アジアの台頭によってヨーロッパは影が薄くなるのだろうか?カーネギー・ヨーロッパのジュディー・デンプシー上級研究員は自らのブログで欧米双方の識者の見解に言及し、欧亜関係を語っている(“Judy Asks: Should Europe Fear the Pacific Century?”; Strategic Europe; June 27, 2012)。人口構成では平均年齢の若いアジアが高齢化したヨーロッパより有利であるが、アジアはナショナリズムの高揚、数多くの領土紛争、経済格差の拡大、そして大規模な環境破壊といった難しい地域的課題を抱えている。ヨーロッパは社会経済開発、人権、統治の改善、科学技術といった面でアジアを支援できる。しかしヨーロッパはアジアで限定的な役割しか果たせないと見る専門家もいる。
ヨーロッパは欧州連合という集団チャンネルか主権国家という独立のチャンネルかのどちらかを通じてグローバル・パワーとして行動できる。アジア欧州会合(ASEM)は欧亜関係を深化させる集団チャンネルの一つである。EUは小国でも持てる実力以上の力を発揮できるという素晴らしい機会を与えてくれるが、カーネギー・ヨーロッパのステファン・レーン訪問研究員は三大国がしばしば主権国家としての行動を選択すると論評し、英仏独の外交政策を比較している(“The Big Three in EU Foreign Policy”; Carnegie Paper; July 2012)。レーン氏の論文を基に三大国のアジア政策について述べたい。第二次世界大戦の勝者で核保有国でもあるイギリスとフランスはより積極的な政策をとるが、ドイツはリーダーシップを取るような役割には消極的である。
イギリスはアジアとの関係強化を打ち出している。マーク・キャニング駐インドネシア大使は英国外務省のブログでアジア政策について語る際に「再優先化(re-prioritisation)」という語句まで使った("EU has Arrived"; FCO Blogs; April 27, 2012)。キャニング大使は駐ASEAN大使も兼務しているので、イギリスのアジア太平洋政策で非常に大きな影響力を持つ立場である。イギリスはアメリカやロシアと同様にアジアでの影響力拡大を狙っている。ヨーロッパ外交問題評議会のジョナス・パレロプレスネルセニョール政策研究員は、イギリスが他のヨーロッパ諸国もアジアで積極外交を展開して欲しいと望んでいると指摘する。
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