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2009年10月16日

オバマ大統領の安全保障政策での能力を疑問視する声の高まり

この直前の記事で述べたように、バラク・オバマ大統領は潜在的な敵対勢力への生温い外交政策とアメリカの支持を切実に求める同盟国への非情な態度によって厳しい批判にさらされている。オスロの委員会からのノーベル平和賞の授与によってオバマ氏の外交政策への批判は高まっている。

ユーラシア研究センターグローバル地政学ネットが運営するGlobal Geopolitics News and Analysisというブログでは、オバマ大統領の外交政策に対する保守派とネオコンの攻撃が取り上げられている。ウィリアム・クリストル氏はディック・チェイニー前副大統領の娘であるエリザベス・チェイニー氏と共にキープ・アメリカ・セーフという団体を立ち上げ、「アメリカが同盟国に信頼され、敵対勢力から恐れ敬われれば世界はより安全になる」との主張を掲げている。クリストル氏によると、リベラル派は対テロ戦争を縮小させるために数十団体を設立して数百万ドルを注ぎ込んでいるので、強いアメリカによる世界平和を模索する指導者達を支援することが重要不可欠になっている。またクリストル氏はロバート・ケーガン氏と最近になって共同設立した外交政策イニシアチブを通じてロシア、アフガニスタン、中央ヨーロッパに関してアメリカの立場を強く押すようにオバマ氏に訴えかけている。さらにチャールズ・クローサマー氏はオバマ政権の外交政策をアメリカの縮小の実行と批判している(”U.S.: Foreign Policy Hawks Launch New Campaign against Obama”; Global Geopolitics News and Analysis; October 13, 2009)。

タカ派の反撃だけが問題ではない。アフガニスタン戦争ではマクリスタル・アセスメントの理解でオバマ大統領は自らの党をまとめきれないのに対して、共和党は増派の要求で一致団結している。民主党ではダイアン・ファインスタイン上院議員が大統領にマクリスタル報告書の受諾を要求しているのに対してカール・レビン上院議員は増派など不要でアメリカ兵の死傷者数を増大させるだけだと言う(“44 The Obama Presidency: Sunday Talkies: Democrats Unsure, GOP United on Troop Levels”; Washington Post; October 11, 2009)。

アメリカの民主党が分裂している最中にイギリスのゴードン・ブラウン首相は最近になって500人の追加派兵を決定した。ジョン・ハットン元国防相はこの決断さえもっと早くなされるべきだったと批判している。ハットン氏は今年の6月にヘルマンド州とカンダハル州への英軍の増派をブラウン氏に却下されて国防相を辞任している(Gordon Brown 'should have sent more Afghan troops six months ago'”; Daily Telegraph; 14 October 2009)。オバマ大統領がマクリスタル大将の提言を受け入れることを躊躇するなら、アメリカの最も緊密な同盟国が兵員追加派遣をする中で自らの立場を悪くしてしまうだろう。

アフガニスタンをめぐる民主党の分裂は、ワシントンでも国際舞台でも大統領の指導力を低下させるだろう。

大統領選挙からというもの、私は外交政策と最高司令官の資質に関してバラク・オバマ氏に対して疑問を呈し続けてきた。大統領は自らの党内でアフガニスタンに関する共通の見解に達することができないままである。ポーランドとチェコに対する態度は弱者切り捨てに他ならない。選挙の頃からメディアはオバマ氏を黒いケネディと称賛し続けてきた。今や大統領は黒いカーターと言う方が妥当なようだ。バラク・オバマ大統領がノーベル平和賞を受賞したのが世界の運営能力を試される最も厳しい時期だというのは、何とも皮肉である。甘く中身のない演説では大統領が世界を指導する準備ができているという証しにはならない。

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コメント

オバマ政権の東独へのMD配備中止は、カーター政権が対ソ政策で西欧、特に西ドイツに煮え湯を飲ませたことを想起させます。

・カーター政権は西独に中性子兵器を配備するよう求めており、シュミット政権がこれに応じたところ、ほどなくして梯子を外すような形で計画を引っ込めてしまった。

・ソ連のSS20配備に西欧が重大な脅威を感じている時に、ソ連とのSALTに熱中して、西欧を等閑視。

確かにオバマへの称号として「黒いカーター」ほどふさわしいものはないようです。

投稿: 高峰康修 | 2009年10月17日 08:17

真に皮肉なことに、そうした問題だらけの安全保障政策によってノーベル平和賞を受賞したのが両大統領です。

このブログではバラク・カーター・オバマとも呼んでいますが、日本でこの名を使っているのは私だけのようです。しかし英語のサイトやブログではこの名前はよく使われているようです。

投稿: Shah亜歴 | 2009年10月18日 18:35

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