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2010年1月31日

FacebookとTwitterに参加

日本のブロガーの暁明星氏とアメリカのブロガーのローズマリー氏から各々の招きでFacebookTwitterに参加することになった。両人にはSNSへの参加の機会をいただき感謝したい。これが共通の問題意識の持ち主とのネットワークの拡大につながればと望んでいる。

保守派ブロガーのローズマリー氏は今年の下院議員選挙にカリフォルニアから立候補する。健闘を祈りたい。

FacebookTwitterでは私のページに記した日英両語のツイートを宜しく。 

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2010年1月26日

ウクライナ大統領選挙をめぐるロシアと欧米の攻防

1月17日に開催されたウクライナの大統領選挙はヨーロッパ大西洋地域の安全保障に重大な試練を与えている。予想された通り、過半数の票を得た候補者はなく、2月7日にユリア・ティモシェンコ首相と野党のビクトル・ヤヌーコビッチ氏の間で第二次選挙が開催される。国民は5年前のオレンジ革命に幻滅しており、国民全体の気持ちをつかめる候補者がいないことを理解することはきわめて重要である。さらに当ブログで私が繰り返し述べているように、ロシアと欧米の攻防は見逃せない問題である。オレンジ革命はブッシュ政権の外交政策の輝かしい勝利である。またジョン・マケイン上院議員も民主化を求めるウクライナ市民への支援で多大な役割を果たした。ウクライナへの対応を誤れば、現在下降中のオバマ政権の支持率はさらに低下しかねない。

この選挙について述べる前に、ウクライナ政治と欧米対ロシアの力の駆け引きに言及したい。選挙前にカーネギー国際平和財団のマーク・メデッシュ訪問研究員はウクライナ政治での民族と地域利害の複雑な絡み合いについて語っている。ウラジーミル・プーチン氏からジョージ・W・ブッシュ氏への一言を引用しながら、メディッシュ氏はウクライナが国としての統一性を欠く人造国家であると指摘している。西部にはハプスブルグ家の領土だった地域もある一方で、クリミアを含めた南東部はソ連時代にロシア共和国から移譲された(“The Difficulty of Being Ukraine”; International Herald Tribune; December 22, 2009)。そうした民族・地域的な相克は以下の地図に反映されている。

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英国エコノミスト誌はソ連崩壊後のウクライナ史の全体像を語りながら、オレンジ革命以降のこの国の統治が進まずに失敗を重ねてきた理由を模索している。ウクライナ国民はレオニード・クチュマ氏がビクトル・ヤヌーコビッチ氏に不透明な権力移譲を行なったことに憤慨して革命を起こした。怒りの矛先はヤヌーコビッチ氏自身に直接向けられたものではない。ユーシェンコ政権は国民の期待に応えられなかった。ロシアやポーランドと違ってウクライナでは自由主義経済学者が指導力を発揮することなく、経済は腐敗した新興財閥に支配された。ユーシェンコ氏は官僚機構に蔓延する腐敗も撲滅できなかった。ウクライナ語の普及と歴史修正といったナショナリスト政策は東部のロシア系住民に反感を抱かれた(“Five years on in Kiev”; Economist; January 21, 2010)。オレンジ革命政府はウクライナ国民の高い期待に沿えなかった。

上記の問題はウクライナ国内だけが原因ではない。ヨーロッパ改革センターのトマス・バラセク外交防衛部長は、ウクライナの政治家達がブリュッセルとの関係強化に消極的になった理由はEU加盟国の中にウクライナの加盟を望まない国があるからだと述べている。バラセク氏はEUにウクライナの統治の不手際を責め立てるより改革を支援すべきだと主張する。バラセク氏は今回の選挙はEUとウクライナの関係を考え直す良い機会だと言っている(“Ukraine and the EU: A vicious circle?”; CER Bulletin; December 2009/January 2010)。

カナダのアルバータ大学のデービッド・マープルズ教授はウクライナ国民がユーシェンコ大統領とティモシェンコ首相の内部抗争に嫌気がさしていると言う。またオレンジ革命以後も続く腐敗で現政権の支持率は下がっている(“Ukrainians Disillusioned with President Yushchenko”; VOA News; 13 January 2010)。

ユーシェンコ大統領は言語と文化のウクライナ化によってロシアとソビエト時代の影響を払拭しようとしたが、ロシア系住民の抵抗に遭った。アメリカはユーシェンコ氏の指導力がないとして政権支持に消極的であった(“Where did Ukraine's Yushchenko go wrong?”; Reuters; January 11, 2010)。オバマ大統領は昨年のガス紛争の際にクレムリンの膨張主義を阻止しようともせずに、ショー・ビジネスのスター達とドンチャン騒ぎを楽しんでいた

ロシアとの関係は選挙後のウクライナ政治の主要課題である。関係改善にかけるロシアの期待は高い。王立国際問題研究所でロシア・ユーラシア部長のジェームズ・シャー氏は、ロシアの歴史がキエフへのルスの入植に始まるのでロシアにとってウクライナは自国の歴史的アイデンティティーの一部だと指摘する。これはNATOとの地政学的な競合にも劣らず重要だとシャー氏は言う(“Will Moscow-Kiyv Ties Improve After Ukrainian Election?”; VOA News; 15 January 2010)。ロシアに媚びるかのように、ヤヌーコビッチ氏は1932年から1933年にかけてのホロドモール飢饉に関してロシアを非難するウクライナのナショナリストを批判した(“Ukraine must not blame neighbors for famine – Yanukovych”; RIA Novosti; 16 January 2010)。

他方で大統領候補達はアメリカから選挙顧問を雇って対米関係の維持に努めている。親露派のヤヌーコビッチ氏さえジョン・マケイン氏の下で働いた選挙参謀を雇っている (“Ukraine candidates relying on US advisers”; Washington Post; January 15, 2010)。

どちらが勝ってもウクライナには内政と外交の課題が山積みである。ロンドン在住のフリー・ジャーナリストのグウィン・ダイアー氏はウクライナのメディアに選挙後のウクライナ政治の動向を議論する投稿を行なっている。ダイアー氏はNATOもEUもロシアとの対決には及び腰であると指摘する。さらにウクライナの製鉄、化学、航空産業はロシアの石油と天然ガスを必要としている。IMFの融資に依存しているウクライナには自国の経済政策に関する重要な決定を行なうことができない(“Whether Yanukovych or Tymoshenko, next president left with little room to maneuver”; Kyiv Post; January 21, 2010)。

確かに仮にティモシェンコ氏が勝っても次期政権のロシア政策は軟化するであろう。だからと言って欧米がウクライナへの影響力行使を控えるべきだということにはならない。この記事でも述べたように、親露派のヤヌーコビッチ氏でさえアメリカとの関係維持を望んでいる。トマス・バラセク氏が述べるように、ヨーロッパ連合もウクライナの国家建設にもっと手を差し伸べるべきである。オバマ政権はロシアに対してあまりに宥和的で、これもウクライナ国民がオレンジ革命と欧米に幻滅した原因の一つである。2月7日の第二次投票の行方を見守ろう。この選挙の結果は自由諸国とロシアや中国に代表される権威主義国家の抗争に重大な影響を及ぼす。事態はヨーロッパ大西洋地域を超えてグローバルな性質を持つ。

ウクライナを基本から理解するための参照リンク:

“TIMELINE-Ukrainian politics since the 2004 Orange Revolution”; Reuters; January 17, 2010

“Q&A: Ukraine presidential election”; BBC News; 15 January 2010

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2010年1月11日

「日本・黒海地域対話」への招待

昨年12月に私はグローバル・フォーラム・オブ・ジャパンという日本のシンクタンクが主催する「日本・黒海地域対話」の案内状を受け取った。グローバル・フォーラムは日本国際フォーラムの姉妹機関で、私はそこが発行するオンライン政策討論サイトの百花斉放に数度の投稿を行なったことがある。

このイベントは1月27日に国際文化会館で開催される。議題となるのはロシアと欧米がウクライナとグルジアをめぐって抗争を続ける黒海地域での日本の役割である。黒海経済協力機構のレオニダス・クリサンソポロス事務総長(ギリシア)をはじめ、この地域の事情に精通したゲスト・スピーカーが招かれている。

黒海地域に関しては国際安全保障のうえで二つの死活的な課題がある。一つはエネルギーと天然資源である。以前にウクライナに対するロシアの圧力について述べたように、ヨーロッパへの石油と天然ガスのパイプラインはこの地域を通っている。よってロシアと欧米の間での古典的な地政学抗争は重要課題の一つである。さらに重要な問題は、色の革命を経たウクライナとグルジアは、西側の自由と民主主義を東ヨーロッパから旧ソ連一帯に広める最前線である。

当ブログで私がウクライナについて語り続けてきたのも、この国がソ連共産主義から欧米の民主主義への移行に成功することがベルリンの壁崩壊後のヨーロッパ大西洋地域の安全保障の基盤となるからである。これはルーマニアやブルガリアのようなEU新規加盟国について述べる際にも重要な課題である。

さらに黒海地域での日本の役割を議論するならトルコは極めて重要である。私が何度も述べてきたように、ケマル・アタチュルクのトルコとレザ・シャー1世のイランは日本の明治維新を見習って脱イスラム化と西洋化に突き進んでいった。よって、私は日本にはアメリカとヨーロッパが推し進めるこの地域の民主化を積極的に支援する大きな役割があると信ずる。

第一線の専門家の方々が集まってくるイベントに招待されて、私は非常に喜ばしく思っている。私にとって、そのイベントが黒海地域への理解を深めて国際的な政策形成者のネットワークへの参加してゆくうえでも良い機会となればと願っている。

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2010年1月 9日

オバマ大統領は歴史からの休暇を脱け出せるのか?

クリスマスのテロ攻撃とそれに続くイエメンの危機によってバラク・オバマ大統領が国家安全保障上の脅威に対処する準備ができているかどうかという議論が呼び覚まされた。ディック・チェイニー前副大統領は危機に対するオバマ氏の対応の鈍さを批判した。現政権の外交政策への姿勢で問題視されているのは、テロだけではない。国民国家同士の競合も強まっている。

今年の始めにカーネギー国際平和財団のロバート・ケーガン上級研究員は主権国家の間でのパワー・ゲームの再激化について論じ、大国間の平和的な協調によって共通の利益と問題解決を追求しようというオバマ政権の甘い願望を批判している。ロシアと中国はアメリカと西側同盟国に対してヨーロッパと東アジアで地政学的な挑戦を突きつけているばかりか、イランと北朝鮮にも自分達の影響力を保とうと画策している。COPでの温暖化ガス排出規制さえ、中国にとっては欧米の圧力と受けとめられている。ケーガン氏はオバマ政権に対してこれらの大国での過激ナショナリズムの台頭とこうした国々からアメリカが突きつけられている挑戦的態度にうまく対応するように勧告している(“The Perils of Wishful Thinking”; National Interest; January/February 2010)。

テロに関してはディック・チェイニー氏がバラク・オバマ氏はアメリカがテロとの戦いの最中にはないかのごとくふるまっていると非難した。チェイニー氏は最も過激なテロリストが収容されているグアンタナモ捕虜収容所の閉鎖を決定したオバマ氏を批判している(Dick Cheney: Barack Obama 'trying to pretend'”; Politico; December 30, 2009)。

チェイニー氏はオバマ政権の国防政策批判の急先鋒である。オバマ氏がアフガニスタンへの増派の決断に手間取った際には、チェイニー氏は最高司令官としてのオバマ氏の資質に疑問を投げかけた。共和党からはオバマ政権には包括的な対テロ戦略かあるのかという疑問が突きつけられている(“Cheney blasts Obama on Christmas Day plane scare”; Boston Globe; December 30, 2009)。

キープ・アメリカ・セーフのリズ・チェイニー代表は父親に続いてオバマ氏にグアンタナモ収容所閉鎖の決断を撤回するよう要求し、大統領に国防政策を最優先課題とするように促している。同氏はテロは法の執行で解決する問題ではなく、国防の問題だと主張している(“Another Cheney blasts Obama on terrorism”; Boston Globe; January 6, 2010)。

アメリカン・エンタープライズ研究所のカーリン・バウマン上級フェローはアメリカ国民はテロリストがアメリカ本土を攻撃できることを認識し、国家安全保障についてより真剣に考えるようになったと主張する。バウマン氏はオバマ大統領が急落する支持率を回復するためにもテロ対策により積極的に取り組む姿勢を示す必要があると言う(“Serious about Security”; Forbes; January 4, 2010)。

選挙中にはジョセフ・バイデン現副大統領が「バラク・オバマ氏はジョン・ケネディのように6ヶ月以内に世界から試される」と言った。真に試されているのは今である。この件ではアメリカ国民も試されている。選挙中にはアメリカの有権者は突然の金融危機に目を奪われて狼狽してしまった。日高義樹氏はこのことについて自らの著書で詳細に述べている。しかし今やアメリカは外交政策にもっと目を向けねばならない。テロだけが脅威ではない。国家対国家の競合は激化し、ロシアと中国での反欧米カルト・ナショナリズムは世界をさらに危険にしている。オバマ大統領はアメリカ国民を孤立主義傾向から転換させるべきときである。世界はもはや歴史からの休暇にはない。

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2010年1月 4日

新年への問いかけ:岐路に立つ資本主義

67649138_w5kniswi 謹賀新年!東洋の干支によると今年は寅年である。直前の記事で述べたように、今年は波乱に満ちた年明けとなる。年頭に当たって、グローバル資本主義について以下の問いかけを行ないたい。一つは資本主義と倫理について、後一つは資本主義への移行と自由な社会についてである。

まず資本主義の道徳的側面について述べたい。社会経済的な不公平の拡大と21世紀初頭の世界経済危機のため、国際世論は欲深な資本家に批判的になっている。中にはミハイル・コドルコフスキー氏や堀江貴文氏のように「稼ぐが勝ち」といった傲慢な発言をする財界人も現れた。しかしこのような私欲に基づく利潤追求は近代資本主義の価値観ではない。

資本主義の道徳的な基盤を築いたのはジャン・カルビンである。歴史を通じて商人は尊敬されなかった。近代になるまでは貴族、武人諸侯、僧侶が社会を支配し、彼らは商人の利潤追求をあからさまに軽蔑した。ヨーロッパ、イスラム世界、インド、中国、日本にいたるまで、商人は社会のヒエラルヒーで低い地位を占めた。プラトンは国家の指導者の資質として哲学を重視し、商業を軽視した。

ジャン・カルビンが予定調和説と神から与えられた職業への献身を主張してはじめて、商業活動は神と社会全体への奉仕となったのである。商業活動はもはや私欲のための利潤追求ではなくなり、それによってブルジョワ革命で貴族支配の体制を打破できたのである。アダム・スミスはカルビン主義の倫理に基づいて市場システムのメカニズムを説明したに過ぎない。ジャン・カルビンこそが近代資本主義の父なのである。

堀江氏やコドルコフスキー氏は自分達の事業で巨大な富を築けるほど明晰な頭脳の持ち主だったかも知れないが、近代資本主義の倫理を理解していなかった。堀江氏は東京大学の出身かも知れないが、所詮は中退者である。彼がこのことを見落として芸能人相手のドンチャン騒ぎに大金を費やしたのは何の不思議もない。ともかく今日の資本家はしばしばカルビン主義の倫理観を忘れている。

世界各地の政策形成者達は資本主義のメカニズムの修繕に躍起だが、カルビン主義の道徳的価値観に確固と基づいたものでなければそうした方策はほとんど無意味である。

第二の問いかけは資本主義への移行である。昨年秋にベルリンの壁崩壊20周年記念式典が行なわれた。しかし東ヨーロッパと旧ソ連諸国の中には共産主義崩壊後に困難に直面している国もある。ヨーロッパ連合への新規加盟国ではルーマニアのように経済、開発、社会の透明性といった観点でヨーロッパの基準に追いつくうえで厳しい事態に直面している国もある。将来の加盟を希望するウクライナのような国は腐敗防止対策でヨーロッパの水準に達することができていないので、まだEUに加盟できない。さらにロシアと中国では反欧米のカルト・ナショナリズムが猛威をふるっている。

今日の資本主義は岐路に立っている。ジャン・カルビンによる道徳的基盤の再評価がなされねばならない。さらに資本主義への移行にある国々にもっと注意を払わねばならない。さもないとカルト・ナショナリズムによってそれらの国々はかつての権威主義体制に逆戻りしてしまうだろう。

写真:ライガー、まさにスーパー・タイガー!混血のため、両親よりはるかに巨大でパワーのある体躯となる。虎の年が明けましておめでとうございます。

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