツ氏は他国の国内の問題に関わることはアメリカの国益に重要だと述べ、オバマ政権の外交政策もリアリストよりはネオコンに近いと主張している。アメリカの歴代大統領と同様に、バラク・オバマ氏は他国の国内問題を見過ごさず、アフガニスタンのように改革の促進に意欲的である(“Wolfowitz on U.S. Role in Other Nations' Affairs”; NPR; September 5, 2009)。

ポール・ウォルフォビッツ氏は安全保障に新たな課題が突きつけられる時代に重要な分析と議論を行なっている。そうした課題には中東でのイスラム過激派、イランと北朝鮮などならず者国家への核拡散、ロシアと中国でのカルト・ナショナリズムの台頭がある。アメリカの国際介入の基本的な考え方を長期的な観点から理解する必要がある。ここに取り上げた論文とインタビューはこの目的に大いに役立つであろう(オーディオおよびも参照)。

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2009年9月12日

マクリスタル大将のアフガニスタン第一次報告と識者の見解

アフガニスタンで多国籍軍司令官の座にあるアメリカのスタンレー・マクリスタル陸軍大将は、8月31日に第一次戦略アセスメントを提出した。イギリス陸軍のポール・スミス少佐のブログによると、そのアセスメントはアメリカ国防長官とNATO事務局長の指導の下に行なわれる。アセスメントでは軍事作戦ばかりでなく社会経済開発と統治の改善にも言及している(“ISAF Commander Submits Assessment”; Helmand Blog-Afghanistan; August 31, 2009)。

上のビデオで述べられているようにアフガニスタンの事態は厳しく、タリバンは依然として強力である。

アセスメントにおいてマクリスタル大将は地上の戦争は深刻だが、勝利は可能だと自信を込めて語った。報告書では多国籍軍に東部のカンダハル州と南部のコスト州への兵員を増加するよう提言している。兵員の増派については今月中にも行なわれる次のアセスメントで述べられる。数人の国防総省高官によると4万人の増派が要求されるという(“General Seeks Shift in Afghan Strategy”; Wall Street Journal; September 1. 2009)。

問題は、ワシントン・ポストとABC放送が最近行なった世論調査ではアフガン戦争の支持率は急落し、回答者の51%が戦争の価値に疑問を抱き、戦争を支持しているのは47%である。皮肉なことにバラク・オバマ大統領の兵員増派に批判的なのはリベラル派である (“Public Opinion in U.S. Turns against Afghan War”; Washington Post; August 20, 2009)。

8月20日の選挙結果の正当性もアフガン戦争の成功を左右する。野党のアブドラ・アブドラ元外相は、ハミド・カルザイ現大統領に有利な不正があったと非難している。選挙異議申立委員会がこうした異議に対処する。カルザイ氏が当選すると見られてはいるが、アフガニスタンのかなりの地域に政府の支配が及んでいない。マクリスタル大将は政治的合意は戦術上の成功にも劣らず重要なことを理解している(“McChrystal ball”; Economist; September 1, 2009)。

にもかかわらず、スタンレー・マクリスタル氏は勝利への希望的側面を見出している。アメリカン・エンタープライズ研究所のフレデリック・ケーガン常任研究員はアフガン戦争の勝利が可能な理由を述べている。

広く信じられていることとは違い、現在のアフガニスタンはソ連が侵攻した1979年当時とは全く違う。政治的にはアフガニスタンはソ連の侵攻がなくても内戦に陥ろうとしていた。さらに赤軍はNATO軍に対する重装備であったので、反乱分子の鎮圧には向いていなかった(“We're Not the Soviets in Afghanistan”; Daily Standard; August 21, 2009)。ケーガン氏はスタンレー・マクリスタル氏以上に反乱分子鎮圧作戦を理解している戦略家はいないとも述べている(“Ask the Man Who Knows”; Daily Standard; September 8, 2009)。

勝利の鍵はマクリスタル大将の次期アセスメントに世論がどのように反応するかである。オバマ政権は厭戦気運に傾きがちなリベラル派を基盤としている。マクリスタル大将が増派を提言して戦争そのものへの批判が高まるようなら、事態は暗礁に乗り上げてしまう。オバマ大統領はブッシュ前大統領がイラクで見せたようにリベラル派の反対を押し切れるだろうか?

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2009年9月 9日

中国の「平和的な台頭」に異論

グローバル経済を無邪気に信じる人達の中には中国の「平和的な台頭」を歓迎する者もいる。アメリカとヨーロッパでそうした主張を無邪気に信じ込む人達は中国が世界の経済成長に貢献すると主張し、中国が「責任ある当事者」になることを何の疑いもなく受け入れている。さらに日本の次期首相と目される鳩山由紀夫氏はニューヨーク・タイムズ8月27日版への寄稿で物議を醸した“A Path for New Japan”という論文で、日本と中国が緊密に協力して東アジア共同体を設立すべきだとのたまった。

しかし当ブログでも述べているように、中国はロシアとともに西側による自由主義の世界経済秩序に厳しい挑戦を突きつけている。非常に重要なことに、市場経済は東ヨーロッパでは民主主義と並行して進んでいったが、中国とロシアでは共産主義よりも危険なカルト・ナショナリズムの台頭につながってしまった。実際に、中国指導者層の野望は彼らが言うほど「平和的」ではない。中国首脳陣は人民元をドルに代わる準備通貨にしようと画策し、最終的には今年のエカテリンブルグ首脳会議に関する記事でも述べたようにブレトン・ウッズ体制を崩壊させようとしている。中国当局は欧米に対してますます高圧的な態度をとるようになっている。

この問題について、ヨーロッパ改革センターのチャールズ・グラント所長は今年の7月に“Liberalism Retreats in China” という論文を出している。中国は市場経済を導入したものの、政治的には共産党による締め付けが厳しく、国民には思想的な制約が科されている。中国の経済的ナショナリズムと欧米への強硬な態度に関するグラント氏の論文を振り返りたい。

中国の経済的ナショナリズムは世界経済危機を契機に急激に強まった。政府は重化学、エネルギー、航空宇宙、そしてハイテク産業といった戦略産業に対する外国企業からの直接投資を制限し、厳しい国家統制の下に置いている。貿易では中国は人民元の対ドル為替レートを人為的に低く抑えて世界市場での中国の輸出品の競争力を高めようとしている。私は中国が西側主導の自由主義経済にただ乗りをしながら、国際的な行動規範を侵害していると強調したい。

さらに問題となるのは自己主張を強める一方の外交政策である。中国はミャンマー、スーダン、北朝鮮といった圧政国家を支援している。北京当局は南シナ海と東シナ海で軍事力を誇示している。チベット、天安門、新疆といった人権問題は中国と欧米の関係を揺るがしている。非常に興味深いことに、中国はヨーロッパに対してはアメリカに対するよりも強硬な態度に出ている。これはアメリカは超大国で中国に大きな打撃を及ぼすことができるのに対してヨーロッパはそうでないからである。さらに中国のメディアはアメリカの指導者による中国批判を報道したがらないが、ヨーロッパの指導者がそうすれば即座に叩きにくる。

例えばヒラリー・ロッダム・クリントン国務長官が今年の天安門事件20周年式典で流血の惨事を非難した際に、中国政府はこの演説を報道しなかった。中国国民にはアメリカの指導者が厳しい態度をとったことが知らされないままである。他方でヨーロッパの指導者がチベットでの暴虐行為を非難すると中国のメディアはこれを大々的に報道した。

これは日本にとっても貴重な教訓である。相手が強いと中国は下手に出る。他方で相手が弱いと中国は高圧的になる。鳩山次期首相、肝に銘じて下さい!中国と「アジア共通の家」に共存することは日本国民にとって何の利益にもならない。

中国当局は日本大使館襲撃事件の際のように国民のナショナリズム感情を巧妙に駆り立てる(“Youth Attack Japan's Embassy in China” Washington Post; April 10, 2005)ものの、チベットとウイグルの場合に見られたように一般国民の感情によって政府が欧米に強硬な態度に出ることもよくある。ロンドン・スクール・オブ・エコノミックスのマーティン・ジャック訪問フェローは、自らの新刊“When China rules the world: the rise of the Middle Kingdom and the end of the Western world”で中国の国民は欧米による少数民族支援を自分達の国の統一を乱そうとする陰謀と見なしていると指摘する。政府の経済統制が特に世界経済危機を契機に強まったことは西側との経済関係に障害となり、長期的には中国の対外関係を悪化させるであろう。

グラント氏は核不拡散と経済協力のような共通の利益に代表される楽観的側面にも言及している。しかし中国の政治と経済は自由からほど遠くなる一方である。外交政策は政府主導か国民の自発的なものかを問わずカルト・ナショナリズムに支配されるようになっている。経済での国家統制は強まっている。中国と欧米の衝突はこれまで以上に深刻化するであろう。鳩山次期首相、9月16日の就任時にはこのことを肝に銘じてください。

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2009年9月 3日

独ソ軍のポーランド侵攻70周年式典と右傾化するロシア

最近のグローバル・アメリカン政論ではロシアと欧米の衝突についていくつかの記事を掲載している。来年1月のウクライナでの大統領選挙を控えて、ロシアと西側の緊張は強まるであろう。またヨシフ・スターリンへの敬慕の念がロシア全土で強まっており、メドベージェフ・プーチン政権がこうした感情を利用している。

ロシアと欧米の緊張の前触れを示すかのように、ロシアのウラジーミル・プーチン首相の発言はポーランドのレフ・カチンスキ大統領とドナルド・トゥスク首相ばかりかヨーロッパ各地からポーランドのグダニスクで開催された第二次世界大戦開戦の70周年式典に参加した指導者達を驚かせた。ドイツのアンジェラ・メルケル首相がナチスの暴虐を心底から詫びたのとは際立って対照的に、プーチン氏は1940年に22,000人のポーランド将兵がソ連赤軍によって処刑されたカチンの森虐殺事件を否定した(“Russia and Poland clash over who was to blame for the war”; Independent; 2 September 2009)。さらにロシアの対外情報機関SVRのレフ・ソツコフ少将がポーランドは開戦前にナチス・ドイツと共謀しており、またソ連国内の民族間の不和を画策していたとする報告書を出した (“In a Visit, Putin Tries to Ease Rifts With Poland”; New York Times; September 2, 2009およびロシア語による報告書)。

以下のビデオでもロシア・トゥデーが西側のメディアとほとんど同じ内容を伝えている。

プーチン氏のロシアは歴史を改ざんしており、西側に対して極度に自己肯定的な態度を示している。いわば、ロシアはかつてのソ連さながらに振る舞っているのである。

共産主義の崩壊で東ヨーロッパ諸国は西側にとって自由で平和な同盟国となったが、ロシアでは全く異なる方向に進んだ。ソ連解体後の政治的な無秩序によってカルト・ナショナリズムが台頭してしまい、それは共産主義よりも危険なものとなった。私が何度も述べているように、ロシアをIMFとWTOという西側の政治経済体制に組み込もうというクリントン政権期の夢は失敗に終わった。市場経済によってロシアを民主化することはできなかった。

こうした事態にもかかわらず、オバマ政権はミサイル防衛システムに関してアメリカがポーランドを全面的に支援する姿勢を見せようとしていない。私はジョージ・W・ブッシュ氏が東ヨーロッパと旧ソ連諸国で何件かの危機を作り出してジョン・マケイン氏を当選に導き、ロシアの拡張主義を封じ込めてくれればよかったと思わずにはいられない。グルジアの危機だけではアメリカの有権者を啓発するには不充分だったようだ。

独ソ軍のポーランド侵攻70周年記念式典は、ロシアがヨーロッパの安全保障で一層重大な課題を突きつけていることを浮き彫りにした。グダニスクの式典は今年の夏に開催されたエカテリンブルグ首脳会談にも劣らず重要である。ロシアからは目が離せない。

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