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2010年1月 9日

オバマ大統領は歴史からの休暇を脱け出せるのか?

クリスマスのテロ攻撃とそれに続くイエメンの危機によってバラク・オバマ大統領が国家安全保障上の脅威に対処する準備ができているかどうかという議論が呼び覚まされた。ディック・チェイニー前副大統領は危機に対するオバマ氏の対応の鈍さを批判した。現政権の外交政策への姿勢で問題視されているのは、テロだけではない。国民国家同士の競合も強まっている。

今年の始めにカーネギー国際平和財団のロバート・ケーガン上級研究員は主権国家の間でのパワー・ゲームの再激化について論じ、大国間の平和的な協調によって共通の利益と問題解決を追求しようというオバマ政権の甘い願望を批判している。ロシアと中国はアメリカと西側同盟国に対してヨーロッパと東アジアで地政学的な挑戦を突きつけているばかりか、イランと北朝鮮にも自分達の影響力を保とうと画策している。COPでの温暖化ガス排出規制さえ、中国にとっては欧米の圧力と受けとめられている。ケーガン氏はオバマ政権に対してこれらの大国での過激ナショナリズムの台頭とこうした国々からアメリカが突きつけられている挑戦的態度にうまく対応するように勧告している(“The Perils of Wishful Thinking”; National Interest; January/February 2010)。

テロに関してはディック・チェイニー氏がバラク・オバマ氏はアメリカがテロとの戦いの最中にはないかのごとくふるまっていると非難した。チェイニー氏は最も過激なテロリストが収容されているグアンタナモ捕虜収容所の閉鎖を決定したオバマ氏を批判している(Dick Cheney: Barack Obama 'trying to pretend'”; Politico; December 30, 2009)。

チェイニー氏はオバマ政権の国防政策批判の急先鋒である。オバマ氏がアフガニスタンへの増派の決断に手間取った際には、チェイニー氏は最高司令官としてのオバマ氏の資質に疑問を投げかけた。共和党からはオバマ政権には包括的な対テロ戦略かあるのかという疑問が突きつけられている(“Cheney blasts Obama on Christmas Day plane scare”; Boston Globe; December 30, 2009)。

キープ・アメリカ・セーフのリズ・チェイニー代表は父親に続いてオバマ氏にグアンタナモ収容所閉鎖の決断を撤回するよう要求し、大統領に国防政策を最優先課題とするように促している。同氏はテロは法の執行で解決する問題ではなく、国防の問題だと主張している(“Another Cheney blasts Obama on terrorism”; Boston Globe; January 6, 2010)。

アメリカン・エンタープライズ研究所のカーリン・バウマン上級フェローはアメリカ国民はテロリストがアメリカ本土を攻撃できることを認識し、国家安全保障についてより真剣に考えるようになったと主張する。バウマン氏はオバマ大統領が急落する支持率を回復するためにもテロ対策により積極的に取り組む姿勢を示す必要があると言う(“Serious about Security”; Forbes; January 4, 2010)。

選挙中にはジョセフ・バイデン現副大統領が「バラク・オバマ氏はジョン・ケネディのように6ヶ月以内に世界から試される」と言った。真に試されているのは今である。この件ではアメリカ国民も試されている。選挙中にはアメリカの有権者は突然の金融危機に目を奪われて狼狽してしまった。日高義樹氏はこのことについて自らの著書で詳細に述べている。しかし今やアメリカは外交政策にもっと目を向けねばならない。テロだけが脅威ではない。国家対国家の競合は激化し、ロシアと中国での反欧米カルト・ナショナリズムは世界をさらに危険にしている。オバマ大統領はアメリカ国民を孤立主義傾向から転換させるべきときである。世界はもはや歴史からの休暇にはない。

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