« 2010年11月 | トップページ | 2011年1月 »

2010年12月31日

グローバル・アメリカン政論の閲覧者層は?

グーグルが今年になってアクセス・カウンターを導入したので、英語版と日本語版の集計データを比較できるようになった。

アクセス地点の集計は、どのような人達が当ブログに関心を抱くかを推定するうえで有益である。英語版ではアメリカからのアクセスが圧倒的に多い。ドイツ、イギリス、フランスといったヨーロッパ勢が多いのも当然のことである。非常に興味深いことに、グローバル・アメリカン政論には、オランダ、リトアニア、ラトビアといった小国からのアクセスが目立つ。人口を考えれば、これは印象的なことである。

主要国ではインドとロシアからのアクセスが多いが、中国からは殆どアクセスがない。中国当局がグーグルの閲覧を禁止しているのであろう。韓国からのアクセスは、北朝鮮によるヨンピョン島攻撃のような特別な事件があると急増する。当ブログではイランとアフガニスタンへの言及が多いので、中東からのアクセスがもっとあればと願わずにはいられない。

日本語版では、東京、千葉、神奈川、大阪といった大都市圏の都道府県からのアクセスが多い。

当ブログの性質から、記事の投稿頻度は多くない。このブログに投稿されるアドボカシー評論は、深い分析に基づいている。よって、『グローバル・アメリカン政論』は急な事件に対する早急な対応は得意ではない。しかし、このことは当ブログが性急で根拠薄弱な論陣を張らないことを意味する。

こうした姿勢は、ブログの人気キングを上げるためには有利とは言えないが、記事の質の高さが『グローバル・アメリカン政論』の評価を上げている。以前にも述べたように、政策の専門家達からも注目されるようになった。ネット市民達が眉唾物の扇動ブログではなく、冷静な政策ブログを閲覧するようになることを願っている。

では、良い年を!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月25日

新テーマソング追加

当ブログ日本語版に新たなテーマソングを追加する。上のビデオは、NHKドラマ「坂の上の雲」のエンディング曲"Stand alone"である。歌っているのは、広瀬武夫海軍中佐を演じた藤本隆宏である。

当ブログは、明治のレジーム・チェンジから大正デモクラシーにいたる啓蒙主義により西洋列強の仲間入りをした日本の歴史を称賛している。日本の路線を踏襲したケマル・アタチュルクのトルコとレザ・シャー1世のイランも、同様に賞賛している。当ブログは文句なしに「坂の上の雲」史観なのである。ドラマ・エンディングで森麻季が歌う繊細なソプラノより、本物のアクション・ヒーロー、広瀬中佐の雄々しい声の方がブログ趣旨に相応しいので、こちらをアップした。

では、メリー・クリスマス

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月20日

日米同盟50周年と今後の展望

今年は日米安全保障条約50周年になる。冷戦終結を機に、細川政権は対米依存の脱却を目指して「自主的」な安全保障政策を模索した。しかし中国の「平和的台頭」と朝鮮半島の緊張によって、日本国民は近隣諸国の安全保障が脆弱で、アメリカとの同盟がどれほど重要かを再認識した。これは間違いではない。しかし、私はグローバルな観点からの日米同盟の重要性を強調したい。

日米同盟に関する現在の議論が二国間とアジア太平洋地域にばかり集中することは、残念でならない。すなわち、日米同盟は東アジア全域に安定と自由主義秩序をもたらす「公共財」として不可欠だというものである。そうした前提に立つ日本の指導者達と国民はジレンマを感じている。日本はアメリカの安全保障の傘の下で政治的安定と経済的繁栄を享受しながら、国民の中には同盟によってイラクやアフガニスタンのような「アメリカの戦争」に巻き込まれるとの懸念を抱くものも多い。両国の同盟はより長期的で世界規模の観点から考慮されねばならない。忘れてはならないことは、世界各地のアメリカの同盟諸国は日本と共通の価値観と国益を持っているからこそ、日本を信頼できるパートナーと見ているのである。以前の記事で述べたように、スエズからパールハーバーまでは日米同盟の当然の範囲なのである。我々は、この必要欠くべからざる戦略協調を深化させるために、もっと大胆になるべきである。

非常に興味深いことに、自由民主諸国の間でも日米同盟は二国間ないし地域レベルのものと見られているようだが、安倍政権と麻生政権の時期に日本とNATOは緊密な関係を模索している。日本国際フォーラムが11月22日に開いた外交円卓懇談会において、イギリスのデービッド・ウォーレン大使が日米同盟を「排他的」と述べた際に、私は少し困惑した。技術的に言えばウォーレン大使の言う通りで、この同盟関係はアメリカと日本の二国間条約によって成り立っている。また日本の防衛装備調達もアメリカ製の兵器に依存している。日本の防衛市場の開拓に熱心な政策形成者にとって、現在の日米同盟が「排他的」に見えることは何ら不思議ではない。

しかし、私は国際社会で広く思われているよりも日米同盟は「開放的」だと強調したい。日本にとって、この同盟は世界の中での自らの立場を強めるステータス・シンボルである。以前に述べたように、両国の同盟関係は、1960年代と70年代それぞれに起きたイギリスのインド洋からの撤退とイランのシャー体制崩壊を機に、グローバルなものに変貌していたのである。アメリカ第7艦隊が作戦範囲を拡大したのは、このような事態を受けてである。

日米同盟によって、日本は貴重この上ない政治的な威信を得ることになった。主要先進民主主義国の一員として、日本はヨーロッパとは「事実上」の同盟関係にある。フランスのバレリー・ジスカールデスタン大統領が1975年の1回ランブイエ・サミットに日本を招いたことは、象徴的である。また、日本はカナダとイタリアに先駆けて、欧米主要国によるG5プラザ蔵相会議に参加した。ヨーロッパ諸国が日本を重要なパートナーと認めているのは、単に日本が経済大国だからではなく、共通の理念と戦略的利害を持っているからである。

安全保障でも日本は日米同盟を通じてアメリカの同盟諸国との関係を深めている。対テロ戦争の勃発以来、NATOは日本との戦略提携の発展に着手した。イラクでも、日本の自衛隊は日米同盟を通じてイギリスとオランダとの共同作業に従事した。アメリカとの「特別関係」は日本の多国間外交、特にヨーロッパの自由諸国との関係強化に大いに役立っている。

日本国民の中には両国の同盟によって日本がアメリカ主導の西側陣営への参加を「余儀なく」され、外交政策での自主性が失われたと嘆く者もいる。しかし、明治のレジーム・チェンジ以来、この国が西洋列強の一員であることは近代日本の「国家の基本」である。よって、日米同盟は日本にとって自然な同盟なのである。

両国の同盟関係は、アジア太平洋地域でも日本の多国間外交に役立っている。北朝鮮の核実験に際し、イギリスやオーストラリアのようなアメリカの同盟諸国も沖縄に早期警戒機を派遣した。日本国民がこうした多国間の支持を喜んだことは言うまでもない。中国と北朝鮮の脅威に鑑みて、日本はオーストラリア、インド、韓国、インドネシアなどとの地域安全保障提携を模索している。これは日米同盟に後押しされている。

先の外交懇談会で質問の機会があれば、両国の同盟関係に「開放的」で「多国間」の性質があることをウォーレン大使に問いかけていたであろう。大使の講演は非常に刺激的で、参加者からは数多くの熱心な質問が寄せられた。しかしウォーレン大使が外交懇談会で再三にわたって述べたように、両国の同盟関係には「排他的」な側面が多くあることは事実である。典型例を挙げると、最近の北朝鮮の攻撃に際し、日本は「困った時の友は真の友」として韓国を助けることができない。

両国の同盟を真に「解放的」で「多国間」のものにするためには、日本はジャパン・ハンドラーへの依存を低くする必要がある。この同盟はより世界規模に進化している。この点に関して、NHKは12月11日に日米同盟50周年の特別番組を放映した。その番組の中で日本総合研究所寺島実郎理事長は、日本の政策形成者達は政策分野を狭く絞りすぎたジャパン・ハンドラーに依存するよりも、ワシントン政界のグローバル戦略立案者達との関係を強めるべきだと述べた。私はこれに大賛成である!私は一貫して、両国の同盟が単なる二国間と地域レベルを超えてグローバルなものだと主張している。

この点に関し、現在の日米同盟のグレード・アップのロール・モデルとなっている英米関係に言及したい。イギリスは「ブリティッシュ・ハンドラー」なるものに殆ど依存していない。イギリスの政策形成者達は世界戦略をアメリカの世界戦略家達と議論している。また、特定地域の問題でも、アメリカ側でそれに対応する人物と話し合っている。ロシア問題ならアメリカのロシア問題専門家と話し合う。イラク、アフガニスタン、イランなどでも同様である。ここに挙げたような場合に、ダウニング街やウエストミンスターの専門家では何の役にも立たない。

そうして見ると、日本の政策形成者達がアメリカ側の永田町や霞ヶ関の専門家に依存してもあまり役に立たない。この「イングリッシュ・レッスン」から教訓を得られれば、日米、日英(あるいは日・EU)、そして英米関係の強化発展につながるだろう。この三角形は、鳩山由紀夫氏が主張する日米中の三角形よりはるかに良いものである。

最近の日本国民は日米同盟を再評価する際に、中国の拡張主義と北朝鮮の暴虐に目を奪われている。しかし、我々がこれまで以上に持続的で強固な日米同盟を築き上げるには、「排他的」な同盟ではなく、「開放的」で「多国間」かつ「グローバル」なものにしなければならない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月10日

アフガニスタンでのNATOの援助による大学間のインターネット・ネットワーク建設

アフガニスタンの再建は、タリバンの反乱といまだに根絶できない腐敗によって多くの困難に直面し、なかなか進展してない。しかし上のビデオでは、輝かしい成果について述べている。NATOはアフガニスタンで大学間と衛星ブロードバンドのネットワークの建設を支援している。この国が戦争で疲弊しているというイメージが広く行き渡っているが、大学のキャンパスは実に平和である。学生達はNATOが建設したインターネット施設に喜びを隠せず、アフガニスタン国内の他大学と海外とのネットワークができることで自分達の研究にも大いに役立つと答えている。

高等教育は将来のための再建と近代化の重要な鍵である。それは、女性や少数民族へのエンパワーメントにもつながり、中東に安定した民主主義を広めるためにも重要である。対テロ戦争が戦われているのは、戦場だけではない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月 6日

核不拡散と東アジア安全保障に関する日米シンポジウム

駐日アメリカ大使館の主催で「日米同盟の将来―東アジアの安全保障と核政策」と題された政策フォーラムが、東京アメリカン・センターで11月29日に開催された。このフォーラムでの主要テーマは、日米両国が核の安全保障の傘に依存しながら、「核なき世界」という共通の政策目標をどのように達成知るかであった。中国の平和的台頭と北朝鮮のならず者的な行動は、日米両国共同の安全保障イニシアチブに深刻な挑戦を突きつけている。

日米双方からは、ベテランと若手の世代を代表するパネリストが招かれた。このイベントには、政治家、官僚、学者、ジャーナリスト、学生が参加した。講演したのは以下の専門家達である。

司会:

ラルフ・コッサ(アメリカ) 戦略国際問題研究センター太平洋フォーラム理事長

ゲスト・スピーカー:

ブラッド・グロッサーマン(アメリカ) 戦略国際問題研究センター太平洋フォーラム上級部長

秋山信将(日本) 一橋大学準教授

ダニエル・クリマン(アメリカ) 新アメリカ安全保障センター訪問研究員

向井和歌奈(日本) 海洋政策研究財団研究員

ブラッド・グロッサーマン氏は両国の同盟の性質に関し、日米の提携は双務的だと強調した。日本でのアメリカの軍事的プレゼンスが地域の平和と安定をもたらす一方で、日本は米軍に多大な支援を与えていると言う。グロッサーマン氏は、アメリカ側には日本とより対等な同盟を受け入れる準備があるものの、日本が世界の中での自ら立場を明確に規定する必要があると述べた。

中国と北朝鮮の脅威は急激に増大している。中国の平和的台頭が長期的な不確定要因となっているのは、どのような意図で軍拡に走っているのか不明確だからである。秋山信将氏は現在の米中関係が冷戦期の米ソ関係より複雑なのは、中国の戦略的な国益と軍の構造がアメリカとは非対称的だからである。中国の指導者達は核兵器の「先行不使用」を宣言しながら、日本と台湾をミサイルの標的としている。冷戦期のソ連と違い、中国にMADは適要しにくい。問題は、中国が急激な経済と歩調を合わせるように軍備を増強していることである。

北朝鮮に関して、秋山氏は今回のヨンピョン島の一件のような小規模攻撃には核抑止は効かないと述べた。キム・ジョンイルが敵視している韓国、アメリカ、日本のいずれも戦闘のエスカレートを望んでいないからである。他の手段も考慮されるべきだが、中国は北朝鮮に圧力をかけることに消極的である。そうした情勢に鑑みて、私は最後の手段であるレジーム・チェンジへの準備が重要と考えている。

質疑応答の時間には講演者と参加者の間で活発な意見の交換がなされ、オピニオン・リーダーと学生達から数多くの有意義な質問があがった。その中の一部を記載したい。

核不拡散とレジーム・チェンジに関しては、民主党の橋本勉衆議院議員がアメリカはイラクを攻撃しながら北朝鮮は攻撃しないのはなぜかと質問した。パネリスト達が核兵器と通常兵器による両国の報復軍事力に関する返答に終始したことは残念であった。サダム・フセインの拡張主義的な野心にも言及しなかった。サダムはクウェートとイランに侵攻し、少数民族のクルド人には毒ガスで大量虐殺を行なった。バース党体制はアラブ世界での支配的な地位を目指しており、1991年のクウェート侵攻は、サダムがスエズ運河を国有化したエジプトのガマル・アブデル・ナセルに自らをなぞらえて行なった。バース党はイスラエルを否定している。ゲスト・スピーカー達にはバース党のイデオロギーの危険性に言及して欲しかった。

テレビ朝日の記者からは、バラク・オバマ大統領が横浜でのAPEC首脳会議のために訪日した際に、広島と長崎を訪問しなかったことは日本国民を落胆させたとの意見が寄せられた。しかし、私は尖閣諸島をめぐる中国との紛争、朝鮮半島の緊張、ロシアのドミトリー・メドベージェフ大統領による突然の国後島訪問といった事態を考慮すれば、同記者の見解には同意できない。東アジアの安全保障が致命的に脆弱な現状では、アメリカの大統領が弱腰な謝罪姿勢をとっているように思われてしまうと、特に親米保守派が懸念を抱くようになる。ベルリンの壁の崩壊から世界金融危機にかけての時期の「勝ち誇った」アメリカに批判的な者達は、オバマ氏の広島ないし長崎への訪問を歓迎するであろう。しかし注意すべきことがある。そうした意見の持ち主の殆どは左翼で、本質的に反米である。優先すべきは現在の脅威への対処であって、優しく人道的な態度を示すことではない。

新STARTも議論の的になった質問である。全てのゲスト・スピーカーが、ロシアとの間で結ばれたこの条約の批准を拒否するジョン・カイル上院議員を批判した。しかしジョン・ボルトン元国連大使が指摘するように、新条約の査察はジョージ・ブッシュ・シニア大統領とボリス・エリツィン大統領の間で結ばれたSTARTⅡより緩やかなものである。帝政時代さながらのナショナリズムが高まる現在のロシアが、親欧米で自由な国だった当時のロシアよりも信頼できるとでもいうのだろうか?これは、シンポジウムで議論されるべき重要な論点であった。

私が投げかけた質問についても言及したい。一つは、西側民主主義諸国と専制諸国が衝突する現在の世界で、ロシアと中国を責任ある当事者とするにはどのようにすべきか、というものである。ゲスト・スピーカー達は、各国にはそれぞれ国家安全保障での優先事項がるので、核不拡散が必ずしも重要だと考えない国もある。典型的なものを挙げると、中国とロシアはイランと北朝鮮に関して西側と共通の懸念を抱いていない。そうした場合に我々がなすべきことは、ならず者の核拡散国家と経済関係を深めるようとする国には、それが自らの国益に反するのだと理解させるように導くことだとパネリスト達は語った。ダニエル・クリマン氏は危険な体制の国々への核不拡散を議論する際には、関係諸国それぞれの国益も重要だと付け加えた。クリマン氏は民主的なブラジルとトルコがイランと国際社会の間に立とうとした一例に言及した。

二つ目は日印原子力協定に関してであった。国民に広がる反核感情を考慮すれば、これは日本の外交政策の大転換である。向井和歌奈氏は、日本は外交政策を刷新したと言うよりも、インド亜大陸での核不拡散に対する態度を明確にしなかったのだと答えた。日本はアメリカのインド政策に追従し、核不拡散よりも財界の利益を優先したと述べた。しかし私はフランス、ドイツ、イギリス、カナダ、韓国も同じような観点から協定を結んだことに言及したい。ロシアさえも欧米諸国を手本にインドとの原子力協定に調印した。そうした「多国間の圧力」の下で日本に選択の余地があったのだろうか?

結論としてパネリスト達は軍縮こそが核なき世界への第一歩であり、圧倒的な通常兵力を持つアメリカにとってその実現こそ国益にかなうと主張する。パネリスト達は核不拡散と東アジアの安全保障に関して多くの貴重な問題を語った。参加者達は重要な問題提起をした。ここでシンポジウムの全てを書きつくせないことは残念である。最後に、保守派のスピーカーもこのイベントに招かれていればよかったと思っている。というのもフォーラムでの議論がややリベラルに感じられたからである。そうであれば、このシンポジウムは日米同盟と核兵器の理解により役立つものとなったであろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2010年11月 | トップページ | 2011年1月 »