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2009年9月 3日

独ソ軍のポーランド侵攻70周年式典と右傾化するロシア

最近のグローバル・アメリカン政論ではロシアと欧米の衝突についていくつかの記事を掲載している。来年1月のウクライナでの大統領選挙を控えて、ロシアと西側の緊張は強まるであろう。またヨシフ・スターリンへの敬慕の念がロシア全土で強まっており、メドベージェフ・プーチン政権がこうした感情を利用している。

ロシアと欧米の緊張の前触れを示すかのように、ロシアのウラジーミル・プーチン首相の発言はポーランドのレフ・カチンスキ大統領とドナルド・トゥスク首相ばかりかヨーロッパ各地からポーランドのグダニスクで開催された第二次世界大戦開戦の70周年式典に参加した指導者達を驚かせた。ドイツのアンジェラ・メルケル首相がナチスの暴虐を心底から詫びたのとは際立って対照的に、プーチン氏は1940年に22,000人のポーランド将兵がソ連赤軍によって処刑されたカチンの森虐殺事件を否定した(“Russia and Poland clash over who was to blame for the war”; Independent; 2 September 2009)。さらにロシアの対外情報機関SVRのレフ・ソツコフ少将がポーランドは開戦前にナチス・ドイツと共謀しており、またソ連国内の民族間の不和を画策していたとする報告書を出した (“In a Visit, Putin Tries to Ease Rifts With Poland”; New York Times; September 2, 2009およびロシア語による報告書)。

以下のビデオでもロシア・トゥデーが西側のメディアとほとんど同じ内容を伝えている。

プーチン氏のロシアは歴史を改ざんしており、西側に対して極度に自己肯定的な態度を示している。いわば、ロシアはかつてのソ連さながらに振る舞っているのである。

共産主義の崩壊で東ヨーロッパ諸国は西側にとって自由で平和な同盟国となったが、ロシアでは全く異なる方向に進んだ。ソ連解体後の政治的な無秩序によってカルト・ナショナリズムが台頭してしまい、それは共産主義よりも危険なものとなった。私が何度も述べているように、ロシアをIMFとWTOという西側の政治経済体制に組み込もうというクリントン政権期の夢は失敗に終わった。市場経済によってロシアを民主化することはできなかった。

こうした事態にもかかわらず、オバマ政権はミサイル防衛システムに関してアメリカがポーランドを全面的に支援する姿勢を見せようとしていない。私はジョージ・W・ブッシュ氏が東ヨーロッパと旧ソ連諸国で何件かの危機を作り出してジョン・マケイン氏を当選に導き、ロシアの拡張主義を封じ込めてくれればよかったと思わずにはいられない。グルジアの危機だけではアメリカの有権者を啓発するには不充分だったようだ。

独ソ軍のポーランド侵攻70周年記念式典は、ロシアがヨーロッパの安全保障で一層重大な課題を突きつけていることを浮き彫りにした。グダニスクの式典は今年の夏に開催されたエカテリンブルグ首脳会談にも劣らず重要である。ロシアからは目が離せない。

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