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2011年8月24日

日本の国防のためにも原子力エネルギーは必要である

福島原発事故によって菅直人首相が脱原発路線を宣言することになったが、日本の国防のためにも原子力技術の維持は必要である。私は日本の核兵器保有を主張しているわけではない。その代わりに通常弾頭を装着したトマホーク・ミサイル配備の攻撃型原子力潜水艦を保有すべきだと考えている。実際に日本政府2004年の防衛大綱の作成に際して、中国海軍拡張の圧力に鑑みて原子力潜水艦の保有を検討したことがある。菅氏のエネルギー政策は国防政策の選択肢を狭めてしまう。

トマホーク配備攻撃型原潜の利点を評価するために、日本周辺の安全保障について述べたい。現在の東アジアでは、中国と北朝鮮という二大脅威の台頭が日本の国防でますます重要課題となっている。中国は海軍力を急激に増強しているばかりか、接近拒否能力を向上させるための対空母ミサイルの他にJ20ステルス戦闘機の配備も進めている。北朝鮮はノドン、テポドンといった核弾道ミサイルの存在を誇示している。こうした地上に基地を置く脅威は、発射および離陸の前にトマホーク・ミサイルで叩いてしまえば無力化できる。日本の自衛隊はイージス艦による弾道ミサイル迎撃システムによる北朝鮮ミサイルの撃墜を模索している。しかし地上に留まっている標的を攻撃する方が、空中を高速で飛行する標的を攻撃するよりもはるかに容易である。また攻撃型原潜は空母と原潜を含めた中国海軍を封じ込めることができる。

日本がトマホーク原潜を保有するには、アメリカあるいはイギリスから輸入することになるだろう。その方が原子力潜水艦の自主開発よりもはるかに費用と時間をかけずに済む。対地攻撃に関しては、米英両国の海軍がコソボ、湾岸、イラク、アフガニスタン、リビアで多くの実戦を経験している。日本の防衛当局者達は両国から戦術上の教訓を学び、中国の対空母ミサイルと北朝鮮の弾道ミサイルを破壊するための最善の方策を研究することができる。原子力潜水艦の海戦の経験はフォークランド戦争だけである。英国海軍の原子力潜水艦『コンカラー』によるアルゼンチンの巡洋艦『ヘネラル・ベルグラノ』の撃沈が大変な成功を収めたので、この戦争でアルゼンチン海軍は動くに動けなくなった。これは日本の海上戦略に役立つ。石原慎太郎東京都知事や田母神俊雄退役空将に代表されるナショナリストの間では、日本の核武装を主張する声もある。しかし核兵器は広島と長崎から66年もの間、実戦で使われていない。日本にとっては通常弾頭を装着したトマホーク原潜を保有する方が、はるかに現実的で合理的である。

メディアと論客達の間では、日本はヨーロッパでのドイツとイタリアの脱原発エネルギー政策を見習うべきだとの声もある。しかし忘れてはならない!ドイツもイタリアも近隣に差し迫った脅威を抱えていない。ウラジーミル・プーチン氏の下のロシアでナショナリズムが再台頭しているとはいえ、東ヨーロッパのNATO新規加盟諸国が西ヨーロッパへの緩衝の役割を果たしている。また。ドイツもイタリアもイギリスとフランスのようなグローバルな軍事大国になろうという野心はない。よって原子力潜水艦も核兵器も独伊両国には不要である。日本では福島事故後のドイツとイタリアのエネルギー政策の転換を語る際に、両国がフランスから電力を輸入していることが議論にのぼるが、国防の側面も無視できない。

菅首相が福島後にクリーン・エネルギー政策を打ち出したことは間違いではない。しかし、オマバ政権が自らの選挙マニフェストの目玉でもあったグリーン・ニュー・ディールには、ほとんど何も手を着けていないことを見逃してはならない。環境産業には小規模で進取の気質に富む企業が多いので、労働集約的ないし資本集約的なあやり方には馴染まない。よってTVAのような大規模公共事業には向かない。再生可能エネルギーが原子力と火力に完全に取って代わるという考え方は、現時点ではSFである。何よりも太陽光、地熱、潮力、風力といったクリーンで再生可能なエネルギーで、どのようにしてトマホーク配備の潜水艦が作戦行動をとれるのだろうか?

現在のところ、原子力エネルギーとその代替に関する議論は経済にばかり目が向けられているが、国防の観点も忘れてはならない。一度でも原子力発電を廃止してしまえば、その技術と技能を再び利用しようにも膨大な時間を要してしまう。これは我々の国防政策の選択肢を狭めてしまうのである。

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