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2009年10月10日

ノーベル平和賞受賞のオバマ大統領の対ポーランド・チェコ政策に異議を唱える公開書簡

ポーランドとチェコからミサイル防衛システムを撤退させるというバラク・オバマ大統領の決断は、東ヨーロッパ諸国民とワシントンの外交政策形成者達の間に懸念を呼び起こした。オバマ大統領はロシアにビジネスライクなアプローチをして自らの信ずる核のない世界の実現に向けて邁進しようとしているのかも知れない。しかし、私はこのことがアメリアと東ヨーロッパ諸国の関係にも、ウクライナとグルジアに代表される旧ソ連諸国との関係にも悪影響を及ぼすと信じている。

特にポーランドとチェコは旧共産圏へのアメリカの関与の成功を誇示する王冠の宝石である。両国は市場経済と自由民主主義への移行の成功例である。自由市場主義者の中には市場経済と民主主義は表裏一体だと無邪気に信じ込む者もいる。現実を見ると、これは真実ではない。当ブログで私はロシアと中国での権威主義的な資本主義について述べ続けている。それどころか、社会経済的な格差の拡大によって両国では反欧米のカルト・ナショナリズムが台頭している。

親欧米のウクライナでさえEUに加盟するための政治および経済体制の透明性を充分に高められないでいる(“Is Ukraine fit for the EU?: The Brussels-brokered loan offer may encourage Kiev to clean up its corrupt gas sector”; Wall Street Journal; August 24, 2009)。

これら資本主義と民主主義への移行に伴う問題に鑑みれば、ポーランドとチェコは西側の自由主義の成功と勝利を誇示する重要なショー・ケースである。そうだからこそ、私はアメリカとNATOの主要同盟国であるイギリス、フランス、ドイツが権威主義的な大国からポーランドとチェコを守る意志を誇示するべきだと強く主張する。歴史的に見て、ポーランドとチェコは西側民主主義の最前線である。第二次世界大戦の導火線となったのは、アドルフ・ヒトラーによる両国への侵略である。

これらの懸念から、外交政策イニシアチブ(FPI)とヨーロッパ政策分析センター(CEPA)は共同の公開書簡をオバマ大統領に送り、東ヨーロッパと中央ヨーロッパへの関与を強めるとともにロシアの圧力に屈しないように要求を突きつけた。公開書簡の署名人にはFPIのロバート・ケーガン氏とウィリアム・クリストル氏の他にCEPAのA・ウェス・ミッチェル氏らを含めたアメリカを代表する外交政策の専門家達が名を連ねている。

実際に以前の記事でも述べたようにロシアのタカ派はオバマ氏がミサイル防衛撤退を表明してから勢いを強めている。またオバマ氏がウクライナとグルジアをめぐってロシアへの刺激を躊躇しているので、ロシア・トゥデーはアメリカが弱いかのように報道している。さらに元イラク戦士のピート・ヘグセス陸軍大尉は、そうした挑戦を世界の安全保障への脅威だと見なしている

公開書簡ではポーランドとチェコが世界各地での反米左翼の激しい批判を振り切ってイラクとアフガニスタンの戦争を支持していることが強調されている。また、ポーランドとチェコでのミサイル防衛施設の建設計画は、アメリカが引き続き新しいヨーロッパを支援してゆくという明快なメッセージになるとも主張されている。

プラハの市民はオバマ大統領の訪問に誠心誠意の歓迎の意を示した。大統領は安全保障の傘を引っ込めてチェコを裏切るのだろうか?イギリスのマーガレット・サッチャー卿の外交政策スタッフを歴任したナイル・ガーディナー氏の発言を私が引用したように、バラク・オバマ氏はアメリカの正義に自信が持てないのだろうか?二つの問いかけが正しいなら、大統領はとても世界平和の偶像にはなり得ない。ポーランドとチェコはアメリカの支援を渇望している。必要な時の友は真の友である。これをしっかり銘記してくださいオバマ大統領!重ね重ね、公開書簡への留意を訴えたい。ポーランドとチェコを犠牲にしたノーベル平和賞など間違っても認める気はない。

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