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2010年2月14日

ウクライナ大統領選挙後の混乱は予期されていた

ウクライナの大統領選挙を前に、カナダのモントリオールにあるグローバル化研究センターのセルゲイ・モルチャノフ氏が選挙の結果に関わらずウクライナが混乱に陥ると警告している(“Ukraine: Elections or Emergency Rule?”; Global Research; February 1, 2010)。 事態はその通りに動いている。

選挙から1週間が経つが、ユリア・ティモシェンコ首相は依然として対立候補ビクトル・ヤヌコビッチ氏の勝利を認めようとしていない。ティモシェンコ氏は100万以上の不正票によってヤヌコビッチ氏がこの選挙に勝利したと主張している。ティモシェンコ氏は支持者に対して街頭デモに繰り出さないように訴えているが、ヤヌコビッチ氏に対して再びオレンジ革命さながらの抵抗を行なおうとしている。OSCEの選挙監視員の中には法廷闘争を支持する者もいるとティモシェンコ氏は言う(”Premier Says Fraud Tainted Ukraine Vote”; New York Times; February 13, 2010

そのような動向をよそに、ヨーロッパからの選挙監視団体は選挙の公正さ賞賛し、バラク・オバマ米大統領、アナス・フォー・ラスムッセンNATO事務総長、ヘルマン・バン・ロンピュイEU大統領をはじめ、アメリカとヨーロッパの指導者達はヤヌコビッチ氏の当選を祝福している。ラスムッセン氏が言うように、欧米諸国の指導者達は東方への「過剰拡大」よりもロシアと旧ソ連諸国との戦略提携を模索している(“NATO, EU follow U.S., welcome Ukraine's Yanukovich”; Washington Post; February 12, 2010)。

にもかかわらず、ティモシェンコ氏はこの選挙の不正を訴え続けている。以前に当ブログで私はカーネギー国際平和財団のマーク・メディッシュ訪問研究員の論評を引用した。ウクライナは政治的な一体性を欠くつぎはぎだらけの国である。民族と地域の分裂は選挙後の混乱した紛争の原因の一つである。またウクライナは主権国家としての充分な歴史的な体験がない。

ここで選挙後の混乱を理解するためにモルチャノフ氏の論文を振り返ってみたい。ナショナリストのブロガーによる「私はティモシェンコ氏に投票して親露派の犯罪人が我々の大統領となるのを阻止するか、敗れるにしても大接戦となって法廷闘争に持ち込むことを期待している。そうなれば現大統領によって両候補とも大統領に就任する資格が停止され、緊急統治によって流血が回避されるだろう」という発言を引用し、モルチャノフ氏は二つのシナリオを想定している。第一はティモシェンコ氏がヤヌコビッチ氏の当選を受け入れないために緊急統治が行なわれるというものである。第二はウクライナ人のナショナリストとクリミア・タタール人のような少数民族が決起して退任するユーシェンコ大統領と選挙結果を認めないティモシェンコ氏の共闘を支持するというものである。私はウクライナの不安定化によってロシアと欧米の対決は激化し、オバマ・ラスムッセン対話路線は頓挫すると見ている。

ヤヌコビッチ氏は自分の政権ではロシア黒海艦隊にユーシェンコ政権が署名した2017年の撤退起源を延長してセバストポリ基地への駐留継続を認めると述べた(“Yanukovich says ready for Russian fleet, gas deals”; Reuters; February 13, 2010)。ウクライナ人のナショナリスト達はウクライナ領内へのロシア軍の駐留継続に激しく抵抗するであろう。またルーマニアとブルガリアにあるアメリカ軍基地とウクライナにあるロシア軍基地の間での緊張が高まると思われる。

たとえティモシェンコ氏が敗北を認めたとしても、キエフ周辺と北西部のウクライナ人ナショナリストを宥めることは難しい。そのため注意深い観測が必要である。

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