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2026年1月16日

実際の国防能力こそ、国防費のGDP比率よりも重要である

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冷戦以来、アメリカは世界の警察官であろうがアメリカ・ファーストであろうが、同盟国に対し負担分担のために国防費の増額を強く求めてきた。しかし私は常々、なぜ支出の金額については多くが語られる一方で、その使途や実施方法にはほとんど注意が払われないのかという疑問を抱いてきた。防衛戦略と調達の不一致は、集団防衛を弱体化させかねない。つい最近、イギリスのリチャード・バロンズ退役陸軍大将が私の長年疑問と言うべきこの点について深刻な懸念を表明した。

 

彼の論文について詳しく述べる前に、今日の世界の安全保障環境を概観する必要がある。トランプ政権の最新の国家安全保障戦略(NSS)は、これまで以上にアメリカ・ファーストを強調し、同盟国にさらなる防衛負担を強いている。さらに同盟国が防衛費を大幅に増額しない限り、アメリカは同盟から離脱するとさえ脅迫している。その結果、ヨーロッパとアジアの自由民主主義国は防衛予算の急増に伴い、自主的かつ多国間の安全保障政策協調を迫られている。さらに、こうした新たな安全保障枠組みをより効果的に機能させるためには、賢明な支出の検討も不可欠だ。ヨーロッパとアジアの両方において、ドナルド・トランプ大統領はウクライナと台湾においてオバマ流の「オフショア・バランサー」的な姿勢を取りながら、一方で西半球ではベネズエラやグリーンランドに見られるように略奪的な行動をとっている。彼はロシアとの領土・主権問題の解決よりも、ドンバスにおける鉱業事業の成立を優先している。また、最近の台湾をめぐる日中対立においても中国の膨張主義に対する地政学的な牽制よりも、貿易交渉を優先した。トランプ氏は自慢の経営感覚から、同盟国間の支出増加と米国の安全保障負担軽減を歓迎するだろう。彼には国防支出増加の使途や、同盟国との役割分担には関心がないようだ。

 

こうした世界の安全保障環境を踏まえ、イギリスとドイツの国防支出目標での戦略的相違に関するバロンズ元陸軍大将の議論について言及したい。 『2025年戦略防衛見直し』(SDR 2025)の主要執筆者の一人として、彼は抑止力と戦闘力における戦略的要求、そして10年後の財政能力という2つの点を考慮した(1)。さらにイギリスは他のヨーロッパ諸国と同様にトランプ氏の圧力に直面し、こうした制約の中で軍事予算を増額せざるを得ない。したがって、適切な目標に向けた賢明な支出が重要になってくる。イギリスが財政的および人員的制約を解消するために技術革新に投資している一方でドイツは財政規律を覆し、さらには徴兵制を再導入することでヨーロッパ最強の通常兵力を建設している(2)。他方でイギリスはグローバルな関与にもかかわらず、兵員数は年々減少している。

 

ドイツとは対照的に、イギリスはウクライナでの戦闘教訓に基づき、テックに基づく軍事改革を推進している。新たに構築されたデジタル・ターゲティング・ウェブはAI管理クラウドを介し、地域的にもグローバルにもイギリス軍のあらゆるセンサーをあらゆる兵器を接続できるようにする(3)。このようなアプローチには、革新的な産業基盤が必要となる。SDR2025では、「防衛はイギリスの経済戦略の中核において、≪新たな成長の原動力となる大きな未開発の潜在力を持つ≫」とさえ述べられている(4)。スターマー政権とトランプ政権が締結したTPD(技術繁栄協定)は、特にAI、量子コンピューター、民生用原子力エネルギーといった分野において、米国企業から英国のテクノロジー・エコシステムに3,500億ドルの投資を誘致している(5)。ジョン・ヒーリー国防相は「この協定で防衛、データ、AI技術におけるイギリスのリーダーシップが高まり、理想的な投資先となる」と誇らしげに述べた(6)。

 

他方でイギリスの野心的な計画は必ずしも称賛に値するものではない。バロンズ氏は、ドイツが通常兵器軍を急速に構築しているため英当局に対してこの計画に迅速に予算を配分して実施するよう強く求めている。さらにイギリスの革新的な構想とドイツの効率的な官僚機構を組み合わせることで、ヨーロッパの防衛能力を強化することを提言している。そして、この遅延の原因がホワイトホールの官僚主義的な縦割り主義にあると批判している。従来型の計画の方が将来志向の計画よりも迅速に開始できることは否定できない。しかし、戦略的合理性と効率性だけが国防費の使途を決定する理由ではない。各国の政治文化も影響する。ドイツの国防の主眼は、ロシアのウクライナ侵攻を踏まえた緊急の領土防衛である。この目的のため、メルツ政権は将来志向の軍改革よりも、当面の軍備増強を優先した。さらに、ナチスとシュタージによる権威主義的監視という歴史的経験から、倫理的なハードルがドイツを軍事目的でのAI利用に慎重にさせている。ドイツ軍は人間による技術制御を優先し、完全運用可能なLAWS(自律型致死兵器システム)を禁止しているものの、人間が監視するAIシステムは認めている(7)。

 

このような立場の違いはGCAPにも見られる。イギリスは戦闘力増強と損傷リスク軽減のため、ACP(自律型協調プラットフォーム)すなわち「忠実な僚機」(loyal wingman)ドローンとネットワーク化された多目的戦闘任務向け司令センター型に傾倒していたのに対し、日本は老朽化したF-2を直ちに代替するため、F-35よりも高度なセンサーとネットワーク技術を備えた有人型を希望している。一方でイタリアは、F-35の極めて高いコストと技術移転に対する厳しい制約に不満を抱いている。GCAPパートナーは共通の有人機を製造し、その後に各空軍の要件に合わせて調整することで、これらの研究開発目標のギャップを埋めることで合意した(8)。

 

しかし、ウクライナでの戦争は軍事戦術を劇的に変えてしまったため、上記のようなイギリスと日本の間の立場の違いは予想よりも早く縮小する可能性がある。高市早苗首相は1月5日の伊勢神宮への初詣後、自身の内閣では岸田政権の国家安全保障文書を見直してドローンとAIネットワークシステム(9)に重点を置くことを訴えた。また、防衛産業の強化は今世紀における日本経済の新たな牽引力となると述べた。これらの点は、イギリスのSDR2025で述べられていることと概ね一致している。これにより、GCAPにおける日本の立場はイギリスとより一致する可能性もある。ドイツとは異なり、日本はAI兵器に関する倫理的なハードルが低い。

 

ドンロー・ドクトリンを掲げるアメリカがより自国第一になる時代において、国防費増額の支出目標はかつてないほど重要になっている。バロンズ元陸軍大将はイギリスとドイツの防衛計画を比較し、重要な問題を提起している。ミニラテラルまたは多国間の政策協調においては、戦略的合理性とパートナーの政治文化を考慮する必要がある。英独そして日英の優先順位の違いは、無数の事例の氷山の一角に過ぎない。国防強化というと火力の規模や兵器の選択が話題になりがちだが、AIネットワークシステムとそれに伴う問題も軽視すべきではない。AIネットワークシステムの重要性はますます高まっている。増額された国防予算をどのように使うべきか?各国は改めて考えるべきである。

 

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