ウイグルの地にアル・カイダの拠点はない
中国当局は天安門爆破事件で5人のウイグル人を逮捕した。しかし彼らが真犯人なのだろうか?歴史的に、新疆すなわち東トルキスタンは中国からアフガニスタンおよびパキスタンに向かう通路である。しかしアル・カイダの拠点を示す以下の地図を参照されたい。
2008年のイラクでの兵員増派の成功によって、アル・カイダは撃破されたと思われた。しかしオバマ政権によるイラクからの米軍撤退と、それに続くアラブの春によってアル・カイダは息を吹き返し、サヘル地域からケニアやソマリアといったアフリカ、そしてアラブ諸国一帯に広まった。彼らにはアフガニスタンとパキスタンにも強固な根拠地がある。ボストン爆破事件はチェチェンのアル・カイダ関連組織に触発された。しかしアル・カイダは中央アジアと中国領新疆には浸透していない(“The al Qaeda Franchise Threat”; Wall Street Journal; April 30, 2013)。
中国当局はウイグルの「テロリスト」はシリアで訓練を受けたとしている。容疑者とシリア反乱軍との間に関係があるのだろうか?そうした情報は提供されていない。ウイグル人権プロジェクトのアリム・セイトフ世話人は、ウイグル市民がこれほど厳重に警備された場所を攻撃するとは考えにくいと言う(“Rights Groups Doubt Uyghur Involvement in Tiananmen Attack”; Diplomat Magazine; October 30, 2013)。さらに世界ウイグル会議のラビア・カーディル議長は、中国はウイグルの「テロ」を捏造して東トルキスタンの独立運動を抑圧するためなら何でもやりかねないと主張する。他方で中国在住のウイグル人経済学者のイルハム・トフティ氏は北京政府に表現の手段を取り上げられたウイグル人には暴力に訴える以外の手段がないという(“China suspects Tiananmen crash a suicide attack, sources say”; Reuters News; October 30, 2013)。
中国はテロを捏造しているのか、それともアル・カイダが新疆に入り込み始めているのか?現段階では共産党がテロ攻撃を捏造した疑いが強い。
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