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2010年8月26日

横田基地での日米友好祭

私は8月22日に東京の北西にある福生市の横田空軍基地で開催された日米友好祭に行った。友好祭は毎年一度、在日米軍と福生市観光協会が共同開催している。横田空軍基地はアジア太平洋地域でのアメリカの軍事作戦の要衝で、在日米軍の司令部がある。

友好祭の間、空軍基地は一般市民に開放され、来訪者は出店と航空機の展示を満喫できる。日本の市民にとってはアメリカの文化と生活様式を身近に楽しめる良い機会であり、13万人が基地を訪れた。私は横田にやって来る人数のあまりの多さに驚いた。友好祭は2日間にわたり、ステージでは様々なアトラクションが上演された。

基地に到着するとすぐに、私は出店で食べ物を探した。買ったのはBLT(ベーコン、レタス、トマト)サンドイッチと飲み物である。出店ではドルと円のどちらも使えたが、お釣りの円札は皺だらけであった。日本では商店でも銀行でもきれいに皺を伸ばされた紙幣が使われているので、これはまさにアメリカ的である。

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F22ラプター戦闘機は大人気

食事をとった私はアメリカ軍と日本自衛隊の軍用機が展示されている航空発着路に向かった。展示されていたのは、F4、F15、F16、F22といった戦闘機、A10攻撃機、SH60およびUH60ヘリコプターなどであった。F22ステルス戦闘機は大変な人気であった。この機種は沖縄からの参加である。

非常に興味深いことに、ヘリコプターの後部に4本の短いビニールの紐を見かけた。アメリカ軍の制服要員に、この紐が何か尋ねてみた。すると静電気を放電するための電線だということであった。ただしジェット戦闘機にはこうした電線はついていないそうだ。百聞は一見にしかず!どれほど精巧なプラモデルを作ったとしても、こうした興味深い事実には気づかなかったであろう。

来訪客は必ずしも軍事マニアばかりではない。無数の家族連れ、カップルなどもやって来た。中には夜の花火だけを目的に来る客もいた。当日は非常に暑く、気温35℃にもなる広く開けたアスファルトの飛行場にはほとんど陰がなかった。そうした熱波でも疲労の様子を見せないアメリカ兵の身体的耐久力は、強く印象づけられた。大統領の命令が一度下れば、兵士達が世界のどこでも戦闘に入れるのは何ら不思議ではない。

不思議なことに、左翼のデモは全く見かけなかった。横田には膨大な人数の来訪客が友好祭を楽しんだ。沖縄の人々はこのようなイベントを楽しめるのだろうか?アメリカ軍への感情には、本土住民と沖縄県民とでは大きな隔たりがあるようだ。

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2010年8月19日

ゲーツ長官による国防改革

ロバート・ゲーツ国防長官は不景気による軍事費抑制のために統合戦力軍(及びの参照)の閉鎖を表明した。さらにゲーツ氏は防衛契約企業への予算を抑制し、国防総省の文官及び武官の役職の削減も視野に入れている。こうした予算削減はイラク及びアフガニスタンの戦費と国内財政支出の増加と相殺を目的としている(“Gates announces major cuts in military spending”; Boston Globe; August 10, 2010)。

新しい国防予算計画によって防衛契約企業と投資家には損失がもたらされた。統合戦力軍はバージニア州ノーフォークで背広組と制服組で6,100人の雇用を生み出している。ゲーツ氏の計画によると、ペンタゴンは契約企業の数を向こう3年以上にわたって毎年10%減らす方針である。ロッキード・マーティン、ジェネラル・ダイナミックス、BAEといった大手防衛産業のコンサルタントを務めるローレン・トンプソン氏は、計画によって打撃を受けるのはハードウェアの製造企業ではなく、事務作業の外注企業だと述べている(“Defense secretary's planned cuts upset investors and defense contractors”; Washington Post; August 11, 2010)。

サンフランシスコの海兵隊記念クラブで講演したゲーツ氏は「予算を事務作業と余剰人員から現在から将来にかけてのアメリカ軍の戦闘能力の向上に振り向ける」と述べた。他方でゲーツ氏は議会に対して、財政赤字の増大だけを理由に冷戦末期のように軍事費を過度に削減するような過ちを繰り返さないように要求した(“Gates Urges Congress to Avoid `Mistake' of Harmful Cuts in Military Budget”; Bloomberg News; August 14, 2010)。ゲーツ長官は2011年の退任を表明したが、この計画を通じてオバマ大統領への影響力を維持してゆきたいと考えている(“Defense secretary Gates says he would like to leave next year”; Washington Post; August 17, 2010)。

しかしゲーツ氏の計画に疑問を唱える者もいる。議会調査局で国防政策と予算を担当するスティーブン・ダゲット氏は、統合戦力軍の閉鎖だけで国防予算の抑制はできないと言う。それは基本戦略の作成や訓練といった一部の業務は軍の他の部署が引き継ぐからである(“Will Gates' proposed Pentagon spending cuts really save money?”; Top Secret America ―― Washington Post Blog; August 10, 2010)。国防予算が抑制された状態で、アメリカが世界各地で国家及び非国家アクターの脅威に対処を議論することの方がさらに重要である。バック・マケオン下院議員とエリック・カンター下院議員は脅威の増大と相互関連の強化に対処するには統合戦力軍が必要だと主張し、この計画を批判している(”Lawmakers Question Gates Defense Cuts in Face of 'Growing Threats'”; FOX News; August 11, 2010)。

この問題は一般に思われているより根深い。9・11事件の前日に当時のドナルド・ラムズェルド国防長官は事務作業の外注依存を減らすなどペンタゴンの官僚機構の構造的改革を宣言した。しかしテロ攻撃によってラムズフェルド氏は改革よりもイラクとアフガニスタンの戦争に労力を振り向けざるを得なくなった。ロバート・ゲーツ氏は前任者が残した超党派の仕事に取り組んでいる(“Gates takes on the bureaucracy”; Shadow Government ―― Foreign Policy Blog; August 10, 2010)。ペンタゴンと軍の構造改革に加えて、ゲーツ氏はF22ステルス戦闘機やDDG1000駆逐艦などの「冷戦用」の兵器の生産を停止した。しかしゲーツ長官は従来の国家対国家の紛争向けの大型兵器と、対テロ作戦のような冷戦後の戦闘に向けた小型で迅速な兵器との微妙なバランスをとらねばならない(“The Transformer”; Foreign Policy; September/October 2010)。

アメリカン・エンタープライス研究所のトマス・ドネリー常任研究員は、統合戦力軍が軍部のセクショナリズムを超えた共通の国防目的の追求という役割を充分に果たさなかったとして、解散そのものには賛成している。しかし改革によってアメリカの安全が向上するのは、ごくわずかだとも述べている(“Gates is Wielding the Budget Axe”; AEI Center for Defense Studies; August 9, 2010)。テロの台頭と経済危機によって、軍とペンタゴンの官僚機構と指揮系統の改革が必要となった。しかし、冷戦後のロシアと中国が再台頭したことで、アメリカは従来からの脅威への対処も怠ってはならない。この改革は前任者から引き継がれた仕事である。ゲーツ氏は2011年の退任までにアメリカの国防政策の行く末の基礎固めを成し遂げるのだろうか? 

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2010年8月13日

「核なき世界」への障害

今年は国際安全保障が「核なき世界」に向けて動き出したのだろうか?プラハ演説に基づいて、バラク・オバマ大統領は4月12日から13日にかけてワシントンで核セキュリティー・サミットを開催した。また、ジョン・ルース大使が8月6日の広島の原爆記念式典に、史上初のアメリカ代表として参加した。こうした行動は印象的だが、この目標を達成するには長い道程を要する。それは冷戦後に古い地政学が復活し、「ならず者国家」が核開発計画を追求しているからである。

まず「核なき世界」の構想に関して基本的な点について述べたい。これはバラク・オバマ氏のオリジナルではない。「核なき世界」の構想に理論的な基礎を与えたのは、2007年にウォールストリート・ジャーナルに共同で投稿したヘンリー・キッシンジャー元国務長官、ジョージ・シュルツ元国務長官、ウィリアム・ペリー元国防長官、そしてサム・ナン元上院議員らアメリカの長老政治家達である。超党派の投稿論文では、政策形成者達にMADという冷戦思考では、イランや北朝鮮に代表される「ならず者国家」の挑戦とテロリスト集団のような非国家アクターの出現により、核抑止力も信頼性が低下している現状に対処できないと主張されている。四人の政治家達はリアリストの視点から主張を掲げただけで、プラハ演説で注目された「核兵器を使った唯一の国として、アメリカには行動すべき道徳的責任がある」といったような物議を醸すようなことは何も述べてはいない。

この一節に関してカーネギー国際平和財団のジョージ・パーコビッチ副所長は、オバマ氏は核の脅威が存在する限りはアメリカと同盟国を守るために核抑止力を維持すると明言したと指摘する(“The Obama Nuclear Agenda: One Year after Prague”; Carnegie Policy Outlook; March 31, 2010)。

「核なき世界」に最も大きな障害となるのがロシアと中国が突きつけてくる古い地政学の復活である。ロシアは東ヨーロッパと旧ソ連諸国を事故の勢力圏として維持したがっている。中国に関してはゴードン・チャン氏が「北京の冷徹で実利本位の指導者達は我々が人権問題で強く出なかったことは弱さの象徴だと受け止めている。我々が弱いと思われてしまえば、彼らが協調する理由はなくなる。よって、人権の普及はアメリカの安全保障につながる」と述べている。

オバマ政権はロシアとの互恵的な取り決めを模索しているが、保守派はクレムリンがアメリカとの核均衡を求めているだけだとの理由から新STARTに懸念を抱いている。ジョン・ボルトン元国連大使は軍縮の目的ばかりを優先するオバマ政権を批判し、「アメリカとロシアの立場は同じではなく、核弾頭数の均衡にこだわればモスクワよりワシントンの方が国益を損ねてしまう」と言う。私は、アメリカは世界各地の同盟国を守らねばならないがロシアにはその必要がないというボルトン氏の見解に同意する。

きわめて重要なことに、ロシアも中国も「ならず者国家」やテロ集団への核拡散についての懸念を西側とは共有していない。ロシアはS300地対空ミサイルをイランへ売却した。さらに、クレムリンはブシェールにあるイラン発の原子炉へのウランの供給を決定したが、アメリカはイランがこれを自らの核の野望に対する寛容を示唆するものと解釈することを懸念している(“Russian nuclear agency says Iran's first nuclear plant will start getting fuel next week”; FOX News; August 13, 2010中国は核拡散よりもピョンヤン独裁体制の崩壊に伴う混乱を恐れるという理由だけで、北朝鮮の圧政体制を支持している。大きな食い違いが見られるのは、核テロに関してである。リズ・チェイニー氏が今年2月のコーリン・パウエル元国務長官との論争で述べたように、アメリカの政策形成者達は保守からリベラルに至るまで、テロリストによる大量破壊兵器の入手に神経を尖らせている。ロシアと中国はそれぞれがチェチェンやウイグルのイスラム過激派からさらに攻撃を受けなければ、核テロに関してアメリカと共通の理解には至らないのかも知れない。

また、中国がオバマ氏の呼びかけに敬意を払っていないことが明らかになった。6月に中国はインドとの核軍拡競争の懸念も意に介さずにパキスタンに原子炉の売却を持ちかけた。北京の共産党政府は「アメリカがインドのためにルールを曲げられるなら、中国もパキスタンのためにルールを曲げられる」と考えている(“Nuclear proliferation in South Asia: The power of nightmares”; Economist; June 24, 2010)。理論上はそうした地政学的競合はあり得る。しかしブッシュ政権期には中国はアメリカを刺激しないようにもっと注意深く振る舞っていた。「自由のための退役軍人の会」を設立した元イラク戦士のピート・ヘグセス大尉の一節を摘要すれば「中国はオバマ氏をなめている」のである。

大量破壊兵器不拡散教育センターのヘンリー・ソコルスキー所長は、アメリカが途上国と理想的な原子力協定を結んだとしても、他の原子力供給国がそうした取り組みを水泡に帰すような行動に出てしまうと指摘する。オバマ政権が昨年にアラブ首長国連邦と締結した核協力協定に関して、ソコルスキー氏はアメリカより低価格で核不拡散の要求基準が緩い韓国の施設がUAEに入札されたと述べている(Nuclear Nonproliferation Games”; National Review Online; August 5, 2010)。いわば、オバマ政権はUAEに拘束力のある協定を実施できず、ビジネス・チャンスを失っただけである。核不拡散の取り組みに大きな影響を与えるのは、バラク・オバマ氏が提唱したような崇高な理念ではなく商業上の利害である。

オバマ大統領は「核なき世界」に向けて印象的な行動に出たかも知れないが、それが主要核保有国と潜在的な核拡散国からは敬意を払われていない。こうした国々がアメリカを弱いと見なすようなら、核廃絶の取り組みは何一つ進展しないであろう。特に専制国家は自国の指導者達の利権を求めても世界平和を求めたりはしない。確かに「核なき世界」は今よりはるかに安全である。この目的を達成するために、アメリカは強さを印象づけねばならず、オバマ氏がプラハ演説で述べたような道徳的な後ろめたさをほのめかせばよいというものではない。

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2010年8月 8日

新たにシンクタンクへの寄稿

先日、これまでとは新たに東アジア共同体委員会の百家争鳴というオンライン掲示板に投稿した。東アジア共同体委員会は、日本国際フォーラムとグローバル・フォーラム・ジャパンの姉妹機関である。

投稿文は、東アジア史での日本の特異性を述べた当ブログの記事を基にしている。近代以前の日本は中華冊封体制の圏外であった。アヘン戦争以後は、日本はヨーロッパ諸国やアメリカとともに列強の一員となった。そうした日本の国家的アイデンティティーを考慮すれば、日本外交の基軸は強固な日米同盟で、日米中の等距離外交ではない。

投稿文の参照先はである。今後はジャーナルや新聞などへの寄稿も考えている。そうすれば、私の知名度も上がり、当ブログでのアドボカシー活動への注目も高めることができる。 

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