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2009年12月24日

ウクライナ大統領選挙に注目!

今年の夏に私はウクライナで1月に行なわれる大統領選挙にロシアが圧力をかけていることを述べた。選挙は1月17日に行なわれ、最終結果が判明するのは1月27日の予定である。ウィキペディアではこの選挙について有益な入門情報が記されている。

数多くの候補者の中でもビクトル・ユーシェンコ大統領、ユリア・ティモシェンコ首相、親ロシアの野党党首ビクトル・ヤヌーコビッチしが注目の候補である。リサーチ&ブランディング・グループの世論調査によると、ヤヌーコビッチ氏とティモシェンコ氏が優勢で、ユーシェンコ氏は両候補に大きく出遅れている。ウクライナのジャーナリストのテティアナ・ビソツカ氏は自身のブログで各候補の簡単な人物像を紹介している(Who is who in Ukraine)。

2004年のオレンジ革命以来、ウクライナはユーシェンコ政権の下で西欧型民主主義のショー・ウィンドーであった。市民の力と法の支配によって不正な選挙が是正され、親露派のヤヌーコビッチ氏の代わりにユーシェンコ氏が大統領に就任した。それはこの革命で民主化運動を支援したブッシュ政権にとって目覚しい勝利であった。親欧米のユーシェンコ政権はNATOとEUへの加盟も模索し始めた。

しかし経済の低迷と閣僚人事をめぐる対立からユーシェンコ大統領とティモシェンコ首相の不和が表面化するようになった。キエフでITのアウトソーシング会社を経営するアメリカ人のビジネスマンは自らのブログで政権内の不和を簡潔に述べている(“Yushchenko, Tymoshenko Rivalry Emerges onto Public Stage”; Kiev Ukraine News Blog; February 16, 2008)。さらに、以前にヨーロッパ改革センターのトマス・バラセク外交防衛部長の論文を引用したように、ウクライナはソ連崩壊から続く国内の腐敗を解決しておらず、資本主義と民主政治への移行で困難に直面している。

独米マーシャル基金のデービッド・クレーマー上級大西洋同盟フェローによると、この選挙では今年のウクライナのGDPが15%も落ち込む見通しという事情もあって経済が主要な争点となっている。ヤヌーコビッチ氏とティモシェンコ氏が優勢とは言うものの、過半数を得票できる候補者はないと見られるので2月7日の第二次投票まで選挙は持ち越されるであろう。ヤヌーコビッチ氏はロシアの支援を得ようと働きかけているが、クレムリンは両候補のバランスをとろうと注意深く振舞っている(“Ukraine’s Presidential Election: A Primer”; Focus on Ukraine; December 18, 2009)。

2004年の不正があまりにもよく知られているので、公正な選挙が重要な課題である。この選挙の結果はロシアと欧米の関係とヨーロッパ大西洋地位の安全保障に重大な意味を持つ。さらに、来る選挙の結果は旧ソ連の民主化の行方に死命を制する影響を及ぼす。いわば、ベルリンの壁崩壊後の世界が試されるのである。

新年は波乱に飛んだ幕開けになる。この選挙から目が離せない。最後にウクライナのトップ歌手であるルスラナによる同国国歌斉唱を聴いてみよう。ルスラナは2004年にユーロビジョン歌謡コンテストで優勝し、オレンジ革命も支持した。ではビデオを観よう。

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