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2009年9月26日

核開発の野望に固執するイラン

イランは核計画を廃棄する姿勢を見せていない。先日ニューヨークで国連総会開催されたでは、イランとの核交渉は世界の安全保障の重要問題の一つである。今年の6月にはイランは大統領選挙をめぐる不正で国際社会から批判された。選挙の混乱からほどなくして、カーネギー国際平和財団では6月23日に上のビデオ映像にあるようにイランに関する討論会が行なわれた。P5+1(米、英、仏、露、中+独)核交渉に関して、ニューヨーク・タイムズのロジャー・コーエン論説委員は、ロシアも中国もイランとの関係を悪化させたくないので多国間交渉の行方には悲観的である。

実際にマフムード・アフマディネジャド大統領は国連総会の記者会見で、イランが秘密裏に二番目のウラン濃縮施設を建設したと公表した。この施設はコム近郊にあると推測され、ナタンズにある一番目の施設とは違って商業目的には小さ過ぎるが核兵器のための濃縮ウランの製造には充分な大きさである。ピッツバーグのG20サミットで、イギリスのゴードン・ブラウン首相とフランスのニコラ・サルコジ大統領はアメリカのオバマ大統領とともにイランの行動を国際社会の信義を損なうものだと非難した。イランの核開発の野望はこれまで以上に差し迫ったものになった(“U.S. and Allies Warn Iran over Nuclear ‘Deception’”; New York Times; September 25, 2009)。

問題はアフマディネジャド大統領だけではない。カーネギー国際平和財団のカリム・サドジャプール研究員は最高指導者のアリ・ハメネイ師に焦点を当ててイランの現体制の性質を見極めて、核問題に及ぼす影響を考察している。サドジャプール氏のレポートによると、革命に理念を外交政策に反映させるためには核計画が重要な役割を果たす。ハメネイ師は核計画を科学の進歩の象徴と見なし、それによってイランが自立と政治的自主性を得るとともに国際舞台での自尊心を高められると考えている(”Reading Khamenei: The World View of Iran’s Most Powerful Leader”; Carnegie Endowment Report; March 2008; p.27~28)。よってP5+1がイランと直ちに合意に達する可能性は低い。

カーネギー国際平和財団のジョージ・パーコビッチ副所長は外交問題評議会とのインタビューで、頑ななイランとの交渉に当たって以下の提言を行なっている。まずパーコビッチ氏は安全保障理事会に案件を持ち込むと、アジアから選出された理事国がイランの行き過ぎを批判するので核兵器研究に歯止めをかけられると主張する。さらにオバマ大統領に包括的核実験停止条約(CTBT)を批准して核軍拡に歯止めをかける意志を示すべきだとも述べている(“No Signs of Iranian Flexibility on Nuclear Program”; Council on Foreign Relations Interview; September 2, 2009)。不幸にも第一の提言はアフマディネジャド大統領が国連でも記者会見で秘密計画を公表したので失敗に帰してしまった。

国連総会と10月1日のP5+1交渉を前に、マフムード・アフマディネジャド大統領はウラン濃縮計画を停止する意志がないことを表明した(“As Talks with U.S. Near, Iran Denies Nuclear Arms Effort”; Washington Post; September 21, 2009)。

ディック・チェイニー前副大統領の安全保障顧問を歴任したワシントン近東政策研究所のジョン・ハナー上級フェローは、オバマ大統領に6月の大統領選挙の不正に立ち上がったイラン国民の間での自らの人気を活用して、そうした国民への支援を見せ付けて神権体制への圧力をかけて核交渉を前進させるようにと訴えている(“Call Them Out, Mr. President”; Weekly Standard; September 21, 2009)。

ハナー氏の提言はテヘランを支配する頑なな神権体制の指導者達への対処に多いに役立つように思える。問題は、バラク・オバマ大統領はカイロ演説に見られたようにアメリカの正義を高らかに訴えることには消極的なことである。また、オバマ氏はハメネイ・アフマディネジャド体制に断固とした態度をとるようにという国内外の指導者からの要求をよそに、選挙後の<混乱にあるイランへの圧力行使には慎重であった。10月1日に行なわれる交渉の行方は注目すべきである。

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